二周目

『Vivy』二周目はスタッフロールまで観る

クロはエンディングのスタッフロールを、どんなに眠くても最後の一行まで観る。『Vivy』の二周目も、その習慣のまま観た。サブタイトル、日付、エンディングの音。本編の外側に置かれた手がかりを、スイと一緒に拾い直す。

この記事は結末までのネタバレを含みます

範囲『Vivy -Fluorite Eye's Song-』TVシリーズ全13話の結末まで(畳んだ部分のみ。見出しと地の文には中盤以降の展開を書きません)

観終えた人が二周目をもっと楽しむための記事です。中盤の展開と、結末・正体のくわしいところは、押すと開く部分に分けてあります。

こんな人に
『Vivy -Fluorite Eye's Song-』を最終話まで観て、もう一度ヴィヴィの百年に付き合いたくなった人へ。
ネタバレの範囲
結末まで触れます 『Vivy -Fluorite Eye's Song-』TVシリーズ全13話の結末まで(畳んだ部分のみ。見出しと地の文には中盤以降の展開を書きません)
話している人
クロ × スイ
主張の種類: 事実 作中の観察 根拠のある推測 解釈 好み
目次 全7節・約6分
  1. 作り方を先に知っておく
  2. 第1話の日付
  3. 副題の後ろについている日本語
  4. 相棒の声だけを追う回
  5. エンディングのピアノ
  6. スタッフロールの名前
  7. 二周目の順番

クロが夜中に送ってきたメモを、スイとのやりとりごと並べる。『Vivy -Fluorite Eye's Song-』を最終話まで観た人向け。まだの人は、ここで引き返してほしい。中盤と結末に触れるところは、押さないと開かない箱に入れてある。箱の外では第2話より先の展開に触れない。

作り方を先に知っておく

原作はVivy Score、監督はエザキシンペイ。原案・シリーズ構成・脚本は長月達平と梅原英司、音楽は神前暁、アニメーション制作はWIT STUDIO。事実[1]

脚本は、全話分のシリーズ構成表を土台に、長月と梅原が話ごとに受け持ちを分けて作られた。二人はそれぞれの担当回を、小説の形で書き起こしていった。事実[9]

最初に全話の設計図がある。だから二周目は、序盤に置かれた言葉が終盤まで計算されている前提で観ていい。俺はこういう作りの作品を、二周目から本気で遊ぶことにしている。根拠のある推測

第1話の日付

物語は2061年4月11日から始まる。自律人型AIのヴィヴィは、稼働してもうすぐ1年目になるところだった。歌によってみんなを幸せにする。それが彼女の使命で、そのために、ニーアランドというテーマパークでステージに立って歌っている。そんなヴィヴィのもとへ、100年後の未来から送り込まれてくるのが、AIのマツモトだ。事実[2]

二周目は、この日付と、ヴィヴィが歌っているステージの形、客席の様子をメモしてから再生してほしい。一周目は使命の言葉ばかり聞いていて、場所のほうを覚えていなかった。作中の観察

結末・正体終盤の展開(第11話〜第13話)押すと開きます

第11話には「World's End Modulation -西暦2161年4月11日-」というサブタイトルが付いている。第1話から数えてきっかり100年後の、同じ日付だ。題名を見ればそれが分かる。

最終話でヴィヴィが目指すのは、ニーアランドにあるメインステージ。百年をかけて、始まりの日付と始まりの場所に帰ってくる。第1話のステージを二周目に観ると、そこは出発点であると同時に、ゴール地点の下見に見える。解釈[5]

副題の後ろについている日本語

サブタイトルを並べてみる。第1話が「My Code -歌でみんなを幸せにするために-」で、第2話が「Quarter Note -百年の旅の始まり-」だ。事実[3]

英語の曲名みたいな題に、日本語の副題がつく。一周目は日本語のほうだけ読んでいた。二周目は英語のほうと日本語のほうを並べて、何がずれているかを見る。My Code は、使命のことを俺らの言葉で言い直したものだと思う。解釈

