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夜更け、画面の端にクロ殿の文字が浮かんだ。「スター・ウォーズって、何から観ればいいですか。うちの新人に聞かれた」。余は三台の画面をいったん伏せ、帳面の別冊を開いた。遠い宇宙の騎士の物語は、映画だけで本筋が九本、そのまわりに外伝の映画とドラマが広がっておる。どこから入っても楽しめるが、順路しだいで景色が変わる。今宵は余が三つの順路を引き、一本ずつの見どころと、作品どうしのつながりを記しておく。結末に触れるところは畳んであるゆえ、まだ観ておらぬ者も、安心して読み進めてくれてよい。
九本は三つの束になっている
……ん。九本もあるんですね。番号順じゃだめなんですか。
そこが、この物語のいちばん面白いところである。番号の順と、作られた順が、ばらばらなのだ。
本筋の九本は、三本ずつの束、三部作が三つでできておる。最初に作られたのは、番号でいえば四・五・六の束。のちに旧三部作と呼ばれる。その後、時をおいて一・二・三の束が作られた。これが新三部作で、旧い束より前の時代の話である。そしてさらに時をおいて、七・八・九の続三部作が作られた。番号は物語の中の時の流れの順、つまり作られた順とは食い違うように振られておる。事实[1]
三つの束は、それぞれスカイウォーカーの一族の一つの世代を追う。旧い束は若者ルークが騎士として育つ話、新しい束はそれより前の時代、一族の前の世代の話、続く束はさらにあとの世代の話である。三つの束に、三つの代。王家の年代記を、真ん中の代から書きはじめたようなものだと余は思う。事实[1]
ゲームでいうと、四作目から出て、あとで一から三の前日譚が出た感じ。
うむ。だからこそ、どこから入るかで、同じ場面の重さが変わる。順路は三つ考えられる。順に見ていこう。
名乗りと三つの言葉
余はオープニングを飛ばさぬ。名乗りを聞かずに斬りかかるのは礼を知らぬ者のすることだ、と常々言っておる。この物語の名乗りは、星空の奥へ流れていく文字の列である。「遠い昔」で始まる一行に続いて、いまどんな戦がどこまで進んでいるかを短く告げ、去っていく。本筋の一本一本の冒頭に、この名乗りが流れる。余はここを一度も読み飛ばしたことがない。本編に入る前の、いちばん親切な道案内だと思うておる。作品中的观察
ちなみに一本目は、最初に世に出たとき、題はただの『スター・ウォーズ』であった。「エピソード4」「新たなる希望」という肩書きは、あとから付けられたものである。続きが作られ、前の時代の話まで作られるうちに、最初の一本に番号が要るようになった。名乗りが、あとから書き足された王というわけだ。事实[3]
名乗りのほかに、知っておくと楽な言葉が三つある。第一にフォース。生き物すべてが生み出し、銀河をひとつに束ねている力のようなものと語られる。これを強く感じ取れる者が修行を積むと、物を手を触れずに動かしたり、先のことを感じ取ったりできるようになる。事实[1]
第二に、ジェダイとシス。どちらもフォースを使う騎士の集まりで、ジェダイは共和国の平和を守る側、光の側の力を使う。シスは怒りや恐れを操って、闇の側の力を使う。騎士の数でいえば、ジェダイは大勢。対してシスの暗黒卿は、師が一人に弟子が一人、その二人きりと決められておる。二人しかおらぬ者たちが、大勢の騎士を相手に何をたくらむか。そう思って観ると、九本の筋が一本の糸に見えてくる。事实[1]
第三に、光る剣、ライトセーバー。ジェダイもシスもこれを好んで使い、たいていのものは切り裂き、光の弾をはじき返す。余は最初の晩、剣が抜かれるたびに身を乗り出し、じいやに茶をこぼされた。事实[2]
ん。チュートリアル、ここまでで十分。あとは触って覚える。
うむ。足りぬところは、名乗りの文字が補ってくれる。
順路その一は作られた順
第一の順路は、作られた順。四、五、六、一、二、三、七、八、九。余が初めての者に引くなら、まずこれである。理由は一つ。旧い束の二本目に、物語の根っこを揺るがす大きな明かしがある。作り手が観客を驚かせるつもりで置いた一撃だ。作られた順に観れば、その一撃を、作られたときのままの重さで受けられる。解读
