『コードギアス 反逆のルルーシュ』と続編の『R2』を最後まで見た人に向けた、二周目の手引きです。一周目の私は、仮面の主人公の知略に感心してばかりでした。二周目に見たのは、仮面の下で約束がどんな順番に並んでいたかです。結末まで触れますが、展開にかかわるところは畳んであります。聞き手は、サーバーの仕事をしているレイさんです。
一周目は知略を見て二周目は約束の順番を見る
基本の情報です。監督は谷口悟朗さん、シリーズ構成は大河内一楼さん、アニメーション制作はサンライズ。第1期は2006年10月6日から2007年3月30日まで放送され、最後の2話は2007年7月29日に放送されました。全25話に総集編が2話あります。続編の『R2』は2008年4月6日から9月28日までの全25話です。事実[1]
主人公のルルーシュは、暗殺された母の仇をとるため、そして妹のナナリーが安心して暮らせる場所を作るために、仮面で素顔を隠して「ゼロ」と名乗り、黒の騎士団を結成します。事実[2]
二周目に読み直してほしいのは、この「ため」が二つあることです。母の仇と、妹の居場所。一周目の私は、二つが同じ方向を向いていると思い込んでいました。けれど指導者が二つの約束を抱えたまま組織を作ると、いつか、どちらを先に守るかを迫られる日が来ます。解釈
よろしくお願いします。先に言っておくと、私はこの作品を設計図として見る癖があります。ここから私の解釈ですけど、黒の騎士団は単一障害点の塊です。
たんいつ、しょうがいてん。それはどういう意味ですか。
そこが一か所止まると、全体が止まる部品のことです。サーバーなら、二重化していない電源とか。この組織だと、仮面の人がそれです。
なるほど……。今日の地図は、その言葉で描けそうです。ありがとうございます。
見どころ1 仮面は組織の部品でもある
反逆の始まりは、シンジュクゲットーでの戦闘に巻き込まれたルルーシュが、レジスタンスの扇グループに力を貸したことだとされています。事実[8]
二周目に気づいたのは、ルルーシュがすでにある小さな組織に、外から仮面をかぶって入ってきた指導者だということです。元からいた人たちには、新しい頭の顔が見えない。そこから始まった組織だと思って見直すと、元からいた人たちの戸惑いが、あちこちに映っているように私には見えました。解釈
黒の騎士団では、紅月カレンがゼロの親衛隊である零番隊の隊長に任命されます。不老不死の少女C.C.は、ルルーシュの「共犯者」として行動を共にし、『R2』の終盤までルルーシュの味方であり続けた唯一の人物とされています。事実[3]
二周目は、作戦会議の場面で、ゼロの素顔を知っているのが誰かを数えてください。素顔を知る人は、私にはとても少なく感じました。顔を見せない指導者は、裏切りに強い代わりに、自分の代わりを育てられません。レイさんの言葉を借りれば、二重化ができない部品です。解釈
それは違う、と言われそうなので補足すると、仮面そのものは悪い設計じゃないです。正体が漏れたら全部止まる、という前提を本人が一番わかっている。だから慎重になる。……今の、長かった?
いいえ、ちょうどよかったです。私にはその「本人が一番わかっている」という見方がありませんでした。好み
見どころ2 二つの約束がぶつかる日
結末・正体第1期の結末押すと開きます
トウキョウ租界へ攻め込む大規模な反乱「ブラックリベリオン」のさなか、ナナリーが連れ去られます。ルルーシュはナナリーを探して神根島へ向かい、指揮官を失った黒の騎士団は総崩れになります。神根島の遺跡で、ルルーシュは追ってきたスザクに素顔とギアスの秘密を暴かれ、二人は互いに銃口を向けて撃ち合います。事実[4]
ここが二周目のいちばんの見どころだと私は思います。一周目は、なぜこんな大事なときに持ち場を離れるのかと腹を立てました。二周目は、彼が最初から二つの約束を抱えていたことを知っている。妹との約束を先に守った結果、組織との約束が崩れた。順番を選んだのではなく、選ばされた場面として見ると、つらさの種類が変わります。解釈
……少し間をください。私も、仕事の約束を先に守って、大切な人との約束を後回しにしたことがあります。ルルーシュとは逆の順番です。どちらを選んでも、もう片方は崩れる。二周目は、その崩れ方を見る回になりました。好み
設計で言うと、障害が起きたときにどこを捨てるかを、先に決めておけなかったんですね。決めておけば、少なくとも騎士団の人たちは自分で逃げる判断ができた。
見どころ3 知らされていなかった人たち
結末・正体『R2』終盤の展開押すと開きます
第二次東京決戦ののち、ブリタニアのシュナイゼルは黒の騎士団に休戦を申し込むとともに、ゼロの正体とギアスの秘密を伝えます。ルルーシュは弾劾されて失脚し、ロロの命と引き換えに辛くも脱出します。事実[5]
二周目は、この場面の騎士団の幹部たちの顔を見てください。彼らが怒っているのは、負けたことではなく、知らされていなかったことに対してだと私は読みました。顔を見せない指導者の組織は、正体が漏れた瞬間に、それまでの信頼の勘定を一度に精算させられます。解釈
ここ、障害の連絡が遅れたときの現場と同じ顔をしてます。直すより先に、なぜ黙ってたのかを聞きたくなる顔。
見どころ4 最後の約束の置き方
結末・正体結末押すと開きます
最後に明かされるのは、世界をまとめるためにあえて人々の憎しみを自分に集めたルルーシュが、ゼロに成り代わったスザクに討たれるという計画、「ゼロレクイエム」でした。事実[6]
結末・正体結末のあと押すと開きます
その後の日本は独立を取り戻し、扇要が首相に就任しているとされています。事実[7]
最後の計画で、ルルーシュは初めて「ゼロ」という仮面を自分から切り離しました。仮面を別の人がかぶっても回る形にした。単一障害点を、最後の最後に二重化したとも言えます。二周目は、仮面が誰の顔の上にあるかを、第1話から最終話まで追ってみてください。解釈
指導者は自分が倒れても回る形を残すべきだと、私はよく若い方に言います。言いながら、自分ではできていませんでした。……仮面を手放すのは、ずいぶん勇気の要ることなんですね。好み
二周目の地図
二周目は、知略の冴えではなく、約束の置き場所を見てください。最初の二つの「ため」、素顔を知る人の少なさ、二つの約束がぶつかった日、知らされていなかった人たちの顔、そして仮面の受け渡し。この五つを並べると、反逆の物語が、ひとりの指導者が約束の順番に苦しむ物語として見えてきます。解釈
二周目は仮面の置き場所を見る。顔を見せない指導者が、最後に仮面を誰に渡したか。