目次
前置きが長いのはいつものことですので、どうかお許しください。今回は『ゼロの使い魔』を二度目に読んだときの話です。一度目の私は、ルイズの意地っ張りに背筋を伸ばし、才人とのかけ合いに笑いをこらえるので精一杯でした。二度目に開いたとき、同じ頁がまるで違う顔をしていたのです。ここから先は、第3巻『始祖の祈祷書』の結末までを読み終えた方に向けて書いています。まだの方は、どうか本の側を先に。物語の大事なところは、開いてから読む部分に畳んであります。
二周目を始める前に
KADOKAWAの作品ページには、著者がヤマグチノボルさん、イラストが兎塚エイジさん、第1巻の発売日が2004年6月25日と記されています。事実[1]
公式サイトの年表には、2004年9月25日に第2巻『風のアルビオン』が出たことが並んでいます。事実[3]
同じ年表で、第3巻『始祖の祈祷書』の発売日は2004年12月25日です。事実[4]
つまり、今回私が読み直した三冊は、半年ほどのあいだに続けて世に出た本です。一度目のときは、私もこの三冊を続けて読みました。借りていた狭い部屋で、一晩に一冊。続きが気になって、細かいところは飛ばすように読んでいたのだと思います。二度目は、あえて一晩に一章と決めました。仕事が遅い者の読み方です。けれど、遅く読むと見えるものがありました。好み
二周目で私が数えたのは、三つです。ルイズが魔法を失敗する場面。才人の左手のことが話題になる場面。そして、誰かが自分の本当の顔を隠している場面。この三つを付箋で色分けしながら読み直すと、第1巻の頁が付箋だらけになりました。作中の観察
付箋で色分け。……ルカ、それ途中で色の意味わかんなくなるやつでしょ。
ミコ様、どうしてお分かりに。三色目あたりで、緑が「左手」だったか「隠しごと」だったか、怪しくなりました。ですが不思議なことに、二周目の終わりには、その二つの色はほとんど同じ場面に貼られていたのです。
第一章:教室の失敗の場面
公式サイトの第3巻の紹介文は、ルイズのことを「可愛いけれど魔法の才能はゼロのご主人様」と書いています。題名の「ゼロ」は、彼女に向けられた周りの評価そのものです。事実[4]
一度目に読んだとき、私はルイズの失敗を、意地っ張りな少女の不器用さを描くための笑いどころだと受け取っていました。呪文を唱えると、何かが起きるはずの場所で大きな音がして、教室が煙だらけになる。周りはため息をつき、ルイズは顔を赤くして言い返す。物語の最初の数章で、何度か繰り返される型です。作中の観察
ところが二度目に読むと、その「型」の細かいところに目が行くのです。ルイズの失敗は、毎回どんな形をしているのか。周りは何を見ていて、何を見ていないのか。二周目は、そこを一行ずつ確かめながら読みました。根拠のある推測
中盤まで序盤の展開(第1巻)押すと開きます
第1巻の序盤、授業でルイズが小石に魔法をかけようとする場面があります。結果は爆発で、教室はめちゃくちゃになり、彼女は片付けを言いつけられます。一度目、私はここで「ゼロのルイズ」というあだ名の由来を知ったつもりになって、先へ進みました。二度目は、ここで手が止まりました。周りの生徒たちは、ルイズが失敗したことは見ていても、なぜ毎回爆発なのかは誰も問いません。失敗の中身を見ずに、失敗という結果だけで人を数えている。そもそも物語の始まりの召喚の儀式で、ルイズは何度も失敗したすえに、とうとう何かを呼び出しています。呼び出されたのが人間の少年だったので、周りはまた笑いました。けれど、ほかの生徒たちが呼び出したのは、その土地にいる動物や幻獣です。ルイズだけが、別の世界から一人の人間を呼び寄せた。二周目の目で見ると、あれは失敗ではなく、規格外だったのかもしれません。作中の観察
結果だけで人を数える、ね。テストの点だけ見て「あいつはゼロ」って言う教室、現実にもいっぱいある。中身を見るのって手間だから。解釈
