未来少年コナンを、最後まで観た。それから、すぐもう一回観た。二回目は、父ちゃんがとなりで、船の話ばっかりしてた。おれは、ノートに表を作って観た。最初に勝負した人やけんかした人が、あとでどうなったかの表。ここから先は、全部観た人むけ。まだの人は、畳んであるところを開かないでね。
一周目と二周目のちがい
父ちゃん、二回目、もう始めていい?
だって、毎回いいとこで終わるんだもん。
一回目は、コナンばっかり見てた。走るところ、跳ぶところ、つかまって、また逃げるところ。二回目は、ちがうところを見ようと決めた。父ちゃんが、一回目のとき何回も「あの船長がな」って言いかけて、口をむすんでたから。言いたかったことを、二回目で全部聞くことにした。喜好
やっと言えるのか。こっちは半年ぶんの船の話がたまってんだぞ。
半年もたってないよ。夏からだよ。
……船の上の三か月は半年なんだよ。
それ、ほんと? って聞いたら、父ちゃんは笑ってごまかした。声が大きかったから、たぶん、うそ。喜好
一回目のときは、居間のテレビの前で、父ちゃんが網の糸を指にまきつけたまま観てた。二回目は、おれがノートと鉛筆をとなりに置いた。父ちゃんは「試験か」って笑ってた。試験じゃない。表を作るため。作品中的觀察
で、その表ってのは何の表だ。
最初に勝負した人とか、最初にけんかした人とか、最初にてきだった人が、あとでどうなったかの表。
ほう。お前らしいな。勝ったあと、仲間にするかどうかってやつだろ。
そう。コナンがそれをやってるか、たしかめる。
はじめての仲間の回
おれが二回目でいちばん先に見なおしたのは、コナンが島を出て、はじめて着いた島の回。そこで、男の子に会う。喜好
ジムシィとコナン、最初、けんかみたいになるじゃん。あれ、一回目は「なんで仲よくならないの」って思った。
で、二回目は?
あれでいいんだと思った。先に勝負したから、相手がどれくらい強いか分かったんだよ。分かってから仲間になると、あとで困らない。
互角ってのがいいよな。どっちかが一方的に勝ってたら、子分になっちまう。
子分はいやだ。おれも、勝ったら仲間にさそうけど、子分にしたいわけじゃない。
お前のいちばんの友だちも、最初は勝負からだったな。
こども園のとき、かけっこした。おれが勝った。そしたら、そいつが「もう一回」って言って、次はそいつが勝った。それから、ずっといっしょ。
一勝一敗から始まったのか。そりゃ長続きするわけだ。
おれのノートの表の一番上は、ジムシィ。「最初は勝負の相手」「すぐなかま」。ここは一回目でも分かる。でも二回目に観ると、この回が、このあとのお話のやり方を先に見せてるみたいに見えた。最初にぶつかった人が、あとで横にいる。この話は、それが何回も来る。解讀
最初の一回で、全部の型を見せてるってわけか。網の目と同じだ。一つ目の結び目がちゃんとしてりゃ、あとは同じ結び方でずっと続く。
あとね、ジムシィの子ブタの名前、二回目でやっと意味が分かった。
はっはっは! かわいがってんのに、名前が「うまそう」だもんな。
一回目は、ふつうの名前だと思ってた。二回目に、あれ、おいしそうってことじゃんって気づいて、ひとりで笑った。
ジムシィらしいよ。腹ぺこのやつは、うそがつけねぇ。
魚の名前を全部言えるおれでも、自分の飼ってる生きものに「うまそう」はつけない。でも、ジムシィがつけると、なんか分かる。ジムシィは、いつもおなかがすいてるから。喜好
中段為止中盤のジムシィ點擊展開
旅の後半、ジムシィはコナンだけでなく、バラクーダ号の船長ダイスともいっしょに動くことが多くなり、二人は名コンビのように活躍します。
最初にコナンとぶつかった少年が、次にはかつての敵の船長と組んでいる。二周目は、ジムシィがだれのとなりにいるかを回ごとに見ていくと、仲間の輪が少しずつ広がっていくのが分かります。事實[1]
見つかった二人と船長
次の回で、コナンとジムシィは大きな船にこっそり乗る。でも、すぐ見つかる。一回目は「あーあ」って思っただけだった。喜好
ここだよ、ここ。俺が一回目から言いたかったのは。勝手に乗りこんできた坊主二人を、船長は海に放り出さねぇで、働かせる。そこがいい。
罰で働かされてるんでしょ?
