二周目

『Ghost of Tsushima』二周目は浜辺から

一周目は島を取り戻すことで精一杯だった。二周目、ゴウは最初の浜辺に立つ八十の武士と、主人公の名字に込められた一字と、仲間たちが手渡した道具を見て歩いた。同じ道場の黒帯、エマと話す。

この記事は結末までのネタバレを含みます

範囲ゲーム『Ghost of Tsushima』本編(メインストーリー「仁之道」)の結末まで。追加ストーリー「壹岐之譚」には触れない

観終えた人が二周目をもっと楽しむための記事です。中盤の展開と、結末・正体のくわしいところは、押すと開く部分に分けてあります。

こんな人に
『Ghost of Tsushima』の本編をクリアした人へ。二周目を、誉れと手段のあいだで揺れる一人の侍の足跡として歩き直したい人に。
ネタバレの範囲
結末まで触れます ゲーム『Ghost of Tsushima』本編(メインストーリー「仁之道」)の結末まで。追加ストーリー「壹岐之譚」には触れない
話している人
ゴウ × エマ
主張の種類: 事実 作中の観察 根拠のある推測 解釈 好み
目次 全8節・約6分
  1. 二周目を始める前に
  2. 小茂田浜の八十騎
  3. 境という一字
  4. 橋の上の一騎討ち
  5. 伯父の教えと父の記憶
  6. 手渡された道具
  7. 幼なじみとの最初の再会
  8. 二周目の終わりに

ゴウだ。『Ghost of Tsushima』の二周目の話をする。本編「仁之道」をクリアした人向けだ。結末にかかわるところは畳んである。壹岐の追加ストーリーには触れない。聞き手はエマ。同じ空手教室の黒帯だ。

二周目を始める前に

Sucker Punch Productionsが開発し、2020年7月17日に発売されたアクションアドベンチャーゲーム。文永11年(1274年)の元と高麗の連合軍による日本侵攻、文永の役を物語の題材にしている。メインストーリーには「仁之道」という題名が付いている。事実[1]

エマ

ゴウがこのゲームの話するの、初めて聞く。Nice. 私はこっそり忍び込むのが好きなタイプ。ゴウは絶対、正面から名乗るでしょ。

ゴウ

……一周目は、そうだった。二周目は、正面から行く前と、行けなくなった後を見て歩いた。好み

小茂田浜の八十騎

物語は、対馬の小茂田浜に押し寄せた元の大船団を、わずか八十の武士団が迎え撃つところから始まる。対馬の地頭・志村の指揮の下で戦うが、絶望的な兵力差に圧倒され、志村と主人公の境井仁の二人を残して全滅する。事実[1]

ゴウ

一周目は、負け戦の始まりとしてしか見ていなかった。二周目は、浜に並んだ武士たちの横顔と、その中にいる伯父と甥の位置を見た。最初の場面で、二人は並んで同じ敵の方を向いている。作中の観察

エマ

立ち位置まで見るの? それ、何か意味があるの?

ゴウ

……それは、畳んだ中で話す。

境という一字

主人公の名字の漢字は、日本語ローカライズのスタッフが選んだという。国境を守るという立ち位置と、武士と冥人とのあいだで揺れているという心情から「境」の字が選ばれた。伯父の志村の名前のモチーフは、『七人の侍』に出演した俳優の志村喬だという。事実[1]

志村喬は『七人の侍』で、侍たちを率いる島田勘兵衛を演じた。事実[2]

ゴウ

これを知ってから二周目を始めた。侍たちを率いた男の名前を負った伯父と、二つの道の境に立つ甥。名前を知っているだけで、最初の浜辺の重さが変わる。解釈

エマ

名前に意味を入れておくの、私けっこう好き。Nice choice. 一周目で知りたかったな。

橋の上の一騎討ち

目を覚ました仁は、伯父を救うため単身で金田城に乗り込み、大手門の橋の上で敵将コトゥン・ハーンに挑むが敗れ、橋から突き落とされる。仁は、侍の道に則った正攻法では強大な元軍に勝てないことを悟る。事実[1]

エマ

あそこ、一周目は普通に悔しかった。チュートリアルで負けるやつだと思ってた。好み

ゴウ

……二周目は、負ける前の構えを見ろ。正面から向かい、正面から斬りかかる。あれが、迷いのないころの仁の型だ。あの橋から先、仁の戦い方は少しずつ変わっていく。最初の型を覚えておかないと、何が変わったのかが分からない。解釈