结局·真相旧三部作の大きな明かし点击展开
旧三部作の主人公ルークがずっと仇と思ってきた黒い騎士ダース・ベイダーは、じつはルーク自身の父親であった。父の仇として名を聞かされてきた相手が、父その人だったのである。新三部作は、その父アナキンが闇の側に誘われてダース・ベイダーになるまでの話である。だから番号順に一から観ると、旧三部作の二本目の明かしを、先に知った状態で迎えることになる。事实[1]
もう一つの良さは、映像の手ざわりの変化を、作り手と同じ歩幅でたどれることだ。旧い束は模型と手作りの音で組み上げられた世界で、新しい束はそこから技術が一気に進んだあとの世界である。古い一本から観はじめると、銀河が年を重ねるように画面が育っていく。有依据的推测
欠点を挙げるなら、一本目でいきなり話の途中に放りこまれることだ。冒頭の字幕は、すでに帝国と反乱軍の戦いが続いている前提で語りはじめる。だが案ずるな。一本目は、わけも分からず巻きこまれた若者の目で世界を知っていく話である。観る者が分からぬことは、たいてい主人公も分かっておらぬ。有依据的推测
順路その二は時の流れの順
第二の順路は、物語の中の時の流れに沿って観るやり方である。一、二、三と前の世代を観て、それから四、五、六、七、八、九と、あとの世代へ進む。外伝まで含めて並べるなら、二と三のあいだに『クローン・ウォーズ』、三のあとに『ハン・ソロ』、四の手前に『ローグ・ワン』が入る。事实[1]
時系列の攻略チャート。全部回収する派には、こっちのほうが落ち着くかも。
この順路の良さは、一人の若者がどう道を踏み外していくかを、一続きの物語として追えることだ。若者が少しずつ変わっていく様子を、途切れずに見届けられる。そういう観方は、この順路にしかできぬ。解读
裏を返せば、旧い束の二本目の一撃が、一撃でなくなる。作り手が隠しておいた札を、先に表にして並べておく観方である。二度目にこの順で観なおすのは大いに勧めるが、初めての者には、余は第一の順路を先に置く。もっとも、どちらが正しいという話ではない。結末を先に知っても楽しめる者もおるし、驚きを何より大事にする者もおる。自分がどちらの客かで選べばよい。解读
俺は何も知らずに観たい派。新人も、たぶん同じです。顔に出るタイプなんで。
ならば第一の順路がよかろう。驚く顔を見届けるのも、先に観た者の楽しみである。
時の流れの順で観るときの注意を一つ。外伝まで全部はさむと、旧い束にたどり着くまでが長くなる。本筋の三本ごとに一息つくつもりで、外伝は気になったものだけ拾えばよい。余は初めて時の流れの順に並べなおしたとき、律儀に全部はさんで、旧い束の一本目に着くまでにひと月かかった。帳面の別冊が一冊増えたのは、その月である。喜好
順路その三は途中から合流する者へ
第三の順路は、もうどこかの一本を観てしまった者のためのものだ。人は案外、途中から物語に入る。テレビで流れていた一本、誰かに連れられて行った映画館の一本、配信の画面で目についた一本。そこからの合流の仕方を、余なりに整えておく。
旧い束の一本目だけを観た者。余なら、そのまま五、六へ行く。旧い束は三本で一つの物語になっておるからだ。二本目が暗い終わり方をしても、余は手を止めずに三本目まで観て、ようやく息がつけた。喜好
新しい束から入った者。一から三を観たなら、余なら次は四へ行く。四の手前には、外伝の『ローグ・ワン』がちょうど収まる。この外伝は、四の冒頭で反乱軍が手にしている設計図を、誰がどうやって盗み出したかの話である。ローグ・ワンから四へ続けて観ると、設計図の重みがまるで違って見えた。事实[2]
続く束の七から入った者。七は、旧い束の三本目の戦いからおよそ三十年後の話である。英雄だった者たちが年を取って出てくるので、旧い束を観ておくと、再会の場面の重みがまるで違う。七を観てしまったなら、四、五、六に戻ってから八へ進むのも一つの手だ。事实[16]
新しい束の三本目だけを、たまたま観てしまった者。重い一本から入ったものだと、余はまず労いたい。そこから先は、一と二に戻るより、四へ進むのを勧める。三本目の終わりで残された問いを、旧い束がまっすぐ受け止めてくれるからである。有依据的推测