罰だけど、船の上で働かせるってのは、船の人数に入れるってことだ。飯も食わせる。寝床もやる。船の上じゃ、それはもう半分仲間だぞ。
半分? あと半分は?
あと半分は、時化の日にいっしょに踏んばったら埋まる。
船の上の仕事って、なにするの?
甲板をみがく、ロープを巻く、荷物を運ぶ、飯の手伝いをする。新入りは、だいたい全部だ。……コナンとジムシィが、船でこき使われてるとこがあるだろ。あそこ、俺は二回目のほうが好きだ。
なんで?
俺の船でもそうだった。新入りは、最初はじろじろ見られる。でも、文句言わずに働いてりゃ、だんだんまわりの顔がゆるんでくる。働くのは、言葉より早いあいさつだ。
二回目は、コナンとジムシィが船で働いてるところを、父ちゃんの新入りの話と重ねて観た。勝負しなくても、いっしょに働くと仲間に近づく。おれの表に、また書くことがふえた。解讀
父ちゃんは、船に乗りはじめたころの話をちょっとだけして、すぐ「腹減ったな」って言った。おれは、その続きは聞かなかった。母ちゃんが台所で、もうすぐごはんって言ったから。喜好
でもダイス船長って、最初、ラナをさらってきた人だよね。
そうだ。だから一回目は、俺もあいつを悪いやつの手下だと思って観てた。ガキのころの話だけどな。……二回目は、あの船長の顔ばっかり追いかけてる。
バラクーダ号という船
父ちゃん、バラクーダ号って、ほんとにある船みたい?
ほんとの船よりへんてこだけどな。帆で走って、風がないときは機械も回す。そういう船は、漁師から見ると信用できる。片っぽがだめでも、もう片っぽで帰ってこられる。事實[6]
木炭って、キャンプのやつ?
そうだ、あれを燃やして出るガスで機械を回す。燃料が足りない世界で、それでも船を動かしてる。……俺は二回目、あの船に積んであるもんばっかり見てた。あの船は、ちゃんと仕事をしてる船だ。
言われて見たら、バラクーダ号には、小さい舟とか、ロボノイドとかが積んである。一回目は、ロボノイドが出てきても「ロボットだ」としか思わなかった。二回目は、船の道具なんだって分かった。網と同じで、仕事の道具。作品中的觀察
船って、乗ってる人の家みたいなもの?
家だな。台所もあるし、寝床もある。だから船長は、家の大黒柱だ。……ダイスがいい大黒柱かどうかは、まあ、観てのとおりだ。
中段為止中盤の船點擊展開
ハイハーバーに着いたとき、バラクーダ号はもう傷ついていて、乗組員は船を降りて島で暮らすことになります。そのあと島をおそった大津波で、船はさらに大きく傷みます。
一周目は、船がこわれるたびに「もうだめだ」と思って観ていました。二周目は、こわれた船がそのあとどこに出てくるかを見ていくと、この船が最後までお話から下ろされない理由が見えてきます。事實[1]
題にダイスの名前が入った回
ダイス船長の回がある。題に、ダイスの名前が入ってる回。一回目は、題の意味がよく分からなかった。喜好
反逆って、なに?
