二周目

『ワンパンマン』アニメ一期をA市から観直す

最終話まで観てから一話目に戻ると、最初に怪人が暴れていた町の名前が引っかかる。アニメ第1期を二周したミナトと、自転車のヒーローから目が離せないハヤテが、町と順位と乗り手の三つから二周目の観どころを探す。

この記事は結末までのネタバレを含みます

範囲『ワンパンマン』TVアニメ第1期(全12話)の最終話まで。漫画(ONE版・村田雄介版)のその先と、第2期以降には触れない

観終えた人が二周目をもっと楽しむための記事です。中盤の展開と、結末・正体のくわしいところは、押すと開く部分に分けてあります。

こんな人に
『ワンパンマン』のアニメ第1期を最終話まで観た人へ。二周目を、一発のパンチではなく、町の名前と順位の数字と、自転車で駆けつける人から観直したい人に。
ネタバレの範囲
結末まで触れます 『ワンパンマン』TVアニメ第1期(全12話)の最終話まで。漫画(ONE版・村田雄介版)のその先と、第2期以降には触れない
話している人
ミナト × ハヤテ
主張の種類: 事実 作中の観察 根拠のある推測 解釈 好み
目次 全9節・約17分
  1. 一話目はどの町から始まるか
  2. 夢の中の強い相手
  3. 順位という番号
  4. 何度でも来る忍者
  5. 自転車で駆けつける人
  6. 壊れても戻ってくる弟子
  7. 町の人の声を聞く
  8. 最終話の戦い
  9. 一期という区切り

日曜の夜八時。ミナトは部屋のモニターの片方に『ワンパンマン』のアニメ第1期の一話目を出し、もう片方の画面でハヤテと通話をつないだ。ハヤテは家のガレージで、タブレットを工具箱の上に立てている。二人とも最終話まで観終えている。一周目は、それぞれ別の時期に、別々の部屋で配信で観た。一緒に観るのは、これが初めて。せーので再生して、気になった所で止める。そのやり方で二週かけて、最終話までもう一度通した。主人公の一発より、その周りの町と人を見る二周目。中盤の展開は一段目、結末は二段目に畳んである。

一話目はどの町から始まるか

アニメの一話目は、怪人が街を壊している場面から始まる。駆けつけたヒーローたちは歯が立たず、そこへ現れたサイタマが一発で終わらせる。物語はそこから、三年前の、サイタマがヒーローを目指すきっかけになった日へさかのぼる。最初の怪人が暴れていた町は、A市と呼ばれている。事実[1]

ミナト

二周目で最初に止めたのは、町の名前。最初の怪人が暴れてるのは、A市。作中の観察

ハヤテ

Aって、いちばん最初の文字ですよね。サイタマが住んでるのは、いちばん最後のZなのに。作中の観察

ミナト

それ。一周目は、町の名前はただの記号だと思って流してた。最終話まで観たあとだと、記号に見えない。解釈

ハヤテ

Aで始まって、主人公はZに住んでいる。最初と最後の文字のあいだに、話が全部入ってるみたいです。解釈

ミナト

近い。俺はそこまで考えてなかった。次に観るとき、町の名前が出るたびにメモする。好み

結末・正体A市のその後(結末にかかわる)押すと開きます

最終話の二つ前、宇宙から巨大な船がやってきて、その攻撃でA市はほぼまるごと消えてしまう。その少し前まで、サイタマは同じA市にある協会の本部で、S級のヒーローたちの集まりに出ていた。船が町を消したとき、サイタマはもう船の中へ乗りこんでいる。

つまり一期は、A市の通りで始まって、A市の上で最後の戦いを迎える。一話目のサイタマは、A市の通りで一発を打って、町を守った。終盤のサイタマは、町が消える少し前まで、同じA市にいた。一発で守れた町と、一発を打つ前に消えた町が、同じ名前をしている。事実[2]

ミナト

だから二周目の一話目は、背景のビルばっかり見てた。窓の数とか、看板の並びとか。畳んだ中身を知ってから観ると、一話目のA市が急に細かく見える。好み

結末・正体消えた町と一話目(結末にかかわる)押すと開きます

二周目の俺には、A市が消える絵が、一期でいちばん重たい絵に見えた。一話目にサイタマが守った通りの、ビルの窓を数えたのは、この絵と並べるためだった。一話目では一発で守れた町が、同じ一期の終わり近くには、一発を打つ前に消えている。サイタマの強さは一話目から何も変わっていないのに、守れたものの大きさだけが違う。

