二周目

『東京リベンジャーズ』二周目は握手を数える

一周目は武道が殴られる回数ばかり数えてた。二周目、俺が数えたのは握手と約束と、人から人へ渡っていく服だ。タイムリープの決まりを知ってから読み直すと、序盤の何気ない場面が全部、契約書に見えてくる。荷物持ちのソウマを連れて。

この記事は結末までのネタバレを含みます

範囲漫画『東京卍リベンジャーズ』の「血のハロウィン」の決着と、その後の現代まで(畳んだ部分のみ。それより先の展開には触れません)

観終えた人が二周目をもっと楽しむための記事です。中盤の展開と、結末・正体のくわしいところは、押すと開く部分に分けてあります。

こんな人に
『東京卍リベンジャーズ』を「血のハロウィン」の先まで読んだ・観た人へ。二周目は、約束と握手と、手渡される服を追ってほしい。
ネタバレの範囲
結末まで触れます 漫画『東京卍リベンジャーズ』の「血のハロウィン」の決着と、その後の現代まで(畳んだ部分のみ。それより先の展開には触れません)
話している人
ジン × ソウマ
主張の種類: 事実 作中の観察 根拠のある推測 解釈 好み
目次 全5節・約5分
  1. 26歳の底から始まる
  2. 握手という決まり
  3. 美容師の約束
  4. 預かった特攻服
  5. 守ってもらったお守り

ジンだ。『東京卍リベンジャーズ』の二周目の話をする。「血のハロウィン」の先まで知ってる奴向けだ。中身に触れるところは、押さないと開かない箱に畳んである。今日は新刊を買いに走らせたソウマを、そのまま聞き役にした。……別に、帰さなかったわけじゃねえ。

26歳の底から始まる

物語は2017年から始まる。花垣武道は26歳、フリーターで、どん底の毎日を送っている。ある日ニュースで、中学のころに付き合っていた橘日向が死んだと知る。弟の直人も一緒に、東京卍會の争いの巻き添えになったのだ。その翌日、武道は駅のホームから突き落とされ、気づけば12年前、2005年に飛んでいる。タイムリープだ。事実[1]

成り上がりの話は、底から始まるほど燃える。俺はそういう話に弱い。ただ、この作品の成り上がりは、腕っぷしで上に行く話じゃない。弱いまま、約束だけで上に行く話だ。二周目は、そこを最初から意識して読む。解釈

ソウマ

……主人公が一番弱い組織もの、構成としてはかなり変則ですよね。普通は力か知略で上に行く。この人、どっちも持ってない。解釈

握手という決まり

直人と握手したことで、武道は12年前に戻れると知る。ただし決まりがある。過去に戻っているあいだ、武道の体は仮死状態になる。行けるのも「12年前の今日」に限られる。事実[2]

一周目は、握手をただのスイッチだと思ってた。二周目は、握手のたびに手元を見てしまう。手を握るってのは、相手と何かを結ぶことだ。この作品は、時間を越える仕組みそのものに、約束の形を使ってる。俺に言わせりゃ、あれは契約の判子だ。解釈

中盤まで最初のタイムリープの真相押すと開きます

1回目のタイムリープは、たまたま起きたものだった。現代に戻って分かるのは、ホームで突き飛ばされた武道を直人が助けていたこと。その直人に手を握られたことが、引き金になっていた。

俺には、偶然の手が物語の全部を動かしてるように読める。二周目は、ホームの場面を読み返すとき、この事実を頭に置いてくれ。解釈[2]

美容師の約束

4回目のタイムリープで、武道は友だちの千堂敦(アッくん)に、絶対に美容師になると約束させる。事実[3]

一周目は、友だちどうしの軽い励ましに見えた。二周目は、この約束がどう効いてくるかを知ってるから、自転車の場面で息が止まる。約束は、守られたかどうかが後で必ず試される。それが契約ってもんだ。解釈

中盤まで4回目のあとの現代押すと開きます

4回目から戻った現代。武道の左手には、過去で清水に刺されたときの傷痕がある。携帯を見ると、千堂の美容室に、1人目のお客として予約が入っている。

過去でした約束と、過去で負った傷。その両方が、現代の武道の体と携帯にそのまま残る。二周目は、現代に戻った直後の場面で、武道が自分の手と携帯を見るところを止めて見てほしい。解釈[3]

ソウマ

……別に、感心してるわけじゃないですけど。過去でしたことを、現代に残るものに置き換えて見せるの、うまいですね。約束の重さを、言葉じゃなくて物で見せてる。解釈

預かった特攻服

現代へ戻る前、武道は日向に四つ葉のクローバーの首飾りを贈る。その前、8・3抗争のあとのお見舞いでは、東京卍會の設立当初の、佐野万次郎(マイキー)の特攻服を預かっている。事実[3]

服を預ける、ってのは、族の世界じゃ相当重い。一周目は流してた。二周目は、この先も服が人から人へ渡るたびに、誰の何を背負ったのかを数えてほしい。俺はステージ衣装を作ってもらう側だから、服に意味が乗るのはよく分かる。解釈

結末・正体「血のハロウィン」のあと押すと開きます

「血のハロウィン」が終わったあとの集会。武道は、弐番隊の刺繍の入った特攻服に初めて袖を通し、東京卍會の正式なメンバーになる。同じ集会で千冬は、抗争で命を落とした場地のあとを任せたいと、武道を壱番隊の隊長に指名する。武道はそれを受ける。

預かる服から、自分で着る服へ。二周目は、武道が特攻服を手に取る場面を全部並べて読むといい。最初は人の服を預かり、次に自分の服を着て、そのあと人の役目を受け取る。成り上がりの階段が、服で描いてある。解釈[4]

守ってもらったお守り

5回目のタイムリープから帰るとき、武道の手元に二つの物が残る。場地圭介のお守りと、東京卍會ができたばかりのころに撮った写真だ。事実[5]

一周目の俺は、小道具だと思って読み飛ばした。二周目は、お守りと写真が出てくるたびにページをめくる手が止まる。写真は、仲間がそろっていた時間の記録だ。この作品は、失われるものを先に画面に置いてから話を進める。解釈

結末・正体場地の選択押すと開きます

「血のハロウィン」の場で、武道は場地を説き伏せようとする。そのさなかに、場地は羽宮一虎に刺される。場地が最後に選んだのは自決だった。万次郎と一虎、二人を守るためだ。

二周目に5回目のお守りの場面へ戻ると、もう同じ顔では読めない。場地は最初から、仲間を守る側に立つ奴だった。言葉は荒いのに、筋は一本通ってる。俺は、こういう奴に一番弱い。解釈[4]

ソウマ

……ジンさん、ページめくる手、止まってますよ。

ジン

うるせえ。目にゴミが入っただけだ。……次の巻、買ってこい。

二周目は、握手の場面が来るたびに手元を見る。この物語は、手を結ぶたびに約束が一つ増えていく。

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