はい。そして、手間を省かれた側は、自分でも自分を「ゼロ」だと思いはじめてしまうのです。ルイズが周りに言い返すたびに、私は、彼女が言い返しているのは周りではなく、自分の中の「ゼロ」なのではないかと思うようになりました。解釈
第二章:左手の文字は誰が読んだのか
公式サイトの第1巻の紹介文には、ルイズが契約だと言って才人にキスをしたあと、「手の甲にヘンな文字が浮かび、才人は使い魔にされてしまう」と書かれています。事実[2]
一度目は、この文字を、使い魔になった証の飾りのようなものだと思って読み流しました。けれど二周目で気づいたのは、物語がこの「ヘンな文字」を、驚くほど早い段階から、読者にだけそっと気にさせていることです。ルイズ本人も才人本人も、その文字の意味をほとんど気にしていない。気にしているのは、二人の外側にいる大人たちです。作中の観察
中盤まで中盤の展開(第1巻)押すと開きます
才人が貴族の少年ギーシュとの決闘に巻きこまれる場面を、二周目では最初から時間を計るようにして読みました。素手の才人は一方的にやられ、それでも立ち上がります。そして剣を手にした瞬間、左手の文字が光り、体が別人のように動き出す。一度目の私は、ここをただ痛快な逆転として読みました。二周目では、この場面の「見ている人」のほうが気になります。学院の大人たちが、遠くからこの決闘を見ている。彼らが見ているのは勝ち負けではなく、光った左手です。そのあと才人は町でルイズに剣を買ってもらいますが、店の隅で売られていた錆びた剣がしゃべり出し、才人を妙な呼び方で呼びます。一度目は、口の悪い剣という愉快な相棒が加わった場面でした。二度目は、この剣が才人の正体を、才人本人より先に知っている場面に見えました。作中の観察
ここで私は、少し自分のことを思い出しました。私は以前いた場所で、身に覚えのない噂によって居場所をなくしています。そのとき痛かったのは、噂そのものより、私について大事なことが、私の知らない場所で、私抜きで語られていたことでした。才人の左手の文字も、本人の知らないところで読まれ、本人の知らないところで意味を与えられていきます。二周目の私には、それが少しだけ怖く見えたのです。解釈
でもさ、本人に言わない大人たちって、守ってるつもりなんでしょ。知ったら狙われる、みたいな。根拠のある推測
おっしゃる通りです。だからこそ、難しいのだと思います。守るための沈黙と、本人を置き去りにする沈黙は、外から見ると同じ形をしています。二周目は、その二つの見分けがつかないまま読み進めるしかありませんでした。解釈
結末・正体結末と正体(第1巻)押すと開きます
第1巻の途中で、学院の教師コルベールと学院長オスマンが、才人の左手の文字を調べます。二人がたどり着くのは、その文字が、伝説の始祖ブリミルに仕えた使い魔「ガンダールヴ」のものだという答えです。あらゆる武器を使いこなしたという伝説の使い魔。剣を握った才人が別人のように動けた理由が、ここで読者にだけ明かされます。そして二人は、このことを外に漏らさないと決める。二周目で読み返すと、ここがこの巻でいちばん大事な頁だと分かります。伝説の始祖の使い魔が呼び出されたのなら、呼び出した側は何者なのか。答えは第3巻まで書かれませんが、問いはもう第1巻の真ん中に置かれていたのです。同じ巻の後半では、学院の宝物庫から「破壊の杖」を盗んだ盗賊「土くれのフーケ」を追うことになります。捜索の案内を買って出たのは、学院長の秘書ミス・ロングビル。そして彼女こそがフーケでした。二周目では、彼女が最初に登場する場面から、目線や物腰の一つひとつが違って読めます。正体を隠した人が、すぐ隣で親切にしている。ガンダールヴの秘密を隠す大人たちと、正体を隠す盗賊。この巻には、隠しごとをする人が二種類いたのです。さらに「破壊の杖」は、才人の元いた世界の武器でした。才人がそれを使いこなせたのは、左手の力に加えて、それが自分の世界の道具だったからでもあります。作中の観察
第三章:第2巻の旅
