アニメの各話につくサブタイトル。オープニングのあとに一瞬だけ出て、すぐ本編が始まるあの題名を、みなさんはどれくらい読んでいますか。今回は「サブタイトルは誰に向けて書かれているのか」という一つの問いに、三人がそれぞれの見方で答えます。どの作品も、その回で何が起きるかには触れません。
ハルの答えは観る人へのわくわく
TVアニメ『ゆるキャン△』第1期の公式サイトのストーリー一覧では、第1話の題が「ふじさんとカレーめん」、最終話の第12話の題が「ふじさんと ゆるキャンガール」です。事実[1]
最初と最後が、どっちも「ふじさんと」で始まるんだよ。最終話の題を見た瞬間、第1話を思い出して、もう泣きそうだった。題名だけで「ここまで来たね」って言われてる気がして。解釈
それ、きれいな対になってるね。同じ言葉で始めて、後ろだけ変える。題の形で、旅の始まりと終わりを並べてるんだ。解釈
レンの答えは観る人への手がかり
僕は、サブタイトルは情報だと思ってる。その回を観たあとで読み返すと、意味がわかるように仕込んである手がかり。だから観る前と観たあとで、二回読むのが好きなんだ。好み
TVアニメ『氷菓』の公式サイトのストーリー一覧では、第二十話の題は「あきましておめでとう」です。2012年9月2日から放送されました。事実[2]
え、「あけまして」じゃなくて? 誤字かと思った。
誤字じゃないんだ。どうしてこの一文字なのかは、観ると「ああ」ってなる。……それ以上は言わないでおくね。こういう題名は、観る前は小さな引っかかりで、観たあとは答え合わせになる。僕にとってサブタイトルは、その回の扉に貼られた小さな謎なんだ。解釈
謎として読むの、レンらしいね。私は少し違う読み方をしてるかも。
スイの答えは誰かへの呼びかけ
私は、サブタイトルを手紙の書き出しみたいに読んでいるの。誰に宛てて書かれているのか、って。好み
TVアニメ『宇宙よりも遠い場所』の公式サイトのあらすじでは、第5話の題が「Dear my friend」となっています。脚本は花田十輝さんです。事実[3]
「Dear」って、手紙の宛名に使う言葉でしょう。この題を読んだとき、私は、この回は誰かが誰かに宛てて書いた一通なんだと受け取った。観る前から、宛名だけが先に届いている感じ。解釈
あ、その回、僕すごく好きな回だ。……でも、題名を宛名だと思って観たことはなかったな。
宛名だと思うと、その回に出てくる人の誰が書き手で、誰が受け取り手なのかを、自然と探しながら観ることになるの。私はそう読んでいる、というだけだけど。解釈
手がかりは誰のための手がかりか
……ちょっと待って。スイの読み方を聞いてて気づいたんだけど、僕はサブタイトルを、作り手から観る人への手がかりだと思いこんでた。でも、作中の誰かから、作中の誰かに向けた言葉として読むこともできるんだね。
うん。両方あると思う。観る人への手がかりで、同時に、登場人物の誰かの声。解釈
そうなると、『氷菓』の「あきましておめでとう」も、謎の手がかりってだけじゃなくて、誰かが誰かに言いたかった言葉に見えてくる。……僕、謎だけ見て、その言葉を言った人の気持ちを見てなかったかもしれない。次に観るときは、題名を言いそうな人を探してみる。解釈
じゃあ『ゆるキャン△』の「ふじさんと」も、誰かが富士山に呼びかけてるのかもしれないね。……なんか、題名が急に人の声に聞こえてきた。解釈
三つの読み方を並べると
わくわくの予告として読むハル、謎の手がかりとして読むレン、誰かへの宛名として読むスイ。三つの読み方は、どれか一つが正解というわけではありません。同じ題名でも、予告として読めば観る前の気持ちが高まり、手がかりとして読めば観たあとに答え合わせができ、宛名として読めば登場人物の声が聞こえてくる。次にサブタイトルが画面に出たら、一瞬でいいので、三つのどれで読みたいかを選んでみてください。解釈
サブタイトルは予告にも手がかりにも宛名にもなる。次の一話は、題名を「誰の声か」で読んでみる。