Personal history
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町の小さな映画館
子どものころ、町の小さな映画館に入りびたって、同じ映画を何十回も観た。物語は、客席の頭の動きで知った。
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いちばんうしろの中学生
『アイアンマン』
いちばんうしろの席から、客席の拍手を聞いた。あれが長い続きの始まりだったと知るのは、何年もあとのこと。
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アルバイトのころ
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
大きな音の上映で、客席が声を上げるのを初めて聞いた。家では観られない映画がある、と思った。
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客席に教わったころ
『この世界の片隅に』
小さな上映が、観た人の口コミで長く続いていくのを、客席から何度も見た。
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誰もいない場内
映画館が長く閉まった春、誰もいない十二の場内を、毎日一人で見回った。再開の日、終映後に「ありがとう」と言って帰ったお客さんの顔を、いまも覚えている。
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いま
三十代で任されたシネコンの副支配人。公開日の初回は最後列に立ち、休みの日はよその映画館で、もう一回。




