目次
この文章は、TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を最後まで観た人のための、二周目の案内です。まだ観ていない人は、どうかここで閉じて、第1話からひらいてください。あの13話を初めて通り抜ける時間は、一度しかないから。物語の展開や結末に触れるところは、すべてクリックしないと読めない箱に入れました。箱の外には、展開は書いていません。
一周目の私は答えを待っていた
一周目の私は、正直に言うと、少し急いでいました。ヴァイオレットが胸に抱えている「ある言葉」。その意味を、彼女はいつ理解するんだろう。一話ごとに、手紙の依頼人の話に心を動かされながらも、頭のどこかでずっと、答えが出る瞬間を待っていた。好み
公式サイトには、この作品の言葉として「彼女はまだ知らない、「愛してる」の意味を。」と書かれています。事実[1]
一周目、私はこの「まだ」に引っぱられて観ていたんだと思います。まだ知らない。だから、いつ知るのか。でも二周目は、もう「まだ」の先を知っている。答えを待たなくていい。そうなると、不思議なことに、言葉そのものより、言葉の手前にある沈黙や、言葉の外にある手つきのほうが、ずっとよく見えてくるんです。私はそう受け取りました。解釈
答えを知ってから観ると、視線の置き場所が変わるよね。一周目は「何が起きるか」を追ってる。二周目は「どう見せているか」を追える。解釈
うん。私の場合は「誰が黙っているか」かな。一周目は、話している人の声ばかり聞いていたから。
第1話の監督の言葉を手に持って観る
公式サイトのあらすじページには、各話の演出を担当した人たちの言葉が添えられています。第1話の絵コンテ・演出を担当した石立太一さんは、そこで「「彼女の見た世界」ではなく「世界を見た彼女」を描く」と書き、その客観的な視点こそがこの作品にふさわしいのではないか、と続けています。事実[2]
同じ文章の中で、石立さんは「彼女の成長とともに視点も変化していくかもしれません」とも書いています。事実[2]
二周目を始める前に、この二つの言葉を手に持っておくと、第1話の見え方がまるで変わります。カメラは、ヴァイオレットの目になって世界を見るのではなく、少し離れたところから、世界の中に立つ彼女を見ている。一周目の私は、彼女の表情が読めないことを「感情がない人だから」と受け取っていました。でも二周目は、読めないように撮られているんだ、と気づく。距離を取っているのは彼女だけじゃなく、画面のほうでもあった。解釈
それ、構造としてすごく面白い。主人公の内側に入らない撮り方を最初に決めておくと、後半で少しでも近づいたとき、その差が観る人に効くんだ。距離は、縮めるためにまず開けておく。根拠のある推測
レンに言われて、二周目は人物とカメラの距離を気にしながら観たの。顔が近いか遠いか、場面ごとに心の中でメモしていくと、それだけで彼女との距離の感じ方が変わる。好み
最終話の言葉と並べてみる
最終話の第13話も、絵コンテは石立太一さんです。その回に寄せた言葉で、石立さんは「ヴァイオレットの瞳に映るその世界は、初めから輝いていて、その事にヴァイオレット自身が気づけたのでは無いかと思います」と書いています。事実[3]
「初めから輝いていて」。この一言を知ってから第1話に戻ると、港町の光、ガス灯、トラムの音、人のにぎわいが、一周目よりずっと明るく見えました。世界はずっと美しかった。変わったのは世界ではなく、それに気づく彼女のほうだった。第1話の「世界を見た彼女」と、最終話の「気づけた」は、同じ一本の線の両端なんだと、私は受け取りました。解釈
だから二周目は、背景の光をよく見てほしいと思います。一周目、私は人物の顔ばかり追っていて、窓から入る光や、街の色を、ほとんど見ていなかった。二周目に初めて、あの街がずっと、彼女を迎え入れるように光っていたことに気づきました。好み
