わたしの6選

『鬼滅の刃』の修行の場面を何度も読む

中学3年のころ、机に向かう時間より素振りの時間のほうが長かったアカリ。そのころ何度も開いたのが『鬼滅の刃』の修行の場面でした。体で覚えるしかない時間の描き方を、稽古をしている人の目で話します。

こんな人に
結果が出る前の、地味な練習の時間が好きな人へ。怖い場面が苦手な人にも、読み方の入口を書きました。
ネタバレの範囲
ネタバレなし 第1巻の紹介文にある設定(大正時代、炭治郎が鬼になった妹を元に戻すために旅立つこと)まで。修行の内容や物語の展開には触れません
話している人
アカリ × ナギ
主張の種類: 事実 作中の観察 根拠のある推測 解釈 好み
目次 全7節・約5分
  1. 受験の年の素振り
  2. 好きな理由1:近道がない
  3. 好きな理由2:息の音が聞こえる
  4. 好きな理由3:やさしい人が強くなろうとする
  5. 私の見方:結果の前の時間を見る
  6. 苦手そうな人への入口
  7. ほかの5本とのつながり

6選の六本目は『鬼滅の刃』。私がこの漫画で一番読み返してるのは、戦いの場面じゃなくて修行の場面。第1巻の紹介文より先の展開には触れません。

受験の年の素振り

中3のとき、受験勉強が苦手すぎて、机に向かってもすぐ立ち上がってた。で、気づくと庭で素振りしてる。母に「それ、何の教科?」って言われた。夜、素振りのあとにこの漫画を開いて、修行の場面ばっかり読んでた。体を動かしたあとのほうが、なぜか字が頭に入った。好み

結局、受験はなんとかなった。勉強が得意になったわけじゃないけど、机に向かう前に素振りを十回、っていう決まりを自分で作ったら、少しだけ座っていられるようになった。好み

少年ジャンプ公式サイトによると、『鬼滅の刃』は吾峠呼世晴さんの漫画で、連載開始は2016年11号。コミックス欄には23巻まで並んでいます。事実[1]

集英社の第1巻のページでは、紙版の発売日は2016年6月3日。紹介文は、時は大正時代、炭を売る心優しき少年・炭治郎が、鬼に変貌した妹・禰豆子を元に戻すため旅立つ、というところまでです。事実[2]

好きな理由1:近道がない

この漫画の修行には、近道がない。同じことを何回もやって、失敗して、体が覚えるまでやる。頭でわかっても、体が動かないと意味がない。私は座学が苦手だから、こういう「やるしかない時間」を描いてくれる漫画に弱い。ページをめくっても日付だけが進んで、本人はまだできてない。そのコマに一番ほっとする。解釈

道場でも、同じ型を百回やって、百回とも先生に止められた日がある。帰り道に悔しくて、この漫画の修行の場面を開いた。できないページが続くのを見て、なんだ、ここでもまだできてないじゃんって、ちょっと笑えた。できない日がちゃんと描いてある漫画は、できない日の私の味方。好み

好きな理由2:息の音が聞こえる

修行の場面は、息づかいの描き方がいい。吐く、吸う、また吐く。セリフより呼吸のほうが大きく描かれてるコマがある。武道でも、最初に教わるのは呼吸だった。息が乱れると、型も乱れる。読んでると自分の呼吸まで深くなる。こういう漫画、ほかにあんまりない。好み

アニメでは呼吸の音が本当に聞こえるから、それはそれでいい。でも修行の場面は、自分の呼吸に合わせてページをめくれる漫画のほうが好き。好み

好きな理由3:やさしい人が強くなろうとする

紹介文のとおり、炭治郎は「心優しき少年」。強くなりたい理由が、誰かを倒したいからじゃなくて、守りたい人がいるから。だから修行がつらそうでも、見ててつらくない。やさしいままで強くなろうとしてる人を、私はずっと応援したい。解釈

それと、炭治郎は相手のことをよく見る。強くなりたいのに、目の前の人の気持ちを置いていかない。私は助けたい気持ちが先に立って、相手の希望を聞き忘れるくせがあるから、そこは何回読んでも耳が痛い。解釈

ナギ

アカリって、「休む日は休んでいい」ってよく言うよね。修行の話が好きなのに、ちょっと意外かも。

アカリ

修行の話が好きだから言うの。休まないと体が覚えない。稽古でも、疲れたまま続けると変なくせがつく。解釈

ナギ

そっか。じゃあ私の「今日は一話だけ」も、修行のうち?

アカリ

うん。それ、ちゃんとした稽古の量だと思う。

ナギ

ふふ。稽古って言われると、ちょっと誇らしい。

私の見方:結果の前の時間を見る

戦いで勝つ場面は、たしかに熱い。でも私は、その前の修行の時間がちゃんと描いてあるから、勝つ場面を信じられる。いきなり強くなったら、私は乗れない。才能だけで努力が消える話が苦手なのはそこ。この漫画は、努力が消えない。解釈

それに、修行の場面には教える人がいる。厳しくても、何のための修行かが伝わってくる。説明しないで従えって言われたら、私はたぶん一日で逃げてた。理由がわかるから、つらくても続けられる。武道もそう。解釈

苦手そうな人への入口

鬼が出てくるので、怖い場面や痛そうな場面はある。そこが苦手なら、無理して全部読まなくていい。最初の巻を読んで、修行が始まるあたりまで行けたら、そこだけ何回か読み返してみて。戦いより先に、この漫画のやさしさのほうが見えると思う。アニメから入る人も多いけど、修行の場面は漫画のコマで、自分のペースで止めながら読むのがおすすめ。

全部読むのがしんどいなら、最初の数巻だけ手元に置いておくのもあり。修行の場面だけ、自分の稽古の前に読む、みたいな使い方もできる。

ほかの5本とのつながり

修行の場面が好きになったのは『NARUTO』からで、その好きがいちばん深くなったのがこの漫画。『るろうに剣心』の剣心が力を使わない選択に重さがあるのも、その前に力をつける時間があるから。私の6選は、強さが生まれる前と、強さを使った後の話でできてる。この漫画は、その「前」の担当。好み

読み終わったあとは、だいたい大盛りを食べに行く。修行の場面を読むと、なぜか私までおなかがすく。好み

できない日が続いても、その日の分は体に残ってる。休む日も、その一部。

この記事の作品

鬼滅の刃
アニメ 2019 · TVシリーズ #アクション #ファンタジー
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