消えた窓の数は、もう誰にも数えられない。だから二周目は、一話目のうちに数えておいた。解釈

ハヤテ

僕も、一話目のヒーローの人たちを覚えておこうと思いました。最初にやられちゃう人たちです。好み

一話目で最初の怪人に挑んで、あっけなく倒されるヒーローの中には、イナズマックスとスマイルマンがいる。事実[1]

ミナト

一話目で負けた人の顔は、覚えたまま先に進む。二周目は、そう決めて観た。作中の観察

一話目の中ほどで、話は三年前に戻る。就職活動中のサイタマが、怪人に狙われていた子どもをかばって戦う。この日が、サイタマが子どものころの夢を思い出し、ヒーローになると決めた日になる。事実[1]

ハヤテ

三年前の、ヒーローになる前のサイタマですね。まだ、誰の目にも普通の人に見える。作中の観察

ミナト

二周目は、あの回想を一期の基準点だと思って観た。ヒーローになると決めた日。そこから先の一発は、全部あの日の続き。解釈

ハヤテ

決めた日が一つあって、その先に全部がある。……整備でも、最初の一台だけは、説明書を見ながら全部手でばらしました。あとは、手が覚えてます。好み

夢の中の強い相手

一話目の後半、サイタマは眠っているあいだに、地下に住む種族が地上へ攻めてくる夢を見る。夢の中の敵は強く、久しぶりに戦う手ごたえがある。ところが目を覚ますと、本当に攻めてきた地底の者たちはとても弱く、王も一蹴りで終わってしまう。事実[1]

ハヤテ

夢の中のサイタマ、楽しそうでした。現実に戻ったら、急に顔から力が抜けて。作中の観察

ミナト

一周目は、ここをオチのための夢だと思ってた。二周目は、一期ぜんぶの予告に見えた。手ごたえのある敵が来てほしい、っていう願いを、一話目のうちに夢の形で見せてる。解釈

ハヤテ

僕は、夢の中の戦い方のほうが、サイタマらしく見えました。よけて、受けて、考えて。起きてからの一発より、手数が多い。作中の観察

ミナト

手数が多いほうが本人は楽しい。それを一話目で夢にしか置かない。二周目は、そこが少し意地悪に見えた。解釈

同じ一話目には、もう一人、強さを求めた者が出てくる。世界でいちばん強くなりたくて、兄の作った薬で巨大な体になったマルゴリ。事実[1]

ミナト

一話目のうちに、いちばん強くなりたかった人が、サイタマ以外にもいる。それも二周目に気づいた。強さを求めた先の話を、主人公の一人分だけじゃなくて、何人分か並べてる。解釈

ハヤテ

マルゴリの回は、一周目は大きさにばかり目が行って、二周目は倒れたあとの顔を見ました。いちばん強くなりたかった人の顔として観ると、一周目とは違う顔に見えました。好み

結末・正体最後の相手(正体と結末)押すと開きます

最終話で戦う宇宙の覇者ボロスも、同じ列に並ぶ。宇宙に自分と張りあえる者がいなくて退屈し、互角に戦える相手を探して、地球までやってきた。サイタマと同じ退屈を抱えた、もう一人の最強。

戦いは長く続く。最後はサイタマが本気の一発を出して、ボロスは敗れる。ボロスは、最後に自分の全部をぶつけられたことに満ちたりて、息を引き取る。事実[1]

結末・正体夢がかなったのはどちらか(結末の読み)押すと開きます

一話目の夢と並べると、最終話はこう読める。一話目のサイタマは、強い敵が来る夢を見て、目を覚まして、がっかりした。最終話のボロスは、強い敵に会いに行く夢を本当にかなえて、満ちたりたまま終わる。

手ごたえのある相手に会えて満足したのは、サイタマじゃなくてボロスのほう。一期は、主人公が見た夢を、最後に敵の側にかなえさせて閉じている、と俺は読んだ。一話目のマルゴリ、真ん中にいるサイタマ、最終話のボロス。強さを求めた三人のうち、最後に満ちたりたのは、いちばん遠くから来た一人だけ。解釈

