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Anime & manga trivia

『ときめきトゥナイト』はくしゃみで元に戻る

噛んだものに化けて、くしゃみで元に戻る女の子。母の昔なじみのミサに髪を勝手に編まれながら、イトが古本で見つけた『ときめきトゥナイト』の決まりごとと、何度も描かれ直したその後の話をしました。

For people who
昔の少女漫画を、短い動画や古本の棚で見かけて気になっている人へ。変身ものの決まりごとが好きな人にも。
Spoiler range
No spoilers 『ときめきトゥナイト』(池野恋さんの漫画)の始まりの設定(吸血鬼の父と狼女の母をもつ蘭世が、噛んだものに変身し、くしゃみで元に戻ること、中学に入った初日の恋と反対する両親、ライバル)と、テレビアニメ・描き直しの作品・大人の蘭世が主人公の続編があることまで。恋の行方と結末には触れません
Who's talking
Ito × Misa
Types of claims: Fact Observation from the work Grounded inference Interpretation Preference
Contents 4 sections, ~4 min
  1. 噛んだものになる女の子
  2. 恋の話になると黙る
  3. 連載と同じ年のテレビ
  4. 描き直しと大人の蘭世

日曜の昼過ぎ、イトの家の居間。母の昔なじみのミサが遊びに来ていて、座布団のイトのうしろに回りこむと、断りもなく髪をほどいて編みはじめました。イトの膝には、リサイクルショップの棚で見つけた古い漫画が一冊。台所では、シズカがお湯を沸かしています。

噛んだものになる女の子

『ときめきトゥナイト』は、池野恋さんが『りぼん』で描いた漫画です。連載は1982年に始まり、1994年まで続きました。Fact[1]

主人公の江藤蘭世は、吸血鬼の父と狼女の母のあいだに生まれた女の子です。蘭世は、噛みついた相手の姿に変身することができます。相手は人でも、ものでもかまいません。そして元の姿に戻るには、くしゃみをするのです。Fact[1]

Ito

友だちの動画で、「くしゃみで元に戻る女の子」って紹介されてたんです。何それって思って、紙で探してました。やっと一冊ありました。Preference

Misa

くしゃみで戻るなんて、決めポーズとしては最低ね。……でも、いいじゃない。体のほうが先に正直になるの、私は好きよ。Interpretation

Ito

変身してるあいだ、くしゃみが出ないようにずっと我慢してる顔なのかなって思うと、ちょっと笑えます。Interpretation

Misa

人の姿をそっくり借りられるなら、私なら、立ち方のきれいな人を噛むわね。中身が自分のままでも、背中から借りれば、だいたいそれらしく見えるものよ。Preference

Ito

私は借りなくていいです。描くほうがいい。人の顔って、借りるより、見て描いたほうが、その人のことが分かる気がします。Preference

恋の話になると黙る

中学に入った最初の日、蘭世は真壁俊という男の子に一目で恋をします。けれど両親は、娘が人間の男の子を好きになることを許しません。俊を好きなライバル、神谷曜子もいて、蘭世の恋は最初から前途多難です。Fact[1]

Misa

ほら、ここからが本番よ。親に反対されて、ライバルまでいて。邪魔が多い恋ほど、ヒロインの背筋は伸びるの。Interpretation

イトは返事をしませんでした。髪を引っぱられたまま、ページだけをめくります。

Misa

あら、黙っちゃった。

Ito

恋のところは、読むだけでいいです。私が見てるのは、親に止められたあとの蘭世。言われたことと思ってることが、顔でずれてる気がするんです。そこが長い。Interpretation

Misa

そう。私は口で言うほうが好きだけど、ずれてる顔なら、踊りでも一番きれいに見えるところね。Preference

連載と同じ年のテレビ

連載が始まった年の秋には、テレビアニメも始まりました。日本テレビで1982年10月から1983年9月まで放送され、全34話です。Fact[1]

Misa

アニメはね、正直ちょっと苦手なの。でも、くしゃみの瞬間をどう動かしてるのかだけは、観てみたい気もするわ。Preference

Ito

動くと一瞬だと思います、たぶん。紙だと、くしゃみの前のコマで止まれます。Interpretation

Misa

止まれるのは、紙のいいところね。振付でも、いちばん大事な形は、一回止めて鏡で見るの。動いてるときは、本人がいちばん見えてないから。Interpretation

Ito

じゃあ私、鏡の係ですね。止めて見るのは得意です。言うかどうかは、別ですけど。Preference

描き直しと大人の蘭世

池野恋さんは、この物語をその後も描いています。2002年からは、設定を大きく変えて描き直した『ときめきミッドナイト』の連載が始まり、2009年に完結しました。Fact[1]

さらに2021年には、続編の『ときめきトゥナイト それから』が雑誌『Cookie』で始まりました。主人公は、大人になった蘭世です。Fact[1]

Misa

そこよ、そこ。大人になったヒロインが、もう一回主役に立つの。私はそれがいちばん好き。年を重ねた立ち姿って、若いころより嘘がつけないのよ。Preference

Ito

私は、中学の最初の日の蘭世から読みます。大人の蘭世は、私がもうちょっと大きくなってから。……ミサさん、髪、きついです。Preference

Misa

はいはい。ほら、できた。編みこみ、似合うじゃない。

Ito

引っぱられてるあいだ、くしゃみしたら元の髪に戻るかなって、ずっと考えてました。

Misa

戻らないわよ。台所のお母さんに見せてきなさい。

噛めば変身、くしゃみで元どおり。『ときめきトゥナイト』の蘭世は、描き直されても、大人になっても、まだ物語の真ん中にいます。

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