公式サイトの第2巻の紹介文には、王女アンリエッタの願いを引き受けた才人たちが、護衛のワルド子爵とともに出かけることになり、そのワルドが「なんとルイズの婚約者とか」と書かれています。事実[3]
第2巻は、私にとって二周目がいちばんつらい巻でした。一度目は、才人の嫉妬と、大人びた婚約者の登場にどきどきしながら、旅の物語として読んでいました。二度目は、旅のあいだの会話の一つひとつに、別の意味が乗っているように見えてしまうのです。好み
二周目で気づいた作り手の工夫を一つ挙げるなら、第2巻はこの婚約者を、とても魅力的な大人として描いていることです。礼儀正しく、強く、ルイズを幼いころから知っていて、彼女の可能性を誰よりも信じているように話す。周りから「ゼロ」と言われてきたルイズにとって、自分の可能性を信じてくれる大人の言葉が、どれほど甘く響いたか。才人がいくら背伸びしても届かない場所から、その言葉は届きます。解釈
いや、それは効く。ずっと低く見られてた子に「君には才能がある」って言う大人、いちばん信用したくなるもん。解釈
ミコ様の言葉は、いつも少しだけ痛いところに届きますね。……私も、優しい言葉を下さった方を、すぐに信じてしまうほうです。
結末・正体結末(第2巻)押すと開きます
アルビオンにたどり着いた一行は、王子ウェールズと会い、王女の手紙を取り戻します。ワルドはその地でルイズとの結婚式を挙げようとしますが、ルイズは迷ったすえに首を横に振る。その瞬間、ワルドは本性を表します。彼は王家に反旗をひるがえした勢力「レコン・キスタ」の側の人間で、狙いは手紙と、ルイズ本人の力と、王子の命でした。王子はその場で倒れます。二周目で読み返すと、旅のあいだのワルドの言葉は、ほとんどすべて二重の意味を持っています。彼がルイズの「可能性」を語るとき、それは励ましではなく、値踏みでした。第1巻でガンダールヴの意味を知った読者なら、ワルドがなぜルイズを手に入れたがったのか、その理由の輪郭がうっすら見えるはずです。第2巻は、隠しごとが一斉にほどける巻でした。私がこの巻でいちばん胸を突かれたのは、ルイズが結婚を断る場面です。周りが用意した、いちばん正しく見える道を、自分の違和感だけを頼りに断る。誰もまだワルドの裏切りを知らないうちに、です。気位の高さと意地っ張りは、ここで、自分を守る力になっていました。作中の観察
第2巻を読み返すのは、私にとって楽なことではありませんでした。この巻には「言葉が言葉どおりの意味ではなかった」ことの痛みがあり、それは私の古い傷のすぐ隣にあるからです。それでも最後まで読み返せたのは、この巻が痛みを、誰かの爽快な倒され方で片付けていないからです。残るのは、旅で手にしたものの重さと、失われたものの大きさです。解釈
幕間:王女の手紙を読み直す
第2巻の旅は、王女アンリエッタの頼みごとから始まります。公式サイトの紹介文によれば、それは、かつて恋仲だったアルビオンの皇太子から、交わしたラブレターを返してもらいたい、という願いでした。事実[6]
一度目、私はこの頼みごとを、冒険を始めるための口実のように読んでいました。王女が昔の手紙を取り戻したがっている。理由は政治のことらしい。それ以上は深く考えず、旅の行方ばかり追っていたのです。二周目は、旅に出る側ではなく、送り出す側の王女の顔ばかり見ていました。自分では取りに行けない手紙を、幼なじみに託すしかない人。その手紙には、もう口に出してはいけない気持ちが書いてある。言葉が足りずに失ったものを知っている私には、言葉を書いてしまったせいで苦しむ人の話も、他人事には読めませんでした。解釈
結末・正体結末(第2巻・第4巻のあらすじに書かれた内容を含む)押すと開きます
