アニメ『ダイヤのA』の第1期と第2期を最後まで観た人向けの、二周目の話です。展開にかかわるところは畳んであるから、まだの人は開かんといてな。聞き手はアカリ。昼の公園でキャッチボールする仲で、負けず嫌いの度合いは私とええ勝負です。
今日は球数制限なしで。二周目の話、長くなるでしょ。
よう分かってるやん。ほな、肩あっためながら聞いて。
観直す前の確認
テレビアニメの第1期は2013年10月6日から2015年3月29日まで全75話、第2期『ダイヤのA -SECOND SEASON-』は2015年4月6日から2016年3月28日まで全51話。監督は増原光幸さん、シリーズ構成は古怒田健志さん、アニメーション制作はMADHOUSEとProduction I.G。事実[1]
126話。長いで。せやから二周目は全部を同じ熱で観んでええと思う。私は「ここだけは止めて観る」場所を決めて観直した。今日はその場所の話をする。好み
第1話の暴投
第1話の題は「運命の一球」。物語は、長野の赤城中学で仲間と中学制覇を目指していた沢村栄純が、自分の暴投で一回戦敗退を決めてしまうところから始まる。その試合を見ていた青道高校の高島礼が、沢村の素質を見抜いてスカウトする。事実[1]
一周目は、ここを「すごい才能が見つかる場面」として観てた。二周目は、運命の一球が暴投やということのほうが沁みる。この物語のエースは、最初の一球をすっぽ抜けたところから始まってるんよ。私は元ピッチャーやから、すっぽ抜けたときの指先の感じを今でも覚えてる。あれは、ほんまに嫌なもんや。解釈
負けて、見つかる。勝って見つかるより、そっちのほうが信用できる。好み
背番号の変わり方
沢村の背番号は、1年の春はまだ二軍。事実[1]
二周目は、ユニフォームの背中の数字を毎回確かめてほしい。数字は嘘つかへん。本人がどんだけ騒いでても、首脳陣がどう見てるかは背番号に出る。逆に言うたら、背番号が変わる回は、だいたい誰かの判断が動いた回や。解釈
中盤まで中盤の展開(第1期から第2期)押すと開きます
1年の夏は20、秋から2年の春までは18。
一周目は番号が付いた回で素直に喜んでた。二周目は、20をもろた日の沢村の顔と、18に変わった日の顔を並べて観てほしい。うれしいのに、まだ1やない。その半端な数字に、エースになりきれへん時間が全部入ってる。事実[1]
結末・正体原作の続きの設定押すと開きます
沢村の背番号は、2年の夏に1になる。春からの三か月で故障と好不調の波を克服できなかった降谷に代わって、練習試合で地道に結果を出し続けた沢村にエースナンバーが託される。
アニメ第2期までを観た二周目にこれを知っておくと、20と18の背中が、全部「1までの道」に見えてくる。私は18の背中がいちばん好きや。いちばん悔しい番号やから。事実[1]
クリス先輩の小さい声
クリスこと滝川・クリス・優は3年の捕手で、普段は声が小さく、チームきっての野球知識を持つ努力家。第8話の題は「クリスの真実」、第11話は「クリス出陣!」。事実[1]
一周目の私は、第8話までのクリス先輩を「冷たい先輩」やと思って観てた。二周目は、最初から全部ちがう顔に見える。声の小ささも、沢村への言い方も。解釈
中盤までクリスの過去と、その後の関わり押すと開きます
クリスは1年のときから正捕手として活躍していたが、周囲の期待から無理を押して出場し続けた結果、重傷を負い、高校球児としての活躍を棒に振ることになった。3年では投手の指導にあたり、沢村とは最初は対立しながらも、最後は和解して成長の大きな助けになる。夏の大会では記録員を務める。
二周目は、クリス先輩が沢村の球を受けるときの手元を見てほしい。無理して出続けた人が、無理する後輩にどう教えるか。私は、少年野球のころ肩が痛いのを隠して投げてた自分を思い出して、ちょっと正座した。事実[1]
隠して出るの、私もやったことある。剣道で。バレたとき、先生じゃなくて先輩に怒られたのがいちばん効いた。好み
せやろ。自分が通った道で転んだ人に言われると、効くねん。
3年のエースの背中
3年のエース・丹波光一郎は、縦に大きく割れるカーブを武器にする本格派だが、怪我明けで安定感がないのが欠点で、夏の予選を前にフォークを身につける。事実[1]
一周目は、1年生二人の勢いばっかり見てた。二周目は、背番号1を背負ってる3年生の顔が忘れられへん。後輩に追い上げられながら、最後の夏にエースの番号を背負う。エースが一人で背負うもんの重さは、勢いのある1年より、こっちの背中に出てる。解釈
夏の大会の終盤
一周目に観たとき、私は夏の大会の終盤を、息止めて観てた。二周目は、あえて第1話の「運命の一球」を思い出しながら観てほしい。解釈
中盤まで中盤の展開(第1期・夏の大会)押すと開きます
第1期は、もとは4クールの予定で、当初は夏の西東京地区大会決勝の稲城実業戦の前で終わる予定だったが、好評のため延長し続けた。その決勝で青道は、あとアウト1つで甲子園というところまで追い詰めながら、逆転サヨナラ負けを喫する。二死一塁の場面は、沢村の死球のあとに川上が登板したところだった。
第1話の暴投と、決勝の死球。どっちも、エースがコントロールできへんかった一球や。二周目はここで第1話に戻ってほしい。同じ子が、思ったところへ行かへん球で、二回痛い目を見てる。一周目は泣いて終わった。二周目は、ここから先がこの物語の本題なんやと分かる。事実[1]
第1話と並べて観るの、カオルさんらしい。私は一周目、そこまで考える余裕なかった。好み
受け止める人たち
私の研究テーマは「エースは負けた日にどうやってマウンドに戻るのか」。この作品で二周目にいちばん見てほしいのは、マウンドの外の人や。好み
中盤まで中盤以降の展開押すと開きます
沢村はやがてイップスに苦しむ。そのとき、同学年の捕手・狩場がブルペン捕手として支える。同じく同学年の金丸は、沢村がインコースへ投げる練習の相手として、デッドボール覚悟で打席に立ち続けた。
マウンドに戻るのは一人やけど、戻る道は一人では作れへん。ミットを構え続ける人と、打席に立ち続ける人。一周目の私は沢村しか見てへんかった。二周目は、狩場くんと金丸くんの顔ばっかり見てた。事実[1]
最後の題と最初の歌
第1期の第1話から第13話までのエンディングテーマは、日笠陽子さんの「Seek Diamonds」。事実[1]
結末・正体結末(第2期最終話)押すと開きます
第2期の最終話、第51話の題は「Seek Diamonds」。第1期で最初に流れたエンディングの曲名と同じ題で、二つのシリーズが閉じられる。
原作の第1部では、秋の大会の決勝で薬師高校に9回表2アウトランナー無しから逆転し、エースナンバーを背負った降谷が9回裏をシャットアウトして選抜甲子園出場を決める。最初に流れた歌の名前で最後を閉じる。原石を探す話で始まって、原石を探す話で終わる。二周目は、最初のエンディングを飛ばさんと聴いといてほしい。最後に題を見たとき、ちゃんと鳥肌が立つから。事実[1]
二周目、ブルペンの場面だけ集めて観ようかな。……投げに行こ。話してたら投げたくなった。好み
二周目は第1話の「運命の一球」を覚えたまま観る。エースの物語は、すっぽ抜けた一球と、それを受け止める人から始まってる。