ハヤテ

……そう読むと、最終話の見え方が変わります。最初に観たときは、勝ち負けの話としか思ってなかったです。好み

ミナト

結果と中身が、別々の人に配られてる。二周目は、そこで止まった。解釈

順位という番号

サイタマはジェノスと一緒に、ヒーロー協会の試験を受ける。体を使う試験では記録を次々に塗りかえるのに、筆記がまるでだめで、いちばん下のC級にどうにか滑りこむ。そこから先、サイタマの強さは、C級の何位という番号で数えられることになる。事実[1]

同じ試験で、ジェノスはいきなり最上位のS級に入る。師匠がいちばん下で、弟子がいちばん上。一期の順位の話は、このねじれから始まる。事実[1]

ハヤテ

筆記で落ちかけるところは、僕は笑えなかったです。勉強の計画を後回しにするのは、僕もなので。……免許の学科は、ちゃんと受かりました。好み

ミナト

お前は、試験の手前で止まれる側。

ミナト

俺は町を、住所と地番の二つで見る癖がある。人が呼ぶための名前と、記録のための番号。ヒーローの順位も、たぶん地番のほう。そこで何が起きたかじゃなくて、記録に何が残ったかの番号。解釈

ハヤテ

カートでいうと、タイムと順位は別物です。どれだけ速く走っても、ぶつけられたら順位は落ちます。逆に、前の車が止まったら、何もしなくても上がります。好み

中盤まで中盤の展開(順位が動く回)押すと開きます

Z市へ向かってきた巨大な隕石を、サイタマは一発で砕く。その破片が町に降りそそいでZ市は大きな被害を受けるが、奇跡的に死者は出ない。この一件で、サイタマの順位は、C級の342位から一気に5位まで上がる。

さらに、海から来た深海王との戦いのあと、サイタマはB級の101位に上がる。事実[2]

ミナト

二周目は、順位が動く回で、番号のほうをメモした。強さはずっと同じなのに、番号だけが動く。番号が動くのは、サイタマが強くなったときじゃなくて、町の人がサイタマを見たとき。解釈

ハヤテ

見てもらえた回だけ、上がるんですね。解釈

ミナト

あと、C級の1位にいるのが、自転車の人。サイタマがC級の下のほうにいるとき、同じC級のいちばん上にいる。番号だけ並べたら、自転車の人のほうがずっと上。二周目は、それが冗談に見えなくなった。解釈

ハヤテ

番号の上と下で、いちばん現場に通っている二人です。解釈

何度でも来る忍者

音速のソニックは、忍者の里で育った、雇われれば暗殺も用心棒もこなす男。自分を最強の忍者だと言ってはばからない。初めてサイタマとぶつかった回では、サイタマが止めたまま突き出していた拳に、自分の勢いで股間からぶつかって、身もだえしながら退く。そこから一方的に、サイタマを宿命のライバルと思いこむようになる。事実[1]

ハヤテ

二周目は、あの拳を見てました。サイタマは、殴ってないんです。止めて出していただけ。ぶつかってきたのは向こうでした。作中の観察

ミナト

一周目は、ただのしょうもない負け方で笑ってた。好み

ハヤテ

僕も笑いました。でも二周目は、止めた拳のほうが気になって。速い人が、止まっているものにぶつかって負ける。どこで止まるかを先に決めた人のほうが、最後は速い。ソニックは、手前で止まれなかった。解釈

このときソニックがサイタマの名前を知らないと言い放ったことが、サイタマに、自分がヒーローとして誰にも知られていないことを気づかせる。それがきっかけで、サイタマはジェノスに勧められてヒーロー協会に入ることになる。事実[1]

ミナト

順位の話は、この忍者の一言から始まってる。お前なんか知らない、って言われて、知られるために協会に入る。番号をもらうきっかけを作ったのが、番号のいちばん外にいる人。元をたどると、そうなってた。解釈

中盤まで中盤の展開(忍者のその後)押すと開きます

ソニックはそのあとも、決着をつけろとサイタマの前に現れる。サイタマは相手にせず、暴れはじめたところを背中への軽い一打で終わらせる。雨の日の戦いでは深海王と互角に渡りあうが、雨で本来の姿を取り戻した深海王に押されて退く。

