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Anime & manga trivia

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』と227体の人形

227体の人形を使ったストップモーションで作られた、ミュージカル仕立ての1993年のアニメ映画。主人公ジャックには約400の頭がありました。駆け出しアイドルのカノンが、衣装の師匠ルカーノのアトリエで、人形と衣装の話をしました。

For people who
人形アニメが気になっている人へ。服や小物を作るのが好きな人、舞台に立つ人にも。
Spoiler range
No spoilers 物語の出発点(ハロウィン・タウンのジャック・スケリントンが、毎年同じハロウィンにむなしさを感じ、森の奥の扉の木からクリスマス・タウンを見つける)と、人形・セット・撮影の作り方まで。ジャックがそのあと何をするか、物語の展開と結末には触れません
Who's talking
Kanon × Lucano
Types of claims: Fact Observation from the work Grounded inference Interpretation Preference
Contents 5 sections, ~5 min
  1. 人形でつくったミュージカル
  2. 頭が四百あるジャック
  3. 髪を守るために顔を外す
  4. セットに線を刻む
  5. 初めて観る人へ

平日の夕方、原宿のルカーノの店の奥にあるアトリエ。カノンは、ほつれたステージ衣装のすそを、針と糸で縫い直していました。作業台の向こうから、ルカーノさんが手元をのぞきこみます。「Bellissimo! 今日の針目は、先週よりずっとまっすぐだ」

人形でつくったミュージカル

Kanon

ルカーノさん、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』観ました? 人形が動いて、歌うんです!

Lucano

もちろん。僕にとっては、服と人形と舞台の教科書みたいな映画だよ。Preference

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(The Nightmare Before Christmas)は、1993年に公開された、ミュージカル仕立てのアニメ映画です。原案・原作はティム・バートンさん、監督はヘンリー・セリックさん、作曲・作詞はダニー・エルフマンさん。題名は「クリスマス前の悪夢」という意味で、アメリカで有名な詩『クリスマスのまえのばん』をもじっています。Fact[1]

これはセリックさんの長編映画の監督デビュー作で、公開は1993年です。長編のストップモーション映画を大手のアメリカ映画スタジオが作ったのは、この作品が初めてでした。Fact[3]

舞台は、人を怖がらせるのが大好きな住人たちの町「ハロウィン・タウン」。町の王様はパンプキン・キングのジャック・スケリントン。そのジャックが、毎年変わらないハロウィンに、むなしさを覚えていました。そんなジャックが森の奥で見つけたのは、扉のついた木。扉の向こうには、明るく陽気な「クリスマス・タウン」がありました。Fact[1]

Kanon

毎年同じことの繰り返しが、むなしくなっちゃう。……私、そこで一回、胸がぎゅっとなりました。同じ振り付けでも、毎回ちがう顔で踊りたいって、いつも思ってるので。Preference

Lucano

繰り返しの中で、新しいものを見つけたくなる。デザイナーも、毎シーズンそれと戦っているよ。Interpretation

頭が四百あるジャック

作り手たちは、登場人物を演じる人形を227体作りました。ジャック・スケリントンには「およそ400個の頭」があり、あらゆる感情を表せるようになっていました。撮影には120人を超えるスタッフと20のサウンドステージが使われ、撮ったコマは全部で109,440コマにのぼります。Fact[2]

Kanon

四百! 私、ステージの顔はまだ三つくらいしかないです。笑顔と、真剣な顔と、転んだあとの「今のはリハーサル!」の顔。Preference

Lucano

三つあれば十分さ。それにね、カノン。表情を増やすより、一つの表情を最後まで持つほうが、客席に届くこともある。Interpretation

インタビューの中でセリック監督は、ジャックの見た目の出発点は蜘蛛だった、と話しています。蜘蛛は長い脚で華麗に動くものです。Fact[1]

Lucano

細くて長い手足は、服を作る側からすると、とても難しいんだ。一ミリの差で、シルエットが別人になる。Interpretation

髪を守るために顔を外す

サリーの顔は10種類あり、それぞれに11の表情と、台詞に合わせた口の動きが用意されていました。口を動かすときは部品ごと取り替えるのですが、外したのは顔の「マスク」だけ。長い赤い髪をくずさないためです。Fact[2]

Kanon

髪をくずさないために、顔のほうを外すんですね! わかります、すっごくわかります。私も、ツインテールを結び直すくらいなら、衣装のほうを着替えます。Preference

Lucano

本番前なら、それは正しい判断だ。髪は、一度くずれると戻すのに時間がかかるからね。Interpretation

サリーは継ぎはぎだらけの人形で、ほつれたら自分で縫い直せます。ただし、利き手の右腕だけはそうはいきません。かごのかばんに裁縫道具を入れて、持ち歩いています。Fact[1]

Kanon

裁縫道具を持ち歩いてる! 私も、楽屋に針と糸を持っていくようになりました。……まだ、自分ではうまく直せないけど。Preference

Lucano

持っていくようになった。それが第一歩さ。最初の日のカノンは、針の持ち方から逆だったからね。

Kanon

その話はしなくていいです!

セットに線を刻む

セットの表面には、細い線が刻まれています。ペンで描いた絵のような雰囲気を出すためで、参考にしたのはロナルド・サールさんやエドワード・ゴーリーさんの絵だと、アートディレクターが話しています。撮影は、昔ながらのストップモーションに、当時最新のデジタル技術を合わせたものです。Fact[1]

Lucano

これはね、服でいうとステッチだ。平らな布の上に線を一本走らせるだけで、面に絵が生まれる。表に見せる縫い目は、隠す縫い目よりずっと気をつかう。……おっと、職人の顔になってしまったね。Interpretation

Kanon

ルカーノさんがその顔になると、話が長くなるの、知ってます。

もとになったのは、バートンさんが1982年に書いた詩です。そのころバートンさんは、ウォルト・ディズニー・プロダクションに勤めるアニメーターでした。製作が始まったのは1991年7月、場所はサンフランシスコ。監督がセリックさんになったのは、バートンさんが別の映画、『バットマン リターンズ』の撮影で手がふさがっていたからです。Fact[1]

Kanon

一つの詩から、人形が227体。……私の最初の衣装のデザイン画も、いつか何かになるかな。Preference

Lucano

なるさ。引き算をすればね。

初めて観る人へ

Kanon

初めての人は、ジャックが扉の木を見つけるところまで観たら、一回止めて、ジャックの手足の細さを見てほしいです。蜘蛛がもとだって知ってから観ると、ちがって見える気がするので。Preference

Lucano

僕からは、サリーの継ぎはぎを。どの布とどの布がつながっているか、服を作る人の目で観てごらん。一本の映画が、二本ぶん楽しめるよ。Preference

Kanon

はい! 帰ったら、もう一回観ます。今度は、針を持ったまま。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のために作られた人形は227体。ジャックには約400の頭があり、サリーは長い髪をくずさないよう、顔のマスクだけを外して表情を替えた。

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