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我的6部作品

『トップガン マーヴェリック』は背中で観る

本物の機体を飛ばし、コックピットの中にカメラを積んで撮った場面がある映画です。大きな画面と音で観ると、客席の背中がいっせいに座席へ沈むのが、うしろから見えました。同じ空の映画なのに、ハヤテさんとは話がずっと噛み合いません。副支配人のカグラが6選の五本目を語ります。

適合這樣的人
飛行機にも前の作品にも詳しくない人へ。同じ映画を観ても、人によって受け取る場所が違うのを面白がれる人にも。
劇透範圍
無劇透 映画『トップガン マーヴェリック』の始まりの設定(伝説のパイロットのマーヴェリックが教官としてトップガンに戻り、亡き親友の息子をふくむ若い精鋭たちを特別な任務に向けて鍛えることになる)まで。訓練の行方、任務の中身と結末には触れません
發言的人
Kagura × Hayate
主張的種類: 事實 作品中的觀察 有依據的推測 解讀 喜好
目錄 共 7 節·約 5 分鐘
  1. 大人たちが戻ってきた年
  2. どんな映画か
  3. コックピットに積んだカメラ
  4. 噛み合わない二人
  5. 何度も来るお客さんの顔
  6. 前の作品を知らない人へ
  7. 6選の「本物を撮る」

6選の五本目は『トップガン マーヴェリック』です。この映画のことを思い出すとき、私の頭に最初に浮かぶのは、空ではなく、客席に並んだたくさんの背中です。

大人たちが戻ってきた年

劇場で働きはじめて何年かたったころでした。長いあいだ足が遠のいていた大人のお客さんたちが、少しずつ劇場に戻ってきた年です。初日の初回、私は客席のいちばんうしろに立っていました。飛行機が飛び立つ場面で、前に並んだ背中が、いっせいに背もたれへ押しつけられる。客席全体が、ひとつの体みたいに沈んだんです。その光景を、私は暗がりの中でずっと見ていました。終映後、ロビーへ出てくるお客さんの顔も、いつもと違って見えました。少し疲れていて、でも妙に晴れやかで、何人もの人が首や肩を回しながら歩いている。映画の感想を言うより先に、体のほうが何かを済ませてきた、という顔でした。喜好

どんな映画か

『トップガン』の続編にあたるアメリカの映画で、監督はジョセフ・コシンスキーさん。前作に続いて、トム・クルーズさんが主人公のマーヴェリックを演じています。事實[1]

物語の入口はこうです。長く空にいるベテランのパイロット、マーヴェリックが、教官としてトップガンに呼び戻されます。任されたのは、ある特別な任務に向けて、選び抜かれた若いパイロットたちを鍛えること。その中には、かつて亡くした親友の息子もいました。事實[1]

コックピットに積んだカメラ

惹かれる理由のはじめは、どう撮ったか、です。私は作品を観るとき、どこにカメラを置いたのかがどうしても気になってしまう。この映画は、その答えがまっすぐでした。解讀

戦闘機のコックピットの中の場面は、IMAXの認証を受けたソニーのデジタルカメラを六台、機内に積みこんで撮られたそうです。事實[1]

しかも、俳優が自分で機体を飛ばしたわけではありません。うしろの席に俳優が乗り、前の席では海軍のパイロットが本当に飛ばしていた。俳優の顔を狙ったカメラも、機内にありました。事實[2]

大きな画面に映る顔が、ときどき演技の顔ではなく、本当に何かに耐えている顔に見えるのは、そのせいだと思います。どの場面がどこまで実機なのか、私の目では見分けられません。それでも、本物を撮った場面があることは、客席の体のほうが先に気づいてしまう。背中が沈んだのは、たぶんそういうことでした。解讀

噛み合わない二人

Hayate

飛んでいる場面で、体が座席に沈みました。

Kagura

わかります。あそこ、エンジンの音が客席のうしろから前へ抜けていくんです。スピーカーの鳴る順番が——

Hayate

音ではなく、重さです。首にきます。

Kagura

首……。コックピットの中にカメラを積んで撮っているので、俳優さんの顔が本当に——

Hayate

顔じゃなくて、首です。

ハヤテさんが言うには、あの場面で自分の体にかかる重さを想像すると、首の筋がこわばるのだそうです。私は同じ場面で、音が頭の上をどちらへ流れたかばかり追いかけていました。同じ映画の同じ数秒を、二人でまるで違う場所から受け取っている。噛み合わないのに、なぜか少しも嫌じゃありませんでした。好きな理由の二つ目は、ここにあります。この映画は、受け取る場所の違う人どうしを、同じ暗闇の隣の席に座らせてくれる。音を聴きに来た人も、体で乗りに来た人も、それぞれの持ち場で満足して帰っていける映画は、そう多くないと思います。喜好

Kagura

ハヤテさん、もう一回、一緒に観ません? 私は音を、ハヤテさんは首を。

Hayate

……いちばんうしろの席、ですか。

Kagura

最後列です。背中がいちばんよく見えるので。

何度も来るお客さんの顔

三つ目は、この映画を何度も観に来たお客さんたちです。二回目、三回目と通ってくる人の顔は、一回目と違います。次に来る場面を知っているから、その少し前に、肩のあたりが準備をしている。知っているのに、また同じところで沈む。わかっている驚きを、もう一度体に通しに来ているように見えました。この映画の強さを、私は数字より先に、その人たちの肩で知ったと思っています。何度目かの回のあと、ロビーで「今日はうしろのほうで観た」と連れの人に話している声が聞こえて、思わず心の中でうなずきました。席を変えて観なおすのは、私だけの癖ではなかったようです。喜好

前の作品を知らない人へ

前の作品を観ていなくても、私は楽しめました。昔の出来事が出てくる場面でも、主人公がそれを抱えている、ということさえ伝わればついていけます。飛行機に詳しくない人は、細かい用語は聞き流して、俳優の顔と、自分の背中の感じだけを追ってみると入りやすいと思います。家で観るなら、音を低いほうまでしっかり出すと、この映画の重さが少しだけ体に届く気がします。喜好

6選の「本物を撮る」

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』も、実際にやって撮ることにこだわった映画でした。どちらも、大きな画面と大きな音の前で、客席の体がうそをつけなくなる。そういう映画が私は好きなんだと、この二本を並べるとよくわかります。そして同じ年の冬には、何度も観に来るお客さんの顔で、もう一本の作品の強さを知ることになりました。それはまた、六本目の話で。喜好

空の映画を観に来た人たちの、空ではなく背中を見ていた。いっせいに沈むたくさんの背中が、この映画のいちばんの感想だったと思います。

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講述者 Kagura 守護熄燈那一秒的影城副經理 閱讀更多 Kagura 的文章 →

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