この話は、映画『ズートピア』を最後まで観た人のための、二周目の案内にゃ。まだの人は、ここで閉じて観てほしいにゃ。展開に触れるところは、押さないと開かない箱に入れたにゃ。夕方の公園のベンチ。まわりにだれもいないのを確かめてから、配達帰りのルカのとなりに飛び乗ったにゃ。
一周目のテンはしっぽばかり見ていた
一周目のテンは、ニックのふさふさのしっぽばかり見てたにゃ。歩くたびに揺れる、あのオレンジ色。事件の手がかりなんて、ひとつも覚えてなかったにゃ。二周目は、がんばってしっぽから目をそらして、画面のすみっこを見たにゃ。そうしたら、小さな道具や、ちょっとしか出てこない脇役が、急に面白くなったにゃ。好み
テンがしっぽから目をそらせたというのは、私にとっては、映画の内容よりも驚くべきことのように思えるのですが……そう申し上げては失礼でしょうか。
失礼にゃ。でも正しいにゃ。三回目は、またしっぽを見るにゃ。
ロビン・フッドの面影
監督をつとめたのはバイロン・ハワードさんとリッチ・ムーアさんの二人にゃ。日本での公開は2016年4月23日で、ゴールデンウィークに合わせた日取りだったにゃ。この企画は、ディズニーが1973年に作った『ロビンフッド』みたいな作品をやりたい、とハワードさんが思ったところから始まったにゃ。事実[1]
これを知ったとき、テンは部屋じゅうを走り回ったにゃ。キツネのロビンに心を撃ち抜かれたテンにとって、この映画のキツネは、遠い親戚みたいなものにゃ。二周目は、ニックがジュディを言いくるめる軽い口ぶりの奥に、森の義賊の面影をさがしてしまうにゃ。好み
それから、この映画に出てくる動物は、哺乳類に限られてるにゃ。事実[1]
鳥がいないのは、テンにはちょっとだけ助かるにゃ。画面に小鳥が飛んだら、追いかけたくなって、話どころじゃなくなるにゃ。そのぶん、毛のある生きものばかりの町は、テンにとっては見わたすかぎりもふもふの楽園にゃ。好み
ニンジンのペン
1日100台と言われた初日の駐車違反の取り締まりで、ジュディは昼までに200台をこなしてしまうにゃ。ニンジン型のペンには録音機能がついてて、ジュディは勤務中いつもそれを持ち歩いてるにゃ。事実[2]
一周目は、かわいい小道具だと思ってたにゃ。二周目は、このペンがジュディそのものに見えるにゃ。ジュディの武器は、力でも牙でもなくて、聞いたことをちゃんと残しておくことにゃ。それに、言われた数の倍を昼までに片づけてしまう、あのまじめさ。小さな生きものが、大きな町で自分を守るやり方としては、とてもジュディらしいにゃ。解釈
中盤まで中盤の展開押すと開きます
ニンジンのペンは、ニックが12歳のころからアイスの転売で稼いできたのに申告していなかったことを録音して、ニックを捜査に協力させる道具になるにゃ。
ペンが記録したのは、まずニックの弱みだったにゃ。ジュディとニックの関係は、この小さな録音から始まってる。二周目は、ペンのボタンを押すジュディの指を、場面ごとに見てほしいにゃ。解釈[3]
両親が持たせたもの
ジュディが持ち歩いてる物の中には、キツネよけスプレーもあるにゃ。故郷を出るとき、両親に持たされたものにゃ。ジュディは子どものころ、いじめっ子のキツネのギデオン・グレイに立ち向かって、頬を爪でひっかかれたことがあるにゃ。事実[2]
親御さんが心配して持たせたものを、ジュディはきちんと持って町へ行くのですね。律儀な方です。……持たせたほうの気持ちまで、いっしょに運んでいるように見えます。と申し上げると、少し大げさでしょうか。解釈
中盤まで中盤の展開押すと開きます
このスプレーが、あとでニックとのあいだに葛藤を生むことになるにゃ。記者会見の場で、ジュディは自分でも気づかないまま、肉食動物を差別するようなことを口にしてしまう。ニックはがっかりして離れていき、ジュディは自分の中にも偏見があったと気づいて、警察を辞めて故郷に帰るにゃ。
いちばん「偏見と戦う」側にいたはずの主人公が、ポケットの中にずっと偏見を入れて歩いていた。一周目のテンは、ここで「ジュディ、どうしてにゃ」と思ったにゃ。二周目は、冒頭に出てくるスプレーを見て、最初から入ってたんだ、と気づくにゃ。解釈[3]
花屋の泥棒
署長のボゴがジュディを叱る理由は、危