自分の親分に逆らうことだ。題に書いてあるんだから、そこまでは言っていいだろ。
それとね、この回、地下ででっかい飛行機が出てくるじゃん。一回目は、すぐ忘れてた。
あれな。俺も一回目は、背景だと思ってた。
二回目は、出てきたときに「あっ」て言った。
ギガントは、前のほうの回で、もう出てくる。二回目に観る人は、地下の暗いところにそれがいるのを、見ておいてほしい。作品中的觀察
中段為止中盤のダイス點擊展開
ダイスはラナを思ってレプカに逆らい、ラナを連れてバラクーダ号でインダストリアから逃げ出します。けれど追っ手につかまり、部下といっしょに牢屋へ。
そのあとダイスは、砂漠に置き去りにされて死にそうになっているところを、コナンたちに助けられます。それからのダイスは、コナンの側の人です。
一周目は、ダイスが逆らった理由を「ラナがかわいいから」くらいに見ていました。二周目は、ダイスが自分の船と部下ごと向きを変えた、というところに目が行きます。
ゲンはここで「船長が逆らうってのは、自分ひとりの話じゃねぇ。乗ってる全員の飯と寝床がかかってる。それでもやったんだから、見なおした」と言いました。ホマレが「でも、あとでまたずるいこともするじゃん」と言うと、ゲンは「人ってのは、一回向きを変えたら、まっすぐ一本ってわけにはいかねぇ。舵を切っても、船はすぐには曲がらねぇ」と答えました。ホマレのノートでは、ダイスの行は「てき」「なかま」「ちょっとてき」「なかま」と何度も書きなおされています。二周目のいちばんおもしろいところは、この行ったり来たりだと、ホマレは言います。事實[1]
二回目は、ダイス船長が出てくる回ごとに、顔を見てた。
あいつは顔に全部出るからな。見てて飽きねぇ。
ハイハーバーの戦いのあと
ハイハーバーで、大きな戦いがある。インダストリアの兵隊が、島に来る。一回目は、どっちが勝つかばっかり見てた。喜好
少年野球だとね、試合のあと、相手のチームと一列にならんで、あいさつする。
知ってる。俺もコーチの手伝いで見てる。
負けた日は、あいさつのとき、相手の顔が見られない。勝った日は、見られる。だから、勝ったほうから先に何か言うのがいいと思う。
……お前、いいこと言うじゃねぇか。俺も次の回は、その考えで観てみる。
中段為止戦いのあと點擊展開
大津波が島をおそったあと、インダストリアの兵士たちはあきらめ、戦いは村の人たちの勝ちになります。その翌朝、ハイハーバーの村人たちは、インダストリアの兵士たちを、自分たちの村でいっしょに暮らす仲間として受け入れると決めます。
二周目でホマレがいちばん長く止めて観たのが、この朝です。
ホマレはここで「勝ったほうが『いっしょにやろう』って言うんだよ。おれがいつも言うやつ」と言いました。そして少し考えてから、「でも、おれは勝負のあとすぐ言うけど、村の人は、こわいことがあったあとに言ってる。そっちのほうがむずかしいと思う」と続けました。ゲンは「腹が立ってるときに言うのが、いちばんむずかしい」とだけ答えて、そのあとは、網をなおしているときのような顔のままでした。事實[4]
その戦いの、次の朝の回。二回目は、止めながら観た。
朝の回な。俺も、あそこは止めてほしかった。
モンスリーさんも、最初こわかった。
あの人は、ちっちゃいころに海で船に拾われてる。家族をなくしてな。事實[5]
海で拾われたやつは、拾ってくれた船に一生頭が上がらねぇ。……あの人がインダストリアのために一生けんめいだったのは、そういうことかもしれねぇな。
中段為止中盤のモンスリー點擊展開
モンスリーはハイハーバーでの戦いのあと、コナンたちと同じ機体に乗って、インダストリアへもどります。もどった先で、ひとりで権力をにぎったレプカにやり方を改めるよう意見し、そのせいで命をねらわれることになります。あぶないところで助けに入るのが、コナンたちです。
ゲンは、ここを二周目でいちばん黙って観ていました。拾ってくれた側の人に意見をして、追われる。モンスリーの気持ちは、せりふよりも顔つきに出ているように見えます。二周目は、モンスリーの顔つきが少しずつやわらいでいくのを、ハイハーバーの戦いの回から順に追ってみると、見え方が変わります。
ホマレは「モンスリーさんは、コナンに勝負で負けたから変わったの?」と聞きました。ゲンの答えは「負けたからってだけじゃ、人は変わらねぇ。負けたあとに、相手が自分をどう扱ったかだ。勝ったやつが、負けたやつの飯を取り上げるか、分けるか。そこで決まる」。ホマレは、ベイブレードで勝って相手の部品をもらう約束をしたのに、返したら次の日もその子と遊べた、という自分の話をしました。事實[1]
地下でみつけた顔
インダストリアの地下には、たくさんの人がくらしてる。一回目は、暗いし、こわいし、早く地上に出てほしかった。二回目は、地下の人の顔をひとりずつ見た。喜好
地下の連中は、船で言うと機関室の連中だ。外からは見えねぇけど、あいつらがいなきゃ船は一ミリも動かねぇ。
機関室って、エンジンのとこ?
