自分史
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ひとりの家
『カーズ』
両親は朝早く出て、夜遅く帰ってくる。広いリビングでひとり、赤いレーサーの映画を何度も観た。隣の家のタカシさんが、庭の花ごしによく声をかけてくれた。
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カートに出会ったころ
『capeta』
小学生のころ、近所のカート場で初めてハンドルを握り、自分の手で何かを思いどおりに動かせる感覚を知った。カート屋のおじさんに、タイヤの磨き方から教わった。同じころ竜山さんの空手教室にも通ったが、早々にやめてしまった。
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表彰台のころ
『マッハGoGoGo』
カートの全国大会やジュニアの選手権で、何度も表彰台に立った。観客席にはいつも、作業着のままのタカシさんがいた。古いレースアニメのDVDを貸してくれたのも、タカシさんだった。
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峠の物語に出会ったころ
『頭文字D』
中学生で観て、毎日の積み重ねが速さになる話に夢中になった。速さを競うのはサーキットと物語の中だけ、道ではいちばんていねいに走る、と決めたのもこのころ。
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免許をそろえはじめたころ
『紅の豚』
16歳になってすぐ原付の免許を取り、続けて普通二輪の免許も取った。はじめてバイクで遠くの海まで走った夜にこの映画を観て、空を飛びたい気持ちがはっきりした。
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一年遅れたころ
『マクロスゼロ』
レースと練習に夢中で出席日数が足りず、高校を1年留年した。家にひとりの夜、空を飛ぶアニメを観て、将来はパイロットになると決めた。ドローンの国家資格を取ったのもこの年。18歳になってすぐ、普通自動車と大型二輪の免許も取った。
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いま
高校3年。教室でも電車でも、目を閉じて頭の中のコースを走っている。機械が運転する時代に自分の腕は要るのか、と考える夜もある。それでも、隣の家の明かりと、「師匠」と呼んでくるジンさんの声に、少しだけ背中を押されている。



