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我的6部作品

『サンクチュアリ』は二人で交わした契約の話

ジンの6選の二本目は『サンクチュアリ』。表と裏、別々の場所から頂点を目指す二人の男。その出発点にある一言を、ジンは「約束」ではなく「契約」と呼びます。大人向けの漫画の、静かな熱の話です。

適合這樣的人
約束を背負って生きる大人の話を読みたい人へ。大人向けの描写がある作品なので、合うかどうか迷う人への入口も書きました。
劇透範圍
無劇透 1巻の紹介文にある設定(裏社会の北条彰と、政治家秘書の浅見千秋が出会うところ)まで。二人が何をどこまで成し遂げるかには触れません
發言的人
Jin × Gaku
主張的種類: 事實 作品中的觀察 有依據的推測 解讀 喜好
目錄 共 7 節·約 5 分鐘
  1. 楽屋の棚で見つけた
  2. 好きな理由1:一言目が契約になっている
  3. 好きな理由2:絵が黙っている
  4. 好きな理由3:表と裏で同じ山に登る
  5. 俺の見方:頂点より隣に誰がいるか
  6. 苦手そうな人への入口
  7. ほかの好きな作品とのつながり

二本目は『サンクチュアリ』。大人の漫画だ。二人がどこまで行くかは書かない。書くのは、二人が最初に交わした一言の重さと、俺がそれをどう聞いたか。

楽屋の棚で見つけた

ライブハウスの楽屋の棚に、前の出演者が置いていった古い単行本が並んでた。開演まで一時間。暇つぶしのつもりで一冊抜いて、そのまま出番を忘れかけた。呼びに来たスタッフに、俺は「……別に、読んでない」と言った。読んでた。喜好

小学館の公式配信のページでは、著者は池上遼一さんと史村翔さん、掲載誌はビッグコミックスペリオール、レーベルはビッグコミックス。全12巻で完結している。事實[1]

1巻の紹介をまとめると、こうだ。六本木のあたりを縄張りにしている組織があって、北条彰はそこの総長だ。北条はある政治家の事務所を訪ねるが、出てきた男に追い返される。政治家の秘書にしてはめずらしく、こわもての男だった。それが浅見千秋。北条は浅見と国会議事堂を眺めながら、いつか必ずお前をあの赤絨毯に立たせてやる、とつぶやく。事實[1]

好きな理由1:一言目が契約になっている

あの一言を読んだとき、俺は背筋が伸びた。これは夢の話じゃない。契約だ。しかも自分のための契約じゃなくて、相手を上に立たせるための契約。自分が上がるより、相手を上げると言い切るほうが、ずっと重い。破れない。破ったら、二人とも終わる。解讀

約束は契約だろ? 俺はそう思ってる。だから、口約束を軽く扱う話には乗れない。この漫画は逆で、一言目からその重さを背負わせてくる。二人は最初のページで、もうその契約書にサインしてる。解讀

それに、あの一言はつぶやきなんだ。叫んでない。国会議事堂を見ながら、隣の男にだけ聞こえる声で言う。でかい約束ほど、小さい声で言うほうが重い。ステージで客に向かって叫ぶ約束より、楽屋で一人にだけ言う「次は外さない」のほうが、守らなきゃいけない気がする。俺はそういうのを何回も経験してる。解讀

好きな理由2:絵が黙っている

池上遼一さんの絵は、黙ってる。顔の線が多くて、目が動かない。大声で叫ぶコマより、黙って相手を見てるコマのほうが怖い。俺の6選の中では一番音が少ない漫画だと思う。だから、たまに入る一言が、低いベースの一音みたいに腹に響く。解讀

ステージでも、一番効くのはでかい音じゃなくて、音を止めた瞬間だ。全員が止まって、客が息を飲む。その空気がこの漫画には何ページも続く。読んでると、自分の呼吸がうるさく感じる。喜好

それから、二人が並んだときの温度だ。俺には、片方が熱くて、もう片方が冷たく見える。同じページに並ぶと、熱いのと冷たいのが隣り合ってるみたいだ。ギターとベースみたいなもんだ。片方だけだと薄い。二つ重なって、やっと曲になる。解讀

好きな理由3:表と裏で同じ山に登る

一人は表の世界、一人は裏の世界。立ってる場所がまるで違うのに、見てる山は同じ。二人がめったに同じコマに並ばないからこそ、並んだときの絵が強い。並んで同じ方向を見ている、それだけで、ああ契約はまだ生きてる、と分かる。解讀

Gaku

政治の仕組みを外側から動かそうとする話としても読めるね。制度の側から見ると、かなり危うい発想なんだけど。解讀

Jin

はい。……いえ、その通りだと思います。危ういです。ただ、二人の約束だけは、まっすぐだと思うんです。解讀

Gaku

ジンくん、なんで僕にだけ敬語なの?

……別に。理由はない。ガクさんの前だと勝手に背筋が伸びるだけだ。話を戻す。喜好

俺の見方:頂点より隣に誰がいるか

この漫画は、頂点を目指す話として読まれることが多いと思う。でも俺は、隣に誰がいるかの話として読んでる。出発点で交わした一言が、二人の背中をずっと押してる。自分のためだけの約束なら軽い。相手と交わした約束だから重い。俺はそう読んだ。解讀

バンドも同じだ。俺一人が上手くなっても、客は振り向かない。ボーカルの声を一番遠くまで届かせるために、俺のギターがある。……これは、かっこつけて言ってるわけじゃない。喜好

この漫画を読んでから、俺は約束をするときに少し黙るようになった。言う前に、本当に守れるかを一回考える。勢いで飛びこむ俺にしては、珍しい。……それでも、だいたい一回は派手に転ぶけどな。喜好

苦手そうな人への入口

先に言っておく。大人向けの漫画で、暴力の場面も、大人の場面もある。合わない人は無理に読まなくていい。俺もそういう場面を楽しんで読んでるわけじゃない。読むなら、二人が向かい合って話す場面だけ拾っていく読み方をすすめる。それだけでも、この漫画の芯はちゃんと伝わる。

それと、1巻の最初のあの一言までは読んでみてほしい。あそこで背筋が伸びたら、たぶん最後まで付き合える。伸びなかったら、それはそれでいい。

ほかの好きな作品とのつながり

『キングダム』は自分と交わす契約の話で、こっちは他人と交わす契約の話だ。『龍が如く』の義理とも近い。俺の6選は、だいたい誰かと何かを約束した男たちの話になってる。読み返すたびに、俺の約束は守れてるか、と考える。……守れてるはずだ。たぶん。喜好

自分が上がると言うより、お前を上げると言うほうが重い。約束は、最初の一言でもう契約だ。

本文中的作品

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