そうだ。暑くて、うるさくて、油まみれだ。でも、いちばん船のことを分かってる。
中段為止地下の住人のなかに點擊展開
地下の囚人たちの中心にいるルーケは、牢屋から逃げるときにコナンに助けられ、それからはコナンたちに力を貸します。そして地下の住人のなかには、コナンの島のおじいとそっくりな人がいます。
一周目は、ただ「似てるな」と思って通りすぎる場面です。二周目は、島にいたころのおじいと、地下で会うこの人を並べて観ると、コナンが島の外で、もう一度家族のような人に会っていることが分かります。
ホマレはここで「コナン、島の外にもおじいがいたね」と言いました。ゲンの答えは「港ごとに、親父みたいな人ってのはいるもんだ」。ホマレは、勝負をしないで仲間になったルーケのために、表に新しい行を作りました。「助けたらなかま」。ゲンは「助けたほうと助けられたほうは、勝負と同じくらい強いつながりだ」と言いました。事實[1]
地下の回は、出てくる人の顔をひとりずつ見ると、おもしろい。
表のいちばん下の行
おれの表のいちばん下に、まだ書けない行がある。インダストリアの、いちばん上にいる人。解讀
レプカの行、まだ書けない。
……分からん! あいつは、俺にもよく見えねぇ。
船で言うとな、自分しか見てねぇ船長だ。乗ってるやつが腹減ってても、自分の行きたい港にしか舵を切らねぇ。
結局·真相終盤のインダストリア點擊展開
ほかの人たちがコナンと関わって少しずつ変わっていくなかで、レプカだけは最後まで自分の考えを改めません。クーデターでインダストリアを支配し、終盤では、地下で眠っていた巨大な飛行機ギガントを、太陽エネルギーを使ってよみがえらせます。ダイスの回でコナンとラナが地下で見つけた、あの機体です。
コナン、ジムシィ、ダイスはギガントに乗りこんで内部を壊していきます。墜ちていくギガントのなかで、コナンはレプカたちを助けようとしますが、かなわず、レプカは部下とともにギガントと運命を共にします。
ホマレのノートでは、レプカの行は最後まで空いたままです。勝負して、負けて、最後は差し出された手を放してしまった、ただ一人の人として。
ホマレは「コナン、最後まで手をのばしてた」と言い、ゲンは「勝った負けたの前に、手が出ちまう。あれがコナンだ」と答えました。
ホマレが「レプカの行、空けといていい?」と聞くと、ゲンは「空けとけ。埋まらねぇ行があるのも、表のうちだ」と言いました。勝った人がさそっても、相手がその手を取らなければ仲間にはなれない。一回目は「悪い人だから負けた」で終わっていたのが、二回目でそう見えるようになった、とホマレは言います。事實[1]
一回目と二回目で、いちばん見え方が変わったのは、この人の行かもしれない。解讀
最後の回の船
最後の回。一回目は、コナンとラナばっかり見てて、うしろのほうがよく分からなかった。二回目は、父ちゃんに言われて、船を見た。喜好
結局·真相最終話點擊展開
ギガントの尾翼に取り残されたダイスとジムシィは、ハイハーバーへ向かう船に拾われます。
しばらくあと、ハイハーバーでは二つのお祝いが重なります。ダイスとモンスリーの結婚式と、直ったバラクーダ号がふたたび海に出る祝いです。
そしてコナン、ラナ、ジムシィたちは、バラクーダ号の乗組員もいっしょに、大きく姿を変えた「のこされ島」へ移り住むために船出します。
ゲンは「ラナをさらいに来た船が、最後はみんなを新しい島に運ぶ船になってる」と言いました。ホマレが「こわれたのに、ちゃんと直ってた」と言うと、ゲンは「船は直せば、また出られる。人もな」と答えました。ダイスが自分の船の祝いと自分の結婚を同じ日にやっているのが、ゲンにはいちばんおかしかったそうです。事實[3]
見たか。最後の回で、あの船がどこにいるか。
見た。一回目は、ぜんぜん見てなかった。
船ってのは、最後にどの港にいるかで、どんな船だったかが決まるんだ。漁の船もな、帰ってきた港で、その日の仕事が分かる。
父ちゃんの船も?