九本を一通り観終えた者には、二周目は時の流れの順を勧める。驚きはもう手元にない。その代わり、一人の若者の生涯と、その子と孫の代までが、一本の長い年代記として流れていく。一周目では別々の映画だったものが、二周目には一つの家の記録に見えてくる。喜好
ドラマの『マンダロリアン』から入った者。あれは旧い束の三本目のあと、五年ほど経った時代に始まる。帝国が倒れたあとの時代の話なので、旧い束を観ると、その時代の手前で何があったのかが腑に落ちる。事实[22]
どこから入っても、旧い三本に一回戻ると全部つながる、ってことですね。
そこである。旧い三本が、この銀河の地図の真ん中なのだ。
旧い三部作の見どころ
一本目『新たなる希望』。反乱軍の密偵が、帝国の巨大な宇宙要塞デス・スターの設計図を盗み出す。設計図を託された小さなドロイドR2-D2は、相棒のC-3POと砂漠の星タトゥイーンに落ち、農場で働く青年ルークのもとへ売られていく。物語は、王女の助けを求める伝言から始まる。事实[3]
余が一本目で好きなのは、砂の星の暮らしの手ざわりである。余の目には、宇宙の物語なのに、どこもかしこも使いこまれて見えた。輝く鎧の騎士の話ではなく、片田舎の若者が、自分の暮らしの外へ一歩出る話として始まる。だから見知らぬ者でも、主人公の隣に立てる。作品中的观察
一本目を観るときの手がかりを一つ挙げるなら、伝言の行方を追うことだ。王女の伝言はドロイドへ、ドロイドから青年へ、青年から砂漠に住む老人へと、手から手へ渡っていく。戦の勝ち負けより先に、誰が誰に何を託したかを追っていると、筋に迷わぬ。余は王として、伝令がどこで止まるかを見る癖がある。この一本の伝令は、いちど走りだすと止まらぬ。解读
二本目『帝国の逆襲』。前の戦いから三年。帝国の追っ手が、氷の星ホスにある反乱軍の基地を探し当てる。ルークは師に導かれ、沼の星ダゴバで、騎士の師ヨーダから修行を受けることになる。監督はアーヴィン・カーシュナー。事实[5]
二本目は、勝ち戦ではなく退き戦の映画である。基地を捨て、仲間と散り散りになり、追われ続ける。戦の目で観ると、これがじつに見事な撤退の記録になっておる。負けを描いて、なお次を観たくさせる。余は王として、こういう負け方を学びたいと思う。解读
もう一つ、二本目で余が好いておるのは、沼の星の師の姿である。剣も鎧も持たぬ、小柄な老いた者が、騎士の師だという。余は最初、拍子抜けした。だが観ているうちに、強さを見た目で量る癖を、自分が持っていたことに気づかされた。玉座に座る者ほど、この一本の師の場面は観ておいたほうがよい。耳が痛いぶん、効く。解读
二本目の終わり方は、旧い束の中でいちばん苦い。勝ちも決着もなく、皆が傷を抱えたまま次へ持ち越す。初めての者はここで止まりたくなるかもしれぬが、余は三本目を手元に用意してから二本目を観ることにしておる。苦さを一晩寝かせるのも味だが、寝かせすぎると、続きを観る気が冷めてしまう。喜好
三本目『ジェダイの帰還』。二本目から一年ほど後。砂の星の犯罪王ジャバの宮殿に、ドロイドたちが使者として送りこまれるところから始まる。監督はリチャード・マーカンド。事实[7]
三本目は、旧い束の答えの映画である。二本目で投げられた問いを、若者が自分のやり方で受け止めにいく。剣の腕より、何を信じるかが勝負を分ける。三本並べて観ると、一本目で農場の青年だった者が、三本目では顔つきまで変わっておる。その変わり方を見届けるのが、旧い束のいちばんの楽しみだ。解读
三本目の後半は、いくつもの戦が同時に進む。宇宙の艦隊、地上の森、そして一対一の対話。画面が忙しく切り替わるが、慌てることはない。三つの戦のうち、どれか一つの勝ち負けに賭けて観ると、他の二つの見え方も変わってくる。余はいつも、一対一の対話に賭ける。剣より言葉のほうが、この束の決着にはふさわしいと思うからだ。解读
结局·真相旧三部作のもう一つの秘密点击展开
王女レイアは、ルークの双子の妹である。旧い束の物語は、兄が騎士として育ち、妹とともに帝国と戦う話として閉じる。事实[2]
新しい三部作の見どころ
一本目『ファントム・メナス』。交易の連合が惑星ナブーを封鎖し、話をつけるために騎士クワイ=ガンと弟子のオビ=ワンが送りこまれる。旅の途中で立ち寄った砂の星で、二人はアナキン・スカイウォーカーという少年と出会う。少年は奴隷の身であった。事实[9]
