二周目

『野生の島のロズ』二回目は名前を数える

嵐で島に流れついたロボットの映画を、ソウタは二回目、名前が出てくるたびに指を折って観ていたそうです。聞き手はタカシ。だれがだれに名前をつけたのか、冬のあいだに島で何が足されたのかを、二人で順番に話しました。

この記事は結末までのネタバレを含みます

範囲映画『野生の島のロズ』(2024年)の結末まで(本編すべて)

観終えた人が二周目をもっと楽しむための記事です。中盤の展開と、結末・正体のくわしいところは、押すと開く部分に分けてあります。

こんな人に
『野生の島のロズ』を最後まで観た人へ。二回目を、名前のつけ方と、冬のある約束から観直したい人に。8歳の目といっしょにどうぞ。
ネタバレの範囲
結末まで触れます 映画『野生の島のロズ』(2024年)の結末まで(本編すべて)
話している人
ソウタ × タカシ
主張の種類: 事実 作中の観察 根拠のある推測 解釈 好み
目次 全8節・約6分
  1. 二回目は指を折る
  2. さがしもの1 さいしょのロズ
  3. さがしもの2 だれがなまえをつけたか
  4. さがしもの3 かおがうごかない
  5. さがしもの4 ふわふわの森
  6. さがしもの5 ふゆのルール
  7. さいごの話
  8. 二回目に観る人へ

映画『野生の島のロズ』を最後まで観た人のための、二回目の案内です。話しているのはソウタ、聞き手はタカシ。作品の事実はタカシが補います。展開と結末にふれるところは畳んであります。まだ観ていない人は、畳んだところを開かないでください。

二回目は指を折る

タカシ

ソウタさん、二回目はどこを観ていたんですか。

ソウタ

なまえ。だれかが、だれかになまえをつけるたびに、ゆびをおったの。一回目は、ロズがつよいかどうかばっかり見てた。好み

タカシ

先に基本のことを。2024年のアメリカのアニメーション映画で、制作はドリームワークス・アニメーション。原作はピーター・ブラウンさんの児童文学『野生のロボット』で、脚本と監督はクリス・サンダースさんです。日本では2025年2月7日に公開されました。事実[1]

さがしもの1 さいしょのロズ

ソウタ

さいしょのロズ、ずっと「おてつだいすることはありますか」みたいにきいてまわるの。でも、だれもたのんでないの。どうぶつ、みんなにげちゃう。作中の観察

タカシ

あらすじでも、ロズは動物たちを怖がらせていると気づいて、動物の言葉を学びながら、助けを必要とする相手を探して歩きまわる、と書かれています。人の暮らしを快適にするために作られた、最新型のアシストロボットだそうです。事実[2]

ソウタ

二回目に見ると、さいしょは「しごと」をさがしてるの。おわりのほうは、ちがうものをさがしてる。なにかは、さいごの話でいうね。解釈

さがしもの2 だれがなまえをつけたか

タカシ

ロズの正式な名前はロッザム7134。製品名とメーカー名は、ロボットという言葉を生み出した戯曲『R.U.R.』へのオマージュだそうです。事実[3]

ソウタ

ばんごうなんだよ。7134。それ、なまえじゃないよね。解釈

中盤まで前半の展開押すと開きます

ロズは嵐のあと、雁の巣をうっかりつぶしてしまい、残った卵を一つだけ守ります。生まれたひなはロズを親だと思いこみ、ロズはオポッサムのピンクシッポに助言をもらって、ひなが冬の渡りまでに飛べるよう世話をすると決め、「キラリ」と名付けます。キツネのチャッカリも一緒に暮らすようになり、ロッザム7134に「ロズ」という愛称をあげます。

ソウタの数え方では、ここで指が二本折れます。ロズがキラリに名前をあげて、チャッカリがロズに名前をあげる。「なまえって、もらうと、そこのなかまになるの。ロズは、もらったから、しまのこになったんだよ」。事実[2]

タカシ

名前を与えるのは、昔から迎え入れる側の仕事でした、と言いたくなります。……また歴史の話にしてしまいましたね。解釈

ソウタ

いいよ。でも、キラリは、ほかの雁にからかわれるんだよ。なかまにいれてもらえないの。作中の観察

タカシ

人物紹介でも、キラリは小さな体と、母親がロボットであることを理由に仲間外れにされる、とあります。種類はカナダガンのひなです。事実[3]

さがしもの3 かおがうごかない

ソウタ

ロズって、かおがあんまりうごかないの。目がまるくひかるだけ。なのに、おこってるのとか、さみしいのとか、わかる。作中の観察

タカシ

監督は、ロボットが感情のない状態から急に感情的になるような描き方を避けたかったそうです。ロズには顔の表情がないので、気持ちを伝える主な手段は声になる。原語版のルピタ・ニョンゴさんには、物語が進むにつれて声を変えていく役目が与えられた、と書かれています。日本語吹替ではロズの声は綾瀬はるかさんです。事実[4]