影のつけ方と服の変わり方
第2話に寄せた言葉では、代筆室にいるキャラクターの影のつけ方と色味にこだわった、と書かれています。窓に近い人物は窓の光でコントラストを強く、窓から遠い人物は通常の影付けにし、全体的に色を落とした、と。事実[4]
同じ部屋にいても、窓との距離で人の見え方が違う。二周目、私はこれを人間関係の地図として観ていました。代筆室の誰が光に近く、誰が奥にいるのか。新しく来た人はどこに座り、慣れた人はどこにいるのか。台詞では語られない距離が、光の量で描かれている。ここは、レンに教わった「根拠を画面から拾う」観方が、いちばん役に立った場面です。解釈
第7話の絵コンテ・演出を担当した山村卓也さんは、その回に寄せた言葉の中で「オスカーの服装の変化なども含めてみていただけると嬉しいです」と書いています。事実[5]
一周目の私は、依頼人の服なんて覚えていませんでした。二周目は、第7話の依頼人が最初にどんな格好で現れ、最後にどんな格好でいるかを、意識して観た。言葉にしない心の変化が、身なりに出る。この作品は、そういう「言わないで見せる」工夫に満ちています。解釈
名前の呼び方が少しずつ変わる
第5話の絵コンテを担当した山田尚子さんは、その回に寄せた言葉で「名前を呼ぶことを大切にしました」と書いています。宮廷女官のアルベルタが王女シャルロッテに話しかけるとき、その時々の想いに寄り添った呼びかけであるように、と。そして「姫。姫さま。シャルロッテ姫。シャルロッテ。」と、呼び方を並べています。事実[6]
私はこの言葉を読んで、すぐに第5話を観直しました。一周目には、呼び方の違いにまったく気づいていなかった。二周目に耳をすますと、同じ人を呼ぶ声が、場面ごとに少しずつ形を変えている。呼び方が変わるたびに、二人の距離が、言葉よりも先に動いているのがわかります。解釈
私の研究テーマの一つは「同じ言葉が関係の変化で違って聞こえる理由」です。名前は、その一番わかりやすい例だと思います。名前そのものは変わらない。でも、どの形で、どんな声で呼ぶかで、それは命令にも、敬意にも、別れの挨拶にも、愛情にもなる。二周目は、ヴァイオレットが誰からどう呼ばれているかも、ぜひ追いかけてみてください。解釈
呼び方って、情報の量は同じなのに、関係の情報だけが増えたり減ったりするんだよね。僕は二周目、ヴァイオレットが自分のことをどう名乗るかもメモしてた。作中の観察
名乗り方、いいね。呼ばれ方と名乗り方、両方並べたら、彼女が自分の名前をどう受け取っていったかが見えそう。
中盤まで中盤の展開(第8話まで)押すと開きます
第8話は、ヴァイオレットがまだ戦場にいたころの話です。公式のあらすじによると、北東戦域で拾われた、言葉も話せない孤児の少女を引き取ったギルベルトは、その少女を「ヴァイオレット」と名付けた。その名が似合う女性になるようにと願いを込めて。二周目にこれを知った状態で第1話からの「ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」という名乗りを聞くと、一周目とまるで違って聞こえます。彼女は名乗るたびに、名付けた人の願いを、知らないうちに口にしていた。第5話で山田さんが大切にしたという「名前を呼ぶこと」が、この回でいちばん深いところまで届きます。また第8話の演出を担当した澤真平さんは、二人の交流を互いの視線に込めて演出した、語り合う言葉は少なくとも互いの瞳は会話をしている、と書いています。エメラルドのブローチを見て「少佐の瞳があります」と言う彼女の場面も、その視線の延長にある。二周目、私は第1話から彼女が胸につけているブローチを、ずっと目で追うことになりました。
手紙は短くてもいい
