エンドクレジットや制作の話題で、「原画」「動画」という言葉を見かけたことはありませんか。今回はナギの素朴な質問から、アニメの絵がどう分担されて描かれているのかを、制作会社の公式の説明をもとにたどります。作品の展開には触れていません。
げんが、どうが……。シオルには、呪文の名前みたいに聞こえます。
「動画」って映像のことじゃないの?
レン、ずっと気になってたんだけど、アニメの「動画」って、動画サイトの動画とは違うんだよね? 原画と動画って、何が違うの?
違うんだ。制作の工程でいう「動画」は、映像そのものじゃなくて、絵の種類の名前なんだよ。僕も最初は混乱したから、まず公式の説明を並べてみるね。
東映アニメーションの採用サイトでは、アニメーターの仕事は、監督や演出が作成した絵コンテをもとにキャラクターの動きのポイントとなる絵を描く「原画」と、その間の動きをつなぐ「動画」に役割が分かれる、と説明されています。事実[1]
つまり原画は、動きの「要所」。腕を振り上げきったところ、振り下ろしたところ、みたいな区切りの絵だね。動画は、その要所と要所のあいだを埋めていく絵。根拠のある推測
要所の絵と、あいだの絵……。剣の稽古で、師匠が型の始まりと終わりだけ見せて、あいだの動きは弟子がつなぐ、みたいなものですか?
近いけど、ここが違って。稽古なら弟子は自分の体でつなげばいい。動画は、原画で決めた動きに合うように、あいだの絵を一枚ずつ描いていくんだ。根拠のある推測
あいだの絵は「中割り」
セブン・アークスの採用サイトでは、動画の工程を「原画と原画の間を繋ぐ絵である中割り」を描く仕事として紹介し、自然で滑らかな動きになることを意識して、必要な枚数を割って作成すると書いています。事実[3]
「割る」って面白い言い方。あいだを何枚に分けるかを決める、ってこと?
僕はそう受け取ってる。同じ距離を三枚で動くか、五枚で動くかで、速さの感じ方は変わるはず。何枚に割るかは、動きの「時間」を決めることでもあると思うんだ。根拠のある推測
動画は「つなぎ」だけじゃない
京都アニメーションの職種紹介では、動画を「原画スタッフが描いた絵を清書して、さらに細かい演技をつけていく部門」としたうえで、原画になるための通過点と考えられがちだが、プロフェッショナルな動画スタッフはアニメーション制作に必須だ、と書いています。事実[2]
僕、ここを読んで考えを改めた。動画って、間を機械的に埋める作業だと思われがちだけど、線を清書するのも、細かい演技をつけるのも動画の仕事なんだよね。解釈
清書もするんだ。じゃあ、画面で見ている線は、動画の人が引いた線ってこと?
工程の説明からはそう読めるね。ただ、会社や作品によって分担の細かいところは違うかもしれないから、「そういう流れが多い」くらいで覚えておくのが安全かな。根拠のある推測
一話で何枚描くの?
東映アニメーションの企業サイトによると、TVシリーズ1話あたりの作画枚数は平均3,000〜4,500枚で、作品や話数によってはさらに増えることもあるそうです。事実[4]
三千枚……。それが毎週って考えると、気が遠くなるね。
三千枚……! 写本師ギルドが総出でも、ひと月では終わりそうにありません。
うん。だからこそ、どこに枚数を使って、どこで抑えるかっていう設計が大事になる。それはまた別の回で話そう。根拠のある推測
僕は派手な動きより、振り向く直前のほんの数枚が好きなんだ。答えは言わないけど、次は動き出す前の一瞬だけ見てみない?好み
動き出す前、ね。ごはんの場面で、お箸を持ち上げる前とか見てみようかな。
あいだを描く人がいるから、絵が歩けるんですね。シオルも、振り向く前の一瞬を探してみます。
アニメの「動画」は映像のことではなく、原画と原画のあいだをつなぐ一枚一枚の絵。なめらかな動きはその“あいだ”を描く人の手から生まれている。