この一本は、政の話から始まる。関税だの封鎖だの元老院だの、王の耳には心地よい言葉が並ぶ。だが子どもの目で観るなら、砂の星の乗り物の競走の場面を待てばよい。のちに大きく道を変えていく者が、まだ母のそばにいる、無邪気な子どもとして画面を走り回る。それを知って観るか知らずに観るかで、同じ場面がまるで別物になる。解读
新しい束は、政の場面が多い。元老院、議長、評議会、通商の連合。名前を覚えきれぬうちに話が進むので、初めての者は戸惑うかもしれぬ。余の勧める観方は、名前を覚えるのを諦めて、誰が誰に頭を下げているかだけを見ることだ。頭を下げる向きが変わる瞬間に、話は大きく動いておる。宮廷で長く暮らした者の、ささやかな知恵である。喜好
二本目『クローンの攻撃』。前の一本からおよそ十年後。議員となったパドメが命を狙われ、オビ=ワンと若者アナキンが護衛につく。オビ=ワンは刺客の手がかりを追って惑星カミーノへ向かい、クローン兵の大軍を目にする。事实[11]
二本目は、若い騎士の恋と、師弟のすれ違いの映画である。オビ=ワンは推理する者として、アナキンは守る者として、別々の道を歩く。余はこの一本を、師と弟子が並んで歩けなくなっていく最初の一本として観ておる。解读
二本目には、旧い束でおなじみの顔ぶれが、若い姿で出てくる。四から観てきた者なら、あの顔の若いころを見つけるたびに、答え合わせの楽しみがある。作られた順で観てきた者への褒美のようなものだ。有依据的推测
三本目『シスの復讐』。戦争が始まって三年ほど。オビ=ワンとアナキンの師弟が、さらわれた議長パルパティーンの救出に向かうところから始まる。……この一本については、余は別に二度書いた。中身はそちらに譲る。代わりに、と言ってはなんだが、少し脇の話をさせよ。事实[13]
ちなみに、であるが。最初の一本の視覚効果のために、ルーカスは自前の工房を作った。名を略してILMという。倉庫を借りてな。事实[3]
第二に、R2-D2とC-3POの二体のドロイドは、黒澤明の『隠し砦の三悪人』に出てくる二人の百姓がもとになったと言われておる。最初の一本の筋の運びそのものも、あの映画から借りたとされる。事实[3]
第三に、最初の一本が初めて劇場にかかったときは、ごくわずかな館数で——
新人、たぶん寝ました。続きは七から九で。
……うむ。余としたことが。
结局·真相新三部作の行き着く先点击展开
新しい束は、旧い束の黒い騎士がどうして生まれたかを描いて閉じる。……その中身については、余は別の稿に二度書いた。ここでは畳んだまま置いておく。
続く三部作の見どころ
一本目『フォースの覚醒』。旧い束の最後の戦いから三十年ほど。最後の騎士ルークは姿を消し、帝国の残党から新たな勢力ファースト・オーダーが立ち上がっておる。将軍となったレイアの下に集うレジスタンスは、ルークの居場所を示す地図を追う。その地図を託された丸いドロイドBB-8が、砂の星ジャクーで、ひとり廃品を拾って暮らす少女レイと出会う。事实[16]
余がこの一本で唸ったのは、一本目の旧い束をなぞるような始まりである。砂の星、ドロイドが運ぶ大事な情報、家の外を知らぬ若者。旧い束を観た者は、どこかで見た景色だと思うはずだ。そのうえで、知っている顔が年を取って帰ってくる。先に旧い束を観ておく値打ちが、よく分かる一本であろう。解读
二本目『最後のジェダイ』。前の一本の直後。基地を追われたレジスタンスが、ファースト・オーダーの艦隊に追い立てられる。一方レイは、遠い星に身を隠していたルークを訪ね、レジスタンスに力を貸すよう頼む。事实[18]
この一本は、師の側の迷いを描く映画として観ると面白い。若い者に何を渡し、何を渡さぬか。余も城で後を任せる者のことを考えるので、ここはつい身を乗り出してしまう。解读
続く束は、旧い束を観た者と観ておらぬ者とで、受け取るものがいちばん違う三本である。観ておらぬ者には、新しい若者たちの冒険として真っすぐ楽しめる。観た者には、英雄のその後をのぞく、少し胸の痛む同窓会になる。どちらの楽しみ方も、余は良いと思う。ただ、両方を味わえるのは、旧い束を先に観た者だけである。解读