二周目に並べてみると、ソニックが来るたびに本気なのに対して、サイタマの扱いはいつも軽い。追いかける側だけが、相手の顔をしっかり覚えている。事実[2]

ハヤテ

カートでも、知らないうちにライバル扱いされている時があります。向こうは毎回、僕のラインを見ているのに、僕はその人の名前を知らない。……少し、申し訳なくなります。好み

自転車で駆けつける人

ここからは、ハヤテが二周目にずっと目で追っていた人の話。無免ライダーは、C級の1位にいる、自転車で駆けつけるヒーローだ。力はそれほど強くない。初めて出てくる回では、強化スーツを着た一味に、あっさり倒されてしまう。事実[1]

ハヤテ

僕は二周目、ほとんどこの人ばかり見てました。乗っているのは自転車。エンジンも何もないのに、毎回、自分の足で現場に向かいます。好み

ミナト

一周目は、弱いヒーローの代表、くらいに見てた。好み

ハヤテ

僕もです。でも、自転車で駆けつける人は、いつもいちばん遅れて着きます。着いたときには、もう誰かが倒れている。それでも、着いたら逃げない。乗り物の速さと、引き返さないことは、別のことなんだと思いました。解釈

ミナト

雨の日の回で、俺が止めたのは別のところ。サイタマが本気になるきっかけ。作中の観察

中盤まで中盤の展開(道に落ちていたもの)押すと開きます

深海王が暴れていると知って現場へ向かう途中、サイタマはいったん別のものに気を取られる。そのあと、道に落ちていた携帯電話に行き当たり、顔つきを変えて、協会に今から行くと告げる。

一周目は、のんびりしていた人が急にやる気を出す、くらいに観ていた。二周目は、行き当たったのが電話だったことが引っかかった。たぶん、誰かが逃げるときに落としていったもの。画面の向こうで助けを求めていた誰かの気配が、道に一個だけ残っていた。俺はスマホを落とさない人間だけど、あの一台には手が止まった。作中の観察

中盤まで中盤の展開(雨の日の戦い)押すと開きます

深海王は、海から地上へ攻めのぼってきた種族の王。雨で体がうるおうと力を取り戻し、避難所に集まった人たちのところで、駆けつけたヒーローを次々に倒していく。そこへ自転車で到着した無免ライダーは、勝ち目がないのを分かったうえで挑みつづけ、ぼろぼろになりながら、サイタマが着くまでの時間をかせぐ。

このあと、B級に上がったサイタマのもとに、深海王との戦いで助けてもらった礼の手紙が届く。送り主は無免ライダーで、二人は屋台で一緒に食事をする。事実[1]

ハヤテ

雨の中で、自転車の人が立ち上がるたびに、僕は再生を止めました。……タイヤが、雨の中でちゃんと路面をつかんでいるかどうか、ずっと気になってしまって。好み

ミナト

そこを見るのは、たぶんお前だけ。

ミナト

俺は、自転車の人が立ち上がるたびに、周りで見ている人たちの顔のほうを見てた。最初は逃げる準備をしてた顔が、だんだん画面のほうを向いていく。勝てない人が、見ている人の向きを変えてる。解釈

結末・正体終盤の無免ライダー(結末にかかわる)押すと開きます

最後の戦いのあいだ、無免ライダーは、壊れたA市に残された人たちを避難させて回っている。一緒にいるのは、深海王の戦いで傷ついたスティンガーと、一話目にA市で倒されたイナズマックス。

サイタマが船の中で最後の相手と向きあっているとき、画面の外では、一話目に負けた人と、雨の日に負けた人と、自転車の人が、同じ町で人を逃がしている。

ハヤテは、二周目でいちばん長く止めたのはここだと言った。速い人が前で戦って、間に合わなかった人が後ろで支える。一話目で負けた人が最後にA市へ戻ってくる理由が、戦うためじゃなくて人を逃がすためだったと分かって、俺の中で一話目と最終話がつながった。事実[1]

壊れても戻ってくる弟子

サイタマの弟子になるジェノスは、十五歳のときに、暴走したサイボーグに町と家族を奪われた青年。命をつなぐために、クセーノ博士の手で体をサイボーグに作りかえられた。蚊の怪人の回では、蚊の群れをあやつる怪人に追いこまれ、自爆で道づれにしかけたところを、サイタマに救われる。事実[1]