ソウタ

ぼく、ふきかえで見た。二回目は、目をつぶって、こえだけきいてみたの。さいしょのロズと、さいごのロズ、こえがちがう。作中の観察

タカシ

目を閉じて聞く二回目ですか。それは私もやってみます。顔が動かない人物ほど、声の変わり方が地図になるのかもしれません。解釈

さがしもの4 ふわふわの森

タカシ

絵のことも一つ。この映画は水彩画のような表現を採っていて、クラシックなディズニー映画や宮崎駿さんの作品から影響を受けています。特に『バンビ』と『となりのトトロ』から大きな影響を受けた、とあります。事実[5]

ソウタ

トトロ、しってる。森がもこもこしてるの、にてる。ロズのからだはカチカチなのに、森はふわふわ。二回目は、ロズのからだの色が、さいしょとさいごでどうちがうか見てね。作中の観察

タカシ

最初と最後で、ロズの体の色を比べてみるといいですね。解釈

さがしもの5 ふゆのルール

ソウタ

ぼくがいちばんすきなとこ、言っていい? ふゆのとこ。

中盤まで後半の展開(冬のあいだ)押すと開きます

島をひどい吹雪がおそったとき、ロズとチャッカリは動物たちを助けて自分たちの家にかくまい、冬をこえるために、ふだんの食べる・食べられるの決まりをこえて休戦しよう、と呼びかけます。春が来ると、動物たちはロズとの約束を守って休戦を続けていました。

ソウタはここを「ルールをひとつたしたの」と言いました。「ふゆのあいだは、たべっこなし。それだけで、みんな、おなじいえにいられる」。ふだんは食べる・食べられるの動物たちが同じ家にいる場面を、二回目は数えてほしいそうです。「つよいどうぶつも、よわいどうぶつも、いばしょがあるの」。事実[2]

タカシ

原作者のブラウンさんは制作チームに、親切さは生きのびるための技術だ、というテーマが原作の意図だと伝えたそうです。監督はそれを映画全体に織りこもうとした、とあります。事実[4]

ソウタ

しんせつで、いきのびるの? ……それ、ふゆのルールのことだ。解釈

タカシ

私もそう思います。一回目は、ロズが強いからみんなが助かった、と観ていました。二回目は、ルールが一つ足されたから、みんなが朝を迎えられたように見えます。解釈

さいごの話

ソウタ

さいごのほう、こわいとこがあるよ。ぼく、二回目は、そこの前でクッションをもった。好み

結末・正体結末押すと開きます

会社の回収ロボットのヴォントラがロズを連れもどしに来ます。ロズは、自分はこの島に生きる野生のロボットだと言い切って帰るのをこばみ、動物たちは力を合わせてロズを守ろうとします。ロズは一度つかまって止められてしまいますが、助けに来たキラリが寄りそうと、キラリへの愛がロズのシステムをよみがえらせます。そのあとロズは、島と動物たちをもう一度ねらわれないように、自分から会社へもどると決め、また島に帰ってくると約束して去っていきます。数か月後、会社の温室で働くロズのところへ、キラリがこっそり会いに来ます。

ソウタは、ここでタカシに聞きました。「ロズ、おうちにかえれたの?」。タカシはしばらく考えて、「どちらをおうちと呼ぶかで、答えが変わりますね」と言いました。工場は、ロズが作られた場所。島は、ロズが名前をもらった場所。二人とも、この日は答えを決めませんでした。ソウタの最後の一言は「でも、キラリがあいにきたから、そこもちょっとおうち」。事実[2]

タカシ

さがしもの1で言っていた、最後にロズが探していたもの、教えてもらえますか。

ソウタ

さっき、たたんだところで言ったよ。さいしょは「しごと」で、さいごは、ちがうものだったの。解釈

二回目に観る人へ

タカシ

ソウタさんのさがしものをまとめると、最初の「お手伝い」の場面、名前をつける場面、顔の動かないロズの声、ロズの体の色、そして冬のルール。こわい場面や、追いかけられる場面が苦手な子は、大人と一緒に、明るい部屋で観るといいと思います。どこが怖いか分かっている二回目なら、クッションの準備もできます。解釈

ソウタ

つよいのは好き。でも、ロズは、つよいからじゃなくて、しんせつだから、しまのこになったんだよ。解釈

二回目は、名前が出てくるたびに指を一本折ってみて。だれがだれに名前をあげたかを数えると、島の仲間の地図ができあがります。

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