Personal history
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写しを取る仕事
古い記録を預かる役所で、写しを取り、確かめる仕事を長く続けてきた。いつからそこにいるのかは、本人も記録していない。
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最初の一冊
『そして誰もいなくなった』
初めての出張の夜、駅前の書店で文庫の推理小説を一冊買った。ホテルの机で、登場人物の居場所を表にしながら読んだ。表は埋まったのに、動機の欄だけが空いたままだった。
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評議の部屋
『十二人の怒れる男』
古い映画で、一人の陪審員が「言い切れない」と言いだす場面を観た。腹を立てながら、最後まで観た。それから、同じ映画を何度も観ている。
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追い詰める側の目
『古畑任三郎』
ホテルのテレビで、犯人が最初に分かっている刑事ドラマを観た。手続きの順番で人が追い詰められていくのを、追い詰められる側の目で観ている自分に気づいた。
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正しい側の人間
『DEATH NOTE』
出張先の書店で全巻をそろえ、一晩で読んだ。月を正しい側の人間として読み終えて、そう読んだことを、誰にも言わずに手帳に書いた。
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現場へ行く人
『HERO』
書類で済ませるはずのことを、自分の足で確かめに行く検事のドラマを観た。自分の仕事のやり方を、初めて一行だけ疑った。
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いま
『ガリレオ』
出張のたびに、駅前のホテルの同じ部屋を取る。仮説を実験で確かめるドラマを字幕つきで観て、手帳の表の横に「保留」と書く。保留のほうが、少しずつ増えている。