俺の船は、毎日ここの港に帰ってくる。それでいいんだ。
父ちゃんは、そう言って、テレビの船をもう一回見てた。作品中的觀察
結局·真相はじまりの島點擊展開
物語の最初、おじいはラナを守ろうとして大けがを負い、亡くなります。コナンはラナを助けるため、仲間を探すために、筏でのこされ島を出ていきます。
最終話でコナンが帰っていくのは、その同じ島です。出ていくときは一人で筏に乗っていた島へ、今度は、旅のとちゅうで勝負し、ぶつかり、助け合った人たちといっしょに船で帰っていく。二周目は、最初の回の島の場面と、最終話の船出を続けて観ると、コナンが島を出た目的がどうなったかが分かります。
ホマレは「一人で出ていったのに、帰りは船いっぱいだね」と言いました。ゲンの答えは「行きより帰りの荷物が多い航海は、いい航海だ」でした。事實[1]
最初の回と最後の回、続けて観たくなった。
……最初と最後を並べると、航海の長さが分かる。
表の数え方
二回目を観おわって、ノートの表をかぞえた。だれがどの行に入ったかは、下の畳んだところに書いておく。解讀
結局·真相表のなかみ點擊展開
ハイハーバーの荒地で乱暴をはたらき、島を攻めたインダストリアの側についたオーロも、最後は島の人たちのなかに自分の場所を見つけます。
ホマレの表で「最初はてき」「あとでなかま」の行に入ったのは、ジムシィ、ダイス、モンスリー、インダストリアの兵士たち、そしてオーロたち荒地の若者。「助けたらなかま」の行には、ルーケと地下の人たち。どこにも入らなかったのは、一人だけでした。事實[2]
おい、表に船は入ってねぇのか。
船は人じゃないもん。
船乗りにとっちゃ、船も仲間だぞ。バラクーダ号は、最初は敵の船だったろ。
……じゃあ、いちばん下に書く。「バラクーダ号 最初はてきの船」。あとのところは、二回目を観た人なら分かる。
コナンって、勝負はいっぱいするけど、勝って終わりにしないね。
そうだな。勝ったあとにどうするか、ってのを、ずっとやってる話だ。俺は一回目、そこまで見えてなかったぞ。ガキのころはコナンが速いとこばっかり観てた。
父ちゃんも、一回目はおれと同じだったんだ。
同じだ。二回目で、船長が見えた。……お前は二回目で、もう表まで作ってるけどな。
二回目を観る人は、ノートに表を作ると楽しいと思う。最初にぶつかった人を一番上に書いて、その人があとでどこにいるかを見ていく。おれの表は、まだ書きなおしてるところがある。ダイス船長の行は、三回目でまた変わるかもしれない。喜好
父ちゃんは、三回目、なに見るの?
三回目は、海を見る。波の高さと、空の色だ。船乗りは、話より先に天気を見ちまう。
それ、お話、ぜんぜん見てないじゃん。
見てるさ。天気が荒れるときは、たいてい話も荒れる。……ほら、お前の表と同じだ。見るとこを決めると、見えるもんが変わる。
三回目は、俺が船長の行を書いてやろうか。
それはおれのノートだからだめ。父ちゃんは、自分の紙に書いて。あとで、くらべっこしよう。
二周目は、コナンとジムシィが島で力くらべをする回から。最初にぶつかった相手が、そのあとだれのとなりにいるかを数えていくと、最後の回の船にだれが乗っているかが、ちがって見える。