三本目『スカイウォーカーの夜明け』。前の一本からさらに時が流れ、九本の物語が一つの決着へ向かう。早いうちに大きな明かしがあるので、中身は畳んでおく。有依据的推测
中段为止続三部作の三本目の明かし点击展开
死んだはずの皇帝パルパティーンが、じつは生き延びていた。九本の物語の敵が、最後にもう一度、表に出てくる。事实[20]
外伝とドラマの入り方
外伝の映画は二本。『ローグ・ワン』は、先に書いたとおり、旧い束の一本目の直前に、設計図を盗み出した反乱軍の者たちの話である。名もなき者たちの戦の記録として、余は九本と同じくらい好いておる。『ハン・ソロ』は、旧い束で活躍するハン・ソロの、若いころの話だ。余は旧い束を観たあとに観て、あの男の若い顔に、思わず帳面の頁を戻した。事实[2]
ほかにアニメの『反乱者たち』も、新しい束の三本目と旧い束の一本目のあいだ、帝国が銀河を治めておる時代の話として並ぶ。帝国に逆らう小さな仲間たちが、のちの反乱軍へつながっていく。旧い束の反乱軍が、どこからともなく湧いて出たわけではないことが分かる。事实[1]
ドラマの入り口なら、余はまず二つを挙げる。一つはアニメの『クローン・ウォーズ』。新しい束の二本目と三本目のあいだ、戦争のさなかの話で、アナキンとオビ=ワン、それにアナキンの弟子アソーカを追う。映画では一瞬で流れた戦争の年月が、ここでは一話ずつ積み上がる。三本目の重さが、この年月を通るとまるで違って見える。事实[21]
もう一つは実写の『マンダロリアン』。旧い束が終わって五年ほど、帝国が倒れたあとの辺境で、一人の賞金稼ぎが、フォースの力を持つ幼い子を守る話である。騎士の物語の外側、銀河の片隅の暮らしを描くので、九本を観ておらぬ者でも入りやすい。事实[23]
ドラマは、メインクエストの合間のサブクエスト。でもサブのほうが記憶に残るやつ。
うむ。余も、本筋より外伝のほうを帳面に多く書きつけておる。
一本ずつがつながる糸
九本と外伝をつなぐ糸を、余は三本に分けて帳面に引いてある。
第一の糸は、一族の糸である。父の代、子の代、孫の代。どの束も、親から子へ何が渡り、何が渡らなかったかの話になっておる。一本だけ観ても楽しめるが、二つの束を観ると、親子の顔が重なりはじめる。解读
第二の糸は、ドロイドの糸である。金色の通訳ドロイドC-3POは、九本すべてに顔を出す。小さなR2-D2もまた、どの束にも出てくる。人間たちが代替わりしていくあいだ、この二体だけが、銀河の歴史をずっと横で見ておる。彼らの目で九本を通して観ると、王家の年代記の書記官のように見えてくる。事实[1]
第三の糸は、場所の糸である。砂の星タトゥイーンは、いくつもの本に顔を出す。旧い束の一本目は、この砂の星から物語が動きだす。続く束の一本目もまた、別の砂の星から始まる。余はこれを見つけたとき、帳面に大きく丸をつけた。作品中的观察
どの順路を選んでも、この三本の糸は切れぬ。作られた順なら驚きを、時の流れの順なら一族の物語を、途中からの合流なら旧い束へ戻る楽しみを。どこから入っても、最後は同じ銀河に立てる。
最後に、晩の組み方である。余は三台を並べて観る癖があるが、この九本のときは、一台を本筋に、残りを外伝やドラマに使い、一つの束を一晩か二晩に収めることにしておる。束の三本は、続けて観るほど顔つきの変化がよく見える。逆に、束と束のあいだは一晩空けるとよい。時代が大きく飛ぶので、こちらの頭も一度眠らせたほうが、新しい顔ぶれをすんなり迎えられる。喜好
外伝とドラマは、本筋の合間の口直しに挟むのがよい。とくに『クローン・ウォーズ』は話数が多いので、新しい束の二本目と三本目のあいだで全部観ようとすると、三本目まで何か月もかかる。余はじいやに叱られながら、それをやった。余が初めからやり直せるなら、気に入った話だけつまんで先へ進み、あとで戻ってくればよい。物語は逃げぬ。喜好
了解。新人には作られた順で送っときます。……俺も四から観なおす。
見届けよ。余も、今夜はもう一話……ではなく、もう一本である。
迷ったら、作られた順に四から。旧い三本はこの銀河の地図の真ん中で、どこから入っても一度そこへ戻ると、全部の糸がつながる。