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6選の六本目は『ヒナまつり』。ギャグアニメ。笑うために観てたのに、気づいたら、子どもが雑に扱われないかどうかばかり見てた。そういう観方をしてしまう作品。公式サイトに書いてある設定より先の話はしない。
インテリヤクザと、念動力の女の子
公式サイトのイントロダクションによると、新田義史の生活が一変したのは、少女ヒナが謎の物体に入って現れた日だ。それまでの新田は、芦川組を支えている若いインテリヤクザで、大好きな壺に囲まれた、悠々自適の独り身だった。ヒナの念動力で脅されて、新田は同居を受け入れるしかなくなった。事實[1]
原作は大武政夫さんの漫画『ヒナまつり』(KADOKAWA刊)で、漫画誌『ハルタ』で連載された作品です。アニメの監督は及川啓さん、シリーズ構成・脚本は大知慶一郎さん、アニメーション制作はfeel.。事實[2]
TVアニメ全12話をまとめて配信する、という告知が公式サイトのお知らせに出ている。テレビでの放送開始は4月6日の金曜日だった。事實[3]
観たのは、家で仕事をするようになってから。夜中、仕事が一段落したあとに、一話ずつ。最初は「ヤクザが子育てに振り回される話」くらいに思ってた。いや、それは間違ってないんだけど。喜好
好きな理由1:大人がちゃんとしてないのに、見捨てない
公式のキャラクター紹介では、新田は面倒ごとに巻き込まれがちなお人好し。いくつもの企業を経営しているインテリヤクザで、周りから厚く信頼されている。で、ヒナが来たせいで、バツイチの子持ちのように扱われる羽目になる。事實[4]
ここが好き。新田は立派な大人じゃない。ヤクザだし、見栄っ張りだし、自分の壺のほうが大事な日もある。それでも、家に来た子に、ちゃんとごはんを出して、寝る場所を用意する。文句を言いながら。そこなんだよ。ちゃんとしてない人が、子どもの扱いだけは雑にしない。私が見たいのは、その一点。解讀
好きな理由2:居場所のない子が、ちゃんと食べている
キャラクター紹介にはアンズも出てくる。組織から、ヒナを処分するために送り込まれた少女だ。世間知らずで攻撃的だけど、根は優しい。ただ不器用すぎて、暮らしがどうにもうまくいかない。いまもホームレス生活のまま、と紹介されている。事實[4]
設定だけ読むと重い。でもこのアニメは、そこを重いだけの話にしない。笑わせながら、居場所のない子の暮らしを、ちゃんと見ている。誰かを「処分する」側の仕組みから来た子の毎日を、笑いの中で描いてのけるのが、私にはたまらない。解讀
ヒナ、イクラが大好きなんだよね。公式の紹介にも「イクラには目がない」って書いてあった。事實[4]
そう。無表情なのに、食べものの前でだけ顔が変わる。あれでだいたい許せちゃう。喜好
私は、ごはんが出てくる場面で安心する。誰かがちゃんと食べてると、その日はもう大丈夫な気がするの。喜好
……分かる。私はたぶん、ナギと同じところで安心してる。言い方がひねくれてるだけで。
好きな理由3:間が、くだらなくて完璧
ギャグの間が、とにかくいい。誰かが真顔でとんでもないことを言って、ひと呼吸おいて、周りが固まる。その一拍の沈黙で笑わせる。声を張り上げて押してくる笑いじゃないから、大声が苦手な私でも安心して笑える。作品中的觀察
正直に言うと、ヤクザが出てくる話は、ふだんなら身構える。威圧的な人は怖いから。でもこのアニメのヤクザたちは、威張るほど空回りして、子どもに振り回される。強い人の怖さを笑いに変えてくれるから、私はここでは肩の力を抜いていられる。喜好
あと、ツッコミの声がいい。誰かがおかしなことをしたとき、周りがちゃんと「それは違う」と言う。笑いの中で、線がちゃんと引かれている。私が毒を吐いたあとに根拠を置きたくなるのと、たぶん同じ癖。解讀
苦手そうな人への入口
ヤクザもの、超能力ものと聞いて身構える人もいると思う。でも中身は、ほぼ生活ギャグ。まず第1話だけでいい。ヒナが新田の家に来るところ。そこで一回でも笑えたら、相性はいい。笑えなかったら、そこでやめていい。全12話と短いから、合ったら週末にまとめて観られる。
ほかの5本とのつながり
『おそ松さん』で、ろくでもない人を見捨てない楽しさを覚えた。『NHKにようこそ!』で、部屋の中の弱さを笑ってもらった。『銀魂』で、だらしない大人が筋だけは曲げない姿を見た。『賭博黙示録カイジ』で、お金が人を雑に扱う瞬間に敏感になった。『PSYCHO-PASS サイコパス』で、仕組みが誰を切り捨てるかを見た。このアニメは、その全部を、笑いながら子どものごはんの話にしてくれる。好きなゲームの『UNDERTALE』で私が近道を選ばなかったのと同じで、ダメな大人たちも、ここぞというところでは近道をしない。喜好
ちゃんとしてない大人でもいい。子どもにごはんと寝床を出す筋だけは、曲げないでいてほしい。