ハヤテ

僕がジェノスの回で見ていたのは、壊れたあとの場面です。負けるたびに、博士のところで直されて、強くされて戻ってくる。ジェノスが乗り手なら、博士はメカニックです。毎回、前より少しよくして送り出す。ピットで、タイヤを替えて、ブレーキを確かめて、もう一回コースに戻すのと同じで、その手順が……。ピットの話になってました。解釈

ミナト

いい。そこは、俺には出てこない見方。

ハヤテ

博士は、ジェノスが無理をしすぎるのを、いつも気にかけていると思います。直す人は、直すたびに、どこまで壊れてきたかを全部見ているので。解釈

中盤まで中盤の展開(手合わせ)押すと開きます

協会に入ったあと、新しい装備を受けたジェノスは、サイタマに本気で手合わせしてほしいと頼む。サイタマは付きあい、本気になった途端にジェノスをまるで寄せつけない。けれど、とどめの一撃は止める。そして、何ごともなかったように、飯でも食いに行こうと誘う。作中の観察

ハヤテ

ここも止めてるんです。忍者のときと同じで、最後の一撃を手前で止める。一期のサイタマは、殴るのがうまい人というより、止めるのがうまい人に見えてきました。解釈

ミナト

三周目は、止める場面だけ拾って観る。殴る場面は、もう覚えてるから。好み

ジェノスは敗れるたびに、クセーノ博士に手を入れてもらって、力を上げていく。事実[1]

中盤まで中盤の展開(雨の日のもう一人)押すと開きます

深海王と戦ったジェノスは、はじめは押していたのに、腕をもぎ取られ、酸を浴びそうになった子どもをかばって大きく壊れる。ジェノスが敗れたのは、子どもを守るほうを選んだから。

同じ雨の日に、機械の体で戦った人と、自転車で駆けつけた人が、どちらも人を守って倒れている。サイタマが着いたのは、その二人のあと。事実[1]

ハヤテ

畳んだ雨の日の二人は、どっちも、乗り物の性能の話じゃなくて、どっちを向いて立っていたかの話でした。解釈

町の人の声を聞く

中盤まで中盤の展開(隕石のあと)押すと開きます

隕石を砕いたあと、サイタマを快く思わないヒーローの兄弟が、町が壊れたのはあいつのせいだと人々をあおる。サイタマは、町を壊したのが自分の砕いた隕石の破片だと正面から認めたうえで、責める人たちに強く言い返して黙らせる。事実[1]

中盤まで中盤の展開(雨の日のあと)押すと開きます

深海王を倒したあと、避難所の一人が、負けたヒーローたちを役立たずだとけなす。するとサイタマは、自分が楽に勝てたのは、ほかのヒーローたちが先に敵を弱らせておいたからだ、と言いだす。わざと自分の手柄を小さく見せ、悪く言われる役を引き受けて、倒れたヒーローたちの面目を守る。作中の観察

ミナト

二周目は、畳んだ二つの場面を並べて観た。同じ人が、二つの回で逆のことをしてる。解釈

ハヤテ

二回とも、サイタマは自分の得になることを言わないですね。作中の観察

ハヤテ

逆なのに、守っているものは同じです。片方は町の人の暮らしで、もう片方は、倒れた人たちの面目。解釈

ミナト

それ。もう一つ、町の人のほうも見た。町の人は、自分の見た一場面だけで決める。隕石の破片が降ってきたところ、ヒーローが倒れてたところ。全体は知らない。俺も切り抜きの一場面で作品を決めかけることがあるから、あの人たちの顔は他人事じゃなかった。解釈

ハヤテ

見えた一場面で決めるのは、レースの観客席も同じです。最後の周でぶつかった人が、その日いちばん悪く言われる。その前の何十周を、誰も覚えていない。好み

ミナト

切り抜きと同じ。俺は切り抜きから入る人間だから、切り抜きが悪いとは言わない。ただ、二周目は、町の人が見てなかった側を観る周にしてる。隕石が砕ける前に、誰がどこで何をしてたか。そっちを観ると、町の人の文句が、少し違う音に聞こえる。解釈