第3話のあらすじでは、ヴァイオレットが養成学校で出会ったルクリアの想いを綴り、兄のスペンサーに届けます。それは任務でも課題でもない、彼女が代筆した、短いけれど心のこもった「手紙」だった、と書かれています。事実[7]
一周目、私は「良い手紙=美しく長い手紙」だと、どこかで思いこんでいました。二周目に第3話を観ると、この作品は早い段階で、その思いこみをそっとほどいている。言葉を飾ることより、何を伝えたいのかを見つけることのほうが大事だと。二周目は、このあとの回でも、手紙の長さや飾り方に注意してみてください。この第3話を通ってから観ると、どの依頼でも「何を伝えたいのか」が先に問われていることがわかります。解釈
第4話のあらすじには、手紙だと届けられる、素直に言えない心のうちも届けられる、というヴァイオレットの言葉が出てきます。そして同じ回で、『愛してる』はとても勇気のいる言葉だ、と彼女は知る。事実[8]
差し伸べられた手に気づかない二人
第6話の舞台は、ユースティティアの山間部に建つシャヘル天文台です。あらすじは、200年に一度の彗星にまみえるように、人と人の出会いも思いがけず訪れ、瞬く間に過ぎていく、という一文から始まります。事実[11]
この回に寄せた作り手の言葉には、ヴァイオレットと、天文台で働く少年リオンについて、自分にとって重要な一点のみを見つめて生きていて、周囲から差し伸べられた手に気づかない、そんなところが似ている、と書かれています。事実[12]
一周目の私は、この回をちょっと甘酸っぱい出会いの話として観ていました。二周目にこの言葉を知ってから観直すと、画面の端々に「差し伸べられた手」が映っていることに気づきます。声をかけようとして、やめる人。遠くから見守っている人。手は何度も差し出されているのに、一点だけを見ている人には、それが見えない。そして二周目の私は、第1話からずっとヴァイオレットのまわりにあった手を、数えはじめることになりました。郵便社の人たち、依頼人たち、迎えに来た人。一周目の私も、彼女と同じように、その手を見落としていたのかもしれません。解釈
中盤まで中盤の展開(第6話まで)押すと開きます
彗星の夜、リオンは母に置いていかれた寂しさを打ち明けます。それでも母を大切に思っている、と。その話は、ヴァイオレットが自分でも気づいていなかったギルベルトへの感情と重なり、彼女は「私は、あの方と離れて『寂しい』と感じていた」と口にする。一周目、私はこの台詞を、彼女の成長の一歩として受け取っていました。二周目は、少し違う場所で胸が詰まります。それまでの5話ぶん、彼女はずっと寂しかったのに、その気持ちに名前がなかった。名前がないまま、黙って働いていた。私は昔、気持ちにぴったりの名前をつけることが理解することだと思っていました。でもこの場面を二周目に観ると、名前がつく前の時間にも、気持ちはちゃんとそこにあったのだと思えます。第1話から第5話までの彼女の沈黙を、二周目は「寂しさの時間」として観直すことができる。それは一周目には決してできなかった観方です。
「愛してる」は誰が誰に言うのか
二周目に私がいちばんやりたかったのは、この作品の中で「愛してる」という言葉が、誰の口から、誰に向かって出てくるのかを、全部拾うことでした。一周目は、ヴァイオレットに向けられた一つの「愛してる」の意味だけを追いかけていた。二周目は、ほかの人たちの「愛してる」を並べて聞くことができる。好み
届かなかった「愛してる」。言えなかった「愛してる」。手紙に託された「愛してる」。同じ四文字なのに、誰が待っていたかで、まったく違う重さで聞こえる。私は二周目、この言葉が出てくるたびに、言った人ではなく、聞いた人の顔を見るようにしました。すると、言葉を受け取る側にも、それぞれの沈黙があることに気づきます。解釈
それ、数えたら何回になった?
