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『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』を最後まで見た人に向けた、二周目の手引きです。一周目の私は、白い機体の少年の強さばかり見ていました。二周目に追いかけたのは、団長の机の上です。全50話の結末まで触れますが、展開にかかわるところは段階ごとに畳んであります。聞き手は、ハルさんにお願いしました。
一周目は機体を見て二周目は団長の机を見る
白状すると、一周目は戦いの場面を待ちながら見ていました。ところが二周目、私の目は団長のオルガが座る席のほうへ行きました。子どもたちだけで会社を始め、急に大きくして、誰に何を約束したのか。花の会社を大きくしていたころの自分の机と、重なって見えたからです。好み
基本の情報です。監督は長井龍雪さん、シリーズ構成は岡田麿里さん、アニメーション制作はサンライズ。第1期は2015年10月4日から2016年3月27日まで、第2期は2016年10月2日から2017年4月2日まで放送され、全50話(各25話)です。事実[1]
今日の気分、先に聞いてもいいですか。僕は一周目の最終回のあと、二日くらい何も手につかなかったんです。だから今日は、泣く準備だけしてきました。
ありがとうございます。私は……少し間をください。大丈夫です。今日は泣く場面より、その手前を一緒に見られたらと思っています。好み
見どころ1 最初の同意
中盤まで序盤の展開(第1〜3話)押すと開きます
主人公たちの所属する民間警備会社CGSがギャラルホルンの攻撃を受けると、社長のマルバや主力部隊の大人たちは、少年兵の部隊「参番組」に後始末を押し付けて逃げ出します。戦いのあと、隊長のオルガは仲間の同意を得て大人たちに対するクーデターを決行し、組織の名を鉄華団と改めます。事実[2]
二周目に止めてほしいのは「仲間の同意を得て」のところです。一周目は勢いで乗っ取ったように見えました。けれど、オルガは先に仲間に聞いている。創業の一日目に、誰に何を確かめたか。そこが後の50話の土台になっていると、私は読みました。解釈
もうひとつ、二周目に効いてくる設定があります。参番組の隊員の大半は学校に通ったことがなく、文字の読み書きもできないとされています。鉄華団という名前は、「決して散ることのない鉄の華」という意味を込めてオルガが付けたものです。事実[3]
読み書きができない人たちの会社、って二周目に聞くと重いですね。契約書、誰が読むんだろうって。
そうなんです。そこで二人目の大事な人が出てきます。
見どころ2 参謀がひとりしかいない
参謀役のビスケットは、少年兵の中でただ一人学校に通った経験があり、外部との交渉や戦いの作戦立案を務める16歳だと紹介されています。読めて、話せて、計算できる人が、ひとりしかいない組織です。事実[4]
中盤まで中盤の展開(地球降下のあと)押すと開きます
地球に降りたあとの戦いで、ビスケットはオルガをかばって命を落とします。その死を受け止められないオルガは一時ふさぎ込み、三日月の叱咤を受けて立ち直ると、ギャラルホルンへの徹底抗戦を宣言します。事実[5]
ここから私の読み方です。二周目は、ビスケットがオルガに「待った」をかける場面を数えてみてください。交渉も作戦も、一人の少年に載っていた。「待った」が誰の役目だったのかを、二周目は確かめてみてください。その一人がいなくなったあと、団長を立ち直らせたのが、前へ進めと言う側の声だった。組織の向きは、そこで決まったように私には見えました。解釈
もう一人、反対意見を言える人がいます。ユージンはオルガと何度もぶつかってきましたが、オルガからは遠慮のない意見をくれる数少ない人物として、かえって信頼されていると書かれています。事実[8]
私も会社を大きくしていたころ、反対してくれる人を「ありがたい」と言いながら遠ざけていました。会議で黙る人が増えたのを、まとまってきたと勘違いしたんです。好み
タカシさん、それ今日いちばん効きました。……でも、アドバイスとして聞くのは今日はやめておきます。作品の話で受け取りたいので。
はい。そのほうがいいですね。言いすぎるところでした。
見どころ3 支部をつなぐ線は一本
中盤まで第2期の展開(第26〜33話)押すと開きます
第1期の大仕事を終えて火星へ帰った鉄華団は、ハーフメタルの利権から得た資金で、地球に支部を置くほどの大企業になります。やがて地球で武力紛争が起きると、ラディーチェの裏切りで火星の本部との通信を封じられたタカキたち地球支部は、否応なく戦闘に加わり、黒幕ガラン・モッサの策略で多くの団員を失います。事実[6]
一周目は裏切り者の話として見ました。二周目は、本部と支部をつなぐ線が何本あったかを見てください。通信が一本切られただけで、地球の団員たちは本部の判断を仰げなくなる。急に大きくなった会社が最初につまずくのは、たいていこの線の細さです。解釈
僕のまわりでも、急に人が増えたチームってだいたいそこで揉めてます。連絡がつかない時間に、誰が決めていいのか。
見どころ4 ほつれた制服と葡萄色のスーツ
第1期と第2期のあいだを描いた『幕間の楔』では、オルガはクーデリアから経営者としての教育を受け、慣れない机仕事を続けます。身だしなみに手が回らず、ほつれた制服を着続けていたため、ユージンの提案で仲間から葡萄色のスーツを贈られ、それが第2期からの新しい「戦闘服」になったとされています。事実[7]
二周目は、第2期のオルガの服を見てください。仲間が贈ったスーツは、団長が机から離れられなくなった証でもある、と私は受け取りました。私は仕事中も作業着で通していますが、それは現場にいたいという私のわがままです。オルガには、そのわがままを通す時間がなかった。解釈
見どころ5 最後に守った約束の順番
結末・正体結末(第47〜50話)押すと開きます
敗北を悟ったオルガは、自分とマクギリスの身柄と引き換えに団員の助命を求めますが、拒まれます。そのあと、全員が生き延びる道を見つけたところで、オルガは銃撃を受けて亡くなります。三日月はオルガの言葉を胸に前へ進むよう仲間を諭し、三日月と昭弘は脱出の仕上げのため最後尾で戦います。事実[9]
結末・正体結末のあと押すと開きます
騒乱ののち、火星はクーデリアを代表とする火星連合として自治の体制に移り、生き残った団員たちはそれぞれの人生を歩み始めます。事実[10]
最後の数話で、オルガは「全員が生き延びる」ことを約束の一番上に置いたように見えます。一周目の私は、遅すぎると思いました。二周目は、遅くても順番を入れ替えたこと自体を見届けたい、と思いながら見ました。解釈
……また私の話にしてしまいますね。私も、何を先に守るかを何度も間違えました。間違えたと気づいた日に入れ替えられたかどうか。それだけは、あとから自分を許す材料になります。好み
二周目、最終回の前にもう一回だけ第1話を見てから行きます。最初に聞いた「同意」と、最後の約束を並べたいので。
二周目の地図
二周目は、戦闘の勝ち負けではなく、組織の図を描きながら見てください。最初の同意、ひとりの参謀、支部への一本の線、ほつれた制服、最後の約束。その五つを順に追うと、少年たちの会社がどこで無理をしたのかが、責める調子ではなく見えてきます。解釈
二周目は団長の机を見る。誰に同意を取り、誰に止めてもらい、最後に何を先に守ったか。