最終話の戦い

結末・正体最終話の戦い(結末)押すと開きます

最終話、ボロスは抑えていた力を全部出し、戦いは船の中から外まで広がる。サイタマは月まで蹴り飛ばされるが、そこから跳んで戻り、船に突っこむ。ボロスが地球ごと消せるほどの一撃を放つと、サイタマは本気の一発で応じ、それを押し切る。事実[2]

結末・正体最後の一撃の名前(結末)押すと開きます

サイタマが本気のときに出す技には「マジ」とつく、気の抜けた名前がそろっている。宇宙の覇者を終わらせた一撃も、その中の一つ、マジ殴りだ。事実[1]

結末・正体最終話の読み(結末)押すと開きます

ハヤテは、月から戻ってくるところで、ずっと着地の場所を見ていた。あれだけの距離を跳んで、ちゃんと船に当てて戻ってくる。勢いだけじゃなくて、向きを決めてから跳んでいるように見える、と言う。ピットから出る前にシートの位置を直すみたいに、跳ぶ前に一回だけ体の向きを直している気がする、とも。俺は笑う場面だと思っていたけど、そう言われると、狙っている顔に見えてきた。次は、跳ぶ前の一瞬で止める。

もう一つ、二周目に笑ったのは、最後の一撃の名前。一期でいちばん大きい一発の名前が、いちばん地味。宇宙の果てから来た相手の大げさな技と並べると、差が大きすぎる。ハヤテは、名前が地味なほうがかえって強そうに聞こえる、と言った。整備の工具も、いちばんよく使うのは、名前のいちばん普通のやつだから、と。解釈

結末・正体戦いのあと(結末)押すと開きます

戦いが終わって船から出てきたサイタマを待っていたのは、ねぎらいではなかった。S級のヒーローの一人に、自分の手柄を横取りしたと責められる。弟子のジェノスがかばって言い返す。最強の戦いのすぐあとに来るのは、そういう小さな言い合い。

隕石の回も、雨の日の回も、最終話も、サイタマの一発のあとには、たいてい誰かの勘違いか、誰かの文句がついてくる。一期は、最強の一発と、その一発が正しく数えられないことを、毎回ひと組にして見せている。作中の観察

ハヤテ

畳んだ最後の場面まで観ると、サイタマは、ずっとそういう役回りなんですね。好み

ミナト

礼をちゃんと言ったのは、畳んだ雨の日のあとの、自転車の人くらい。そこまで含めて、二周目のほうが好きになった。解釈

一期という区切り

アニメ第1期はマッドハウスの制作で、監督は夏目真悟。村田雄介の作画による版をもとにしていて、一期の中で一つの大きな戦いに決着がつく。事実[1]

ミナト

漫画のほうは、この先も長く続いてる。でも一期は、一期だけで一回ちゃんと閉じてる。続きがある作品の中に、一つだけ閉じた区切りがあるのは、二周目にちょうどいい。解釈

ミナト

これから二周目に入るなら、俺がやった順番を一つ。一話目を観たら、畳んだ中身でA市がもう一度出てくる回へ飛ぶ。そこで一回見比べてから、最初に戻って順番どおり。最後にもう一回、一話目の冒頭だけ。行ったり来たりすると、同じ町の二枚の地図が手元にそろう。好み

ハヤテ

僕は順番どおりがいいです。コースは、一コーナーから順に覚えたいので。……でも、自転車の人の回だけは、続けて観ます。好み

ミナト

それでいい。入り方が違っても、同じ町に着く。解釈

ハヤテ

同じ町に着いても、着く時間は、たぶん僕のほうが遅いです。自転車の人みたいに。好み

ミナト

遅く着いて、逃げない。一期を二周して、俺にいちばん残ったのはそっち。一発の速さより、遅れて着く人の足。解釈

ハヤテ

三周目は、自転車の人が出てくる回だけ、続けて観てみます。初めて出てくる回と、雨の回と、最後の回。好み

ミナト

俺は一話目のA市の窓を、もう一回数える。……お前の自転車の三本と、俺の窓の一本で、四本か。

ハヤテ

来週の日曜の夜、八時でいいですか。

ミナト

了解。せーので押す。

二周目は一話目の冒頭、A市の通りから。最初に倒されるヒーローの顔を覚えておくと、二周目の最後がちがって見える。

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話した人 ミナト 父の本棚ではなく、自分の縦スクロールで育った23歳 ミナトの記事をもっと読む →

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