……数えてない。数えるより先に、毎回ちょっと泣いてた。
それでいいと思う。数えたら僕は満足して終わっちゃうから、スイのほうが正しい観方かも。好み
中盤まで中盤の展開(第9話まで)押すと開きます
第7話の終わりで、ヴァイオレットは、誰かの「いつかきっと」を自分が奪っていたことに気づきます。そして第8話で戦場の過去が語られ、第9話で、ギルベルトが最後に告げた言葉の場面にたどり着く。公式のあらすじでは、ギルベルトは「生きて、自由になりなさい。心から……愛してる」と微笑みかけ、ヴァイオレットは「あい」ってなんですか、と訴える。その後、瓦礫の中からギルベルトが見つかることはなく、未帰還兵として処理され墓が建てられていた、と書かれています。一周目、私はここで答えを受け取ったつもりになりました。でも二周目に観ると、この回で本当に大切なのは、そのあとです。部屋に籠もった彼女のもとに、初めて自分宛ての手紙が届く。差出人は、代筆の仕事で出会った同僚たち。そして配達を手伝いながら、どの手紙にも誰かの大切な思いが詰まっていると感じる。彼女が奪ってきた命の事実は消えない。でも、その手が書いた手紙が人を救ってきた事実も消えない。第9話の作画をめぐる言葉には、この回のヴァイオレットは服も義手も目元もぼろぼろで、一番ぼろぼろなのは心だった、とあります。そしてヴァイオレットを演じた人の言葉として、OP映像の中で叫んでいる彼女を初めて見た日から、いつかこうなる彼女を演じなければならないと覚悟してきた、という一文も残されています。二周目、OPを飛ばさずに観てください。あの映像は、最初から第9話を知っていました。
返事のない手紙
私の研究テーマのもう一つは「返事をしなかった時間」です。この作品の手紙の多くは、返事を期待して書かれていません。届くこと、それ自体が目的になっている。二周目にそう気づいてから、私は手紙が出されたあとの、静かな時間のほうを大切に観るようになりました。解釈
中盤まで中盤の展開(第11話まで)押すと開きます
第10話でヴァイオレットがアンに内緒で代筆したのは、50年間にわたってアンの誕生日に届く、母からの手紙でした。母が亡きあとも、アンは手紙によって母の愛情を受けて育つ。一周目、私はこの仕掛けに気づいた瞬間に泣き崩れて、その先の細部をほとんど覚えていませんでした。二周目に観ると、母とヴァイオレットが二人きりで書いている場面のひとつひとつが、まったく違って見えます。アンが部屋の外で待っている時間。母に近づけない寂しさ。そして「届かなくていい手紙なんて、ないのですよ」というヴァイオレットの言葉。アンは、母の手紙に返事を書くことはできない。それでも手紙は届き続ける。返事のない手紙が、50年かけて一人の人を育てる。私の研究テーマの「返事をしなかった時間」は、この回でいちばん優しい形をしていました。続く第11話で、ヴァイオレットは戦場の兵士エイダンの手紙を代筆し、彼を看取ります。公式のあらすじには、エイダンの言葉を指の動きで記憶するヴァイオレット、とあります。タイプライターのない場所で、それでも言葉を受け取るために、彼女は指を動かす。そして「もう、誰も死なせたくない」と涙を流す。第11話の作画監督の言葉には、戦争の道具として人を傷つけてきた彼女が、ラストで初めて他人を思って涙を流した、と書かれています。第1話の、表情が読めないように撮られていた彼女が、ここで泣く。カメラがずっと距離を保ってきたからこそ、この涙が届くんだと思います。
エンディングを歌う声
公式サイトのスタッフ欄によると、音楽はEvan Callさん、OP主題歌はTRUEさんの「Sincerely」、ED主題歌は茅原実里さんの「みちしるべ」です。そしてキャスト欄では、C.H郵便社で働く自動手記人形エリカ・ブラウンの声も、茅原実里さんが担当しています。事実[9]
一周目、私はエンディングを、物語の余韻として聞いていました。二周目に、この曲を歌っているのが、ヴァイオレットのいちばん近くで働く同僚の声だと意識して聞くと、エンディングがまるで、物語の外から誰かが彼女に宛てた手紙のように聞こえてきました。もちろん、作り手がそう意図したかどうかは、私にはわかりません。これは私の受け取り方です。解釈