アルビオンで会ったウェールズ王子は、王女のもとへ逃れてほしいという願いを、王族としての務めを理由に受け入れません。手紙は返されますが、王子はその地で命を落とします。公式サイトの第4巻の紹介文には、全てがうまく収まったように見える裏で、アンリエッタが好きだった亡きウェールズ王子を想って沈んでいたことが書かれています。二周目の私は、第2巻の最初の頁で頼みごとをする王女の声を、この結末を知ったまま聞き直しました。彼女は手紙を取り戻したかったのではなく、本当は手紙の向こうの人に帰ってきてほしかったのではないか。そう読むと、旅の始まりの場面の短い会話が、別れの手紙のように聞こえてきます。作中の観察[7]
第四章:第3巻の題名
公式サイトの第3巻の紹介文には、ルイズがアンリエッタの結婚式の巫女役を仰せつかり、巫女は『始祖の祈祷書』を持って詔をとなえるのが役目で、学院長から『始祖の祈祷書』を預かる、と書かれています。事実[4]
第3巻は、一度目に読んだときには、二人の関係の巻だと思っていました。同じ紹介文が書いているとおり、ルイズが才人を意識しはじめて、ちょっと優しくなる。才人はそれを勘違いして卑屈になり、毎日がかみ合わない。私はこのすれ違いを、『とらドラ!』を読むときと同じ目で、もどかしく見守っていました。作中の観察
二周目では、この巻の題名に目が行きました。祈祷書。式で読み上げるための本です。物語の上では、王女と親しい彼女が巫女役に選ばれたから、という筋が通っています。二周目の私は、この本が出てくる頁に、付箋を一枚ずつ貼りながら読みました。根拠のある推測
中盤まで中盤の展開(第3巻)押すと開きます
第3巻では、学院で働くメイドのシエスタの故郷の村に、「竜の羽衣」と呼ばれる不思議な宝が伝わっていることが分かります。才人が見に行くと、それは才人の元いた世界の飛行機、それも零戦でした。シエスタの家に伝わる話から、昔、才人と同じように別の世界から来た人がいたことも見えてきます。二周目の私は、ここで声を出しそうになりました。「ゼロ」は、ルイズのあだ名であると同時に、才人の世界から来た機体の名前でもあったのです。題名の『ゼロの使い魔』を、一度目の私は「ゼロと呼ばれる主人の使い魔」とだけ読んでいました。二周目では、その言葉に、才人の側の「ゼロ」もうっすら重なって聞こえます。作り手が最初からそれを狙っていたかどうかは、私には分かりません。ただ、二度目に読む人にだけ鳴る音が、確かにここにあります。解釈
それ気づいたとき、たぶん私も変な声出る。……で、才人の世界から来た人が昔いたってことは、才人だけが特別な迷子じゃないってことでしょ。根拠のある推測
ええ。遠い場所から来て、ここで暮らしを作った人がいた。私はその人の暮らしの話を、本編よりもっと読みたくなってしまいました。どこで眠り、何を食べ、誰に名前を呼ばれていたのか。好み
結末・正体結末と正体(第3巻・第4巻のあらすじに書かれた内容を含む)押すと開きます
王女の結婚を前に、アルビオンの側が奇襲をしかけてきます。追い詰められた戦場の空で、才人は竜の羽衣を飛ばし、ルイズはその後ろで、白紙だったはずの『始祖の祈祷書』を開きます。王女から預かった指輪をはめた彼女の目にだけ、頁に文字が浮かぶ。それは、始祖が使ったという伝説の系統「虚無」の呪文でした。ルイズが唱えた最初の呪文は、爆発。空を覆っていた敵の艦隊は、その光に焼かれて落ちていきます。二周目の私は、この場面で本を閉じて、しばらく個室の天井を見ていました。第1巻の教室で、彼女の魔法はいつも爆発していました。あれは失敗ではなく、まだ名前を持たない「虚無」が、ほかの系統の呪文の形を借りられずにこぼれ出ていた音だったのです。左手にガンダールヴの印を持つ使い魔を呼び出したのも、彼女が始祖と同じ系統の担い手だったから。第1巻の真ん中に置かれていた問いの答えが、ここでようやく本人の手に渡ります。公式サイトの第4巻の紹介文には、敵軍を撃退したことで、ルイズが伝説の『虚無』の使い手として知れ渡ったことが書かれています。周りから「ゼロ」と呼ばれた少女は、実は誰も持っていない系統を一人で抱えていた。二周目の私がいちばん泣きそうになったのは、この答えそのものではありません。答えが出るまでの二冊半、ルイズが、自分は何者でもないかもしれないという恐れを抱えたまま、それでも誇りを曲げずに立っていたことです。答えを知らないまま胸を張っていた人を、答えを知った目で見返す。それが、この作品の二周目でした。作中の観察[5]
