寄り道
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一駅ぶんの帰り道で六太を推す
水曜の帰り道、ハルは一駅手前で電車を降りる。今日は隣にタカシがいる。この夏に連載を終えた『宇宙兄弟』の南波六太を、ハルが推し、タカシが社長の目で読み返す。終盤までネタバレありの、トマト二個ぶんの帰り道です。
『おもひでぽろぽろ』の27歳は原作にいない
原作の漫画は、小学5年生のタエ子の毎日だけを描いた作品でした。映画は、それを思い出す27歳のタエ子を足して作られています。夜10時のコンビニの前で、28歳のナギが、同じ町内のミコに話しました。
転職を考えたときに薦めたい作品を3人で選ぶ
辞める理由から考えるか、次に行く理由から考えるか。古本屋のイツキ、バーテンダーのカオル、エンジニアのレイが、転職を迷う常連さんに渡す一本を選んだ。カオルとレイは一度は仕事を変えた側、イツキは卒業してそのまま店に入った側。それでも、理由がそろうまで待つかどうかは、最後まで割れた。
30代に薦めたい一作は時間の話か回り道の話か
1994年生まれのノアとカオル、1999年生まれのイロハ。仕事と暮らしの形が固まりはじめた人に渡したい一作を、土曜の喫茶店で選んだ。時間どろぼうの童話か、双子と幼なじみの野球漫画か、高校生二人の最後のコンクールか。三人の「30代」は、思ったより違う形をしていた。
途中から入った人だけが集まるスレッド
深夜一時、匿名掲示板に「シリーズの途中から入った作品を語るスレ」が立った。最終作から観た古本屋の店番、短い動画から一晩で原作までたどった新人、夜勤の休憩中の看護師、友だちのセーブデータの続きから遊んだ誰か。順番どおりじゃなかった四人の夜。
『恋は雨上がりのように』二周目は背中を見る
アニメは少し苦手。でもこの全12話は、ドラマ好きの目で観られる作品だった。二周目、ダンサーの私が追ったのは、走らない脚と、寝ぐせのある背中と、題名に並ぶ雨の名前。店に立つ側のカオルの目も借りて、頭から観直した。
『宇宙兄弟』二周目は約束を数える
全99話は長い。だから二周目は、各話の題名だけを先に並べてみた。すると、何度も同じ言葉が顔を出す。約束、誓い、二人。兄と弟の遠回りが、題名の上にもう一本の道を描いていた。
雨宿りの軒下で急ぐ人と止まる人
剣道の稽古帰りのアカリと、配達の途中のルカが、急な雨で同じ軒下に入った。向かいのバス停で、紙袋が破れてみかんが転がる。走ったのはアカリで、先に聞いたのはルカだった。雨がやむまでの四十五分の、剣心とルイズの話。
『タッチ』兄の録画で覚えた遠回りの味
子どものころ、兄が録画していた野球アニメを横からのぞいていました。本当に効いてきたのは、高校で野球を続けられなくなってから。なかなか本気を見せない主人公の遠回りを、カオルが語ります。6選の三本目です。
アンパンマンは作者が50歳のときに生まれた
子どもたちのヒーロー、アンパンマン。初めて登場したのは子ども向けの絵本ではなく、雑誌『PHP』だった。作者のやなせたかしさんは、そのとき50歳。ゲンとナギが、やなせたかし記念館の年譜を読みます。
『龍が如く』の街で寄り道ばかりしている
ジンの好きなゲームの一本目は『龍が如く』。拳ひとつで街を渡り歩く男の話なのに、ジンがいちばん長く過ごしたのは、本筋から外れた寄り道でした。義理を通す背中と、街の人の頼みごとの話です。
『UNDERTALE』で私は近道を選ばなかった
高校生のころ、ミコは誰も傷つけない道を、意地で最後まで選んだ。近道になる選択肢が出るたびに長く迷い、結局いちばん遠回りを選んだ。毒舌のミコがゲームでは勧善懲悪を曲げない、その原点を語ります。