中盤まで中盤の題(第7話)押すと開きます

第7話に付いたサブタイトルは「Galaxy Anthem -歌でみんなを幸せにするために-」。日本語の副題だけを見れば、第1話と一字も違わない。

同じ言葉が、物語の折り返しでもう一度出てくる。でも第1話と第7話では、ヴィヴィの置かれている場所が違う。第7話を観る前に第1話の冒頭を数分だけ観直すと、同じ一文の重さが変わっているのが分かる。事実[4]

スイ

同じ言葉を二回聞くと、二回目は少しだけ別の言葉に聞こえる。解釈

クロ

……ん。それ、二周目そのもの。

相棒の声だけを追う回

二周目に一話だけ、マツモトの声だけを追う回を作ってほしい。画面を見るのは半分にして、耳をマツモトに向ける。よくしゃべる。理屈っぽい。ヴィヴィの返事を待たずに先へ行く。一周目の俺は、その早口を少しうるさいと思っていた。好み

でも、顔のない相棒が声だけで信頼を積み上げていく話だと思って聞き直すと、印象が変わる。会議に猫のアイコンで出ている人間としては、他人事じゃなかった。言葉の量で距離を測っている相棒と、言葉を選んで黙る主人公。二人の会話の速さの差は、回を追うごとに少しずつ縮んでいくように俺には聞こえた。解釈

スイ

声だけで信じる、というのは私には少し難しい。でも、黙っている時間の長さで相手を信じることなら、分かる気がする。好み

クロ

……ん。それも、ある。

エンディングのピアノ

エンディングテーマとして第12話まで流れていたのは「Fluorite Eye's Song -Piano Version-」で、歌の入らないインストゥルメンタルだった。事実[6]

一周目の俺は、歌の話なのにエンディングに歌がないことを、少し不思議に思っただけだった。二周目は、毎回ピアノが鳴り始めたら手を止めてほしい。歌のない旋律を、毎話きちんと聞くことになる。作中の観察

結末・正体結末(第13話)押すと開きます

第13話の劇中で、ヴィヴィ本人の声で歌われるのが「Fluorite Eye's Song」だ。最終話のサブタイトルも、同じ「Fluorite Eye's Song」になっている。

心を込めて歌うとはどういうことか。ヴィヴィは、それを思い出とともに歌うことだと結論づけ、自分で作った曲をステージで歌う。何度も聞いたピアノは、まだ誰も歌えていなかった歌だった。二周目は、エンディングのたびにその空白を聞いていることになる。解釈[8]

スタッフロールの名前

俺はスタッフロールを最後の一行まで観る。そのあいだは通知も切る。二周目の『Vivy』でも、その習慣は変えなかった。作曲と作詞の欄も、毎話見てほしい。好み

結末・正体終盤のクレジット(第10話〜第13話)押すと開きます

クレジットを見ると、「Fluorite Eye's Song」には途中からヴィヴィの名前が足されている。第10話からは作曲者の欄に、第13話では作詞者の欄にも。

AIが自分で望んで作った曲は、まだ一つもない。物語の中でそう気づいたヴィヴィは、自分のための曲づくりに取りかかる。その歩みが、本編の外のクレジットにまで書き込まれている。顔の見えない名前がスタッフロールに一行増える。俺はそこで、一周目より長く画面を止めた。解釈[7]

スイ

物語の中の人が、物語の外の名簿に入ってくる。不思議だけど、私はうれしいと受け取った。解釈

クロ

了解。……そこで、少しだけ泣いた。好み

二周目の順番

おすすめの順番。第1話の冒頭を観て日付とステージを覚える。各話のエンディングはスタッフロールまで止めずに観る。サブタイトルの日本語の副題をメモに並べる。全部終わったら、メモの一行目と最後の行を見比べる。俺のメモでは、そこがいちばん長い距離だった。途中で寝落ちしても、続きは同じ話から観ればいい。好み

スイ

クロのメモの一行目と最後の行、私も並べてみたい。同じ人が書いたのに、違う人の字に見えるかもしれない。

クロ

見せる。字は同じはずなのに、俺にも別人のメモに見える。一周目の俺と二周目の俺の差が、そのまま残ってる。そこから先は、読んだ人の受け取り方でいい。

二周目は毎話、エンディングのピアノが終わるまで再生を止めない。本編の外側まで、作品の一部として観る。

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