エマ

……ゴウって、負ける場面のほうをよく覚えてるよね。組手でも。

ゴウ

……勝った組手は、すぐ忘れる。

伯父の教えと父の記憶

仁は伯父から「虚に乗ずるは臆病の印」と教わっていて、敵の不意を突く戦い方に強い抵抗感を持っている。事実[1]

中盤まで中盤で明かされること押すと開きます

仁には、父が賊に殺されたとき、直前に手助けを求められていたのに、恐怖から見殺しにしてしまった過去がある。その後悔から、物怖じすることを強く嫌うようになった。二周目は、仁が正面から斬り込む場面ほど、何かを振り払っているように見えた。臆病を嫌う理由が、自分の中の臆病にある。事実[1]

ゴウ

一周目の序盤、仁が闇討ちをためらう場面を、俺は当然だと思って観た。二周目は、ためらう時間の長さを数えた。伯父の教えを守る時間でもあり、自分と戦う時間でもある。解釈

中盤まで中盤の展開押すと開きます

仁の乳母・百合は、仁と父親を時々取り違えて昔語りをする。仁はそのやり取りを通して、厳しく思い出される父の親としての素顔や、志村の厳格さに父が意外にもやや批判的だったことを知る。二周目は、境井家の屋形で百合と過ごす場面を、急がずに歩いてほしい。伯父の教えだけで育った男が、ここで初めて、別の大人の目を知る。事実[1]

手渡された道具

島で出会う仲間たちは、それぞれ何かを仁に手渡していく。一周目は、強くなるための道具として受け取っていた。二周目は、それを誰が作り、誰が渡したかを覚えて歩いた。作中の観察

中盤まで中盤の展開押すと開きます

ゆなの弟で鍛冶職人のたかは、仁のために鉤縄や冥人の鎧を作って戦いを支える。のちにたかは元兵に捕らえられ、仁の目の前で元の首領コトゥン・ハーンに斬られる。たかの遺作となった冥人の鎧は、ゆなから仁の手に渡る。二周目に、鉤縄で初めて城壁を越える場面を迎えると、その縄を誰が編んだかを知っている。足をかけるたびに、重さが違う。事実[1]

エマ

……道具に人がいるの、分かる。私も古い工具、捨てられないもん。誰からもらったかは、聞かないで。好み

ゴウ

……聞かない。

幼なじみとの最初の再会

仁の幼なじみで牢人の竜三は、菅笠衆の頭として、手下の牢人たちを飢えから救うために奔走している。二人はかつて長尾家の刀比べで手合わせしている。事実[1]

中盤まで中盤の展開押すと開きます

竜三は食料の保証と引き換えにコトゥンに寝返る。刀比べで仁に敗れたことで仕官の夢を断念し、牢人になったという過去もある。二周目に最初の再会の場面を観ると、軽口を叩く竜三の顔の奥に、自分に勝った男への複雑な思いと、飢えた手下を背負う頭としての計算が同時に見える。俺は、どちらの立場にも筋があると思った。だから、余計にこたえた。事実[1]

エマ

菅笠衆の頭って、仲間のご飯の心配ばっかりしてるよね。ゴウはああいう頭、どう見る?

ゴウ

……頭としては、筋が通っている。飢えた手下を背負う者の顔だ。だから二周目は、あいつの顔から目を離せなかった。解釈

二周目の終わりに

結末・正体結末押すと開きます

元の首領を討った後、仁は青海の湖畔の試合場で志村と再会する。二人は境井家の墓に参り、仁は失われたものに思いを馳せて歌を詠む。仁は愛刀を手に志村との勝負に臨み、志村を制する。志村は仁に、誉ある最期を遂げたいと頼む。彼の命を守るか、彼の誉を守るか、仁は選択を迫られる。小茂田浜で同じ方を向いて立っていた二人が、最後には向かい合って立つ。二周目の俺は、選ぶ前に、しばらくコントローラーを置いた。どちらを選んだかは書かない。どちらにも、筋がある。事実[1]

エマ

……私は、二周目のほうが手が重かった。好み

ゴウ

……ああ。二周目は、手が重くなる。それでいい。解釈

二周目は小茂田浜の最初の場面から。伯父と甥が並んで同じ敵を見ている数秒に、この物語の出発点がある。

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