第五章:二周目で見えた作り手の手つき
ここからは、私の推測が多くなります。どうか、そのつもりで。
二周目でいちばん感心したのは、作り手が「大事な情報を、笑いの場面に置いている」ことです。ルイズの教室での失敗も、才人の左手の文字も、どたばたの中に置かれています。読者は笑っているあいだに、それを見ている。笑いは、注意をそらすための幕でもあり、同時に、もう一度読んだ人への贈り物でもあります。一度目は笑い、二度目は意味に気づく。同じ頁が二回働くように作られているのだと、私は受け取りました。解釈
もう一つは、主人公たちがいちばん大事なことを、いちばん最後に知る順番です。読者は第1巻の途中で、才人の左手の意味を知らされます。けれど才人とルイズは、それを知らないまま第2巻の旅に出て、第3巻のすれ違いを過ごす。読者だけが少し先を知っていて、登場人物の不安を外から見守る形になっています。一度目はその差に気づかず、二度目はその差がそのまま、見守る側の切なさになります。解釈
三つ目は、題名です。一冊目の題名『ゼロの使い魔』は、最初は周りの評価を借りた、少し意地悪な呼び名に見えます。二周目は、この題名を何度か口に出しながら読んでみてください。題名を書き換えずに、読む人の側の聞こえ方だけを変えてしまう。私がこの作品を何度でも開いてしまう理由の一つです。解釈
最初と最後で、同じ言葉の重さが変わるってことね。……そういうの、私も好き。言い返さずに、言葉ごとひっくり返すやつ。好み
第六章:ルイズという人の変わり方
最後に、二周目で見えたルイズの変化の話をさせてください。一度目の私は、彼女を「最初から最後まで気位の高い人」として読んでいました。それはいまも変わりません。ただ二周目では、その気位の高さの中身が、巻を追うごとに少しずつ変わっているのが見えました。解釈
第1巻のルイズの気位は、周りに負けないための鎧です。言い返すことでしか、自分を保てない。第2巻のルイズの気位は、周りがすすめる道を前にしても、自分の違和感を手放さない力になります。第3巻のルイズは、才人に優しくしようとして空回りし、気位の高さがかえって素直さの邪魔をする。鎧が、外に向かって守る形から、内側の気持ちを出すのを不器用にする形へ。同じ性格が、場面によって武器にも重荷にもなるのです。解釈
私も、礼儀正しさを鎧にしてきた者です。返事の言葉を選びすぎて、手が止まる。相手を不快にさせないための丁寧さが、ときどき、自分の本音を言う邪魔をする。ルイズの気位の高さを二周目で見つめ直したとき、私は自分の丁寧さについても、少しだけ考え直しました。鎧は脱がなくてもいい。ただ、それが何を守っていて、何を閉じこめているのかは、ときどき確かめたほうがいいのかもしれません。解釈
脱がなくていい、ってとこがルカっぽい。……あと、さっきから背筋伸びっぱなしだけど、零戦のくだりで笑いこらえてた?
……設備上の問題がございましたので、少々。
これから二周目を始める方へ
二周目をするなら、第1巻の最初の数章だけでも構いません。ルイズの魔法が失敗する場面に印をつけて、何が起きたかを一行ずつ書き出してみてください。それだけで、最初の頁の音が変わるはずです。好み
それから、才人の左手のことを誰が気にしていて、誰が気にしていないかも、数えてみてください。気にしている人の数と、本人たちの無頓着さの差が、そのまま物語の緊張になっています。急がなくて大丈夫です。私は一晩一章で、三冊に一か月近くかかりました。好み
周りが「失敗」と呼んだ場面を、二周目はもう一度だけ聞き直してみてください。最初の頁の音が、きっと変わります。