第2話のあらすじは、そのエリカが、ヴァイオレットのまっすぐな答えを聞いて、見失っていた夢を思い出すところで終わります。二周目、私はこの回を、ヴァイオレットの成長の話としてだけでなく、隣で見ていた人が変わる話として観ました。主人公のまっすぐさは、主人公だけを変えるわけじゃない。事実[10]
スイ、そこは補いすぎてないか確認したほうがいい。曲とキャストが同じ人だっていうのは事実。でも「手紙のように聞こえる」のは、スイの耳の話だよね。
うん、そう。だから「私は」って付けた。……でも、言ってくれてよかった。私、気持ちを足しすぎる癖があるから。
二周目の最終話の前に
一周目の最終話、私は答えを受け取ったと思っていました。二周目の最終話は、少し違うものに見えます。何がどう違って見えたかは、畳んだ中に書きます。二周目は、そこまでの12話ぶんの依頼人たちの顔を思い浮かべながら、最終話を観てほしいと思います。解釈
結末・正体結末(第12話と第13話)押すと開きます
二周目の最終話は、答えではなく、彼女がようやく自分の言葉で何かを書きはじめる回に見えます。代筆を仕事にしてきた人が、最後に書くのが誰の手紙なのか。
第12話で、ギルベルトの兄ディートフリートは、ヴァイオレットを道具と呼び、武器を差し出します。ヴァイオレットはそれを拒み、素手で敵に応じる。そして、お前がギルを殺したんだとなじられても、「少佐は、それでも生きろとおっしゃったのです」と言い返す。第9話で受け取った言葉の前半、「生きて、自由になりなさい」を、彼女はここで自分の言葉として使っています。一周目は「愛してる」の後半ばかり追っていた私は、二周目にこの場面で、前半にも同じくらいの重さがあったことに気づきました。第13話では、ヴァイオレットはギルベルトの母に初めて会います。母は、あの子は生きている、心の中で、だから決して忘れない、思い出すたびにつらくてもずっと想って生きていく、と語る。ヴァイオレットはうなずく。そして航空祭の日、彼女は自分の手紙を書いて空から飛ばします。宛名は「親愛なるギルベルト少佐」。TVシリーズの最後で、ギルベルトの消息ははっきりとは示されません。だからこの手紙は、返事が来るかどうかわからない手紙です。それでも届くと信じて書く。第10話のアンの母の手紙が、返事を求めずに届き続けたのと同じように。二周目、私はこの最後の一通を、彼女がこれまで代筆してきたすべての手紙への、彼女自身の返事のように受け取りました。そしてラストの名乗りの場面。第1話から何度も聞いてきた同じ名乗りが、最終話では、名付けた人の願いを知ったうえで、自分で選んだ仕事の名前として響きます。同じ台詞でも、誰が待っていたかで、違って聞こえる。私がこの作品からもらった一番大きなものは、たぶんこの感覚です。
二周目の観方メモ
最後に、私が二周目でやってよかったことを書いておきます。一つめ、公式サイトのあらすじページにある、各話に寄せた作り手の言葉を、その回を観る前に読む。何を大切にして描いたのかを知ってから観ると、同じ場面の細部が浮かび上がります。二つめ、OPとEDを飛ばさない。三つめ、登場人物の呼び方と、窓からの光を追う。好み
それから、一周目と同じく、一話ごとに少し休むこと。二周目は答えを知っているぶん、続けて観たくなります。でも、言葉になるまでの時間を描いた作品だから、観る側も急がないほうが、きっと多くを受け取れる。私は一話観たら、その回の依頼人に向けて、心の中で短い返事を書いてから眠るようにしていました。好み
もう一つ、二周目ならではの楽しみがあります。各話の依頼人が、ヴァイオレットに何を「言わなかったか」を、メモしておくことです。依頼人たちは、手紙に書きたいことの全部を口にはしません。言いかけてやめたこと、話をそらしたこと、黙って窓の外を見た時間。一周目は、それをヴァイオレットと一緒に聞き逃していました。二周目は、彼女より先にその沈黙に気づける。そして、彼女がそれに気づくまでの時間を、隣で待つことができる。私にとって、それがこの作品の二周目のいちばんの贅沢でした。好み
僕の二周目は、各話の作り手の言葉と画面を照らし合わせるのが楽しかった。でも、スイの話を聞いてたら、三周目は何もメモしないで観てみたくなったな。好み
それ、いいと思う。たぶん三周目のレンは、二周目に数えなかったところで泣くよ。
二周目は答えを待たなくていい。「愛してる」が出てくるたびに、言った人ではなく、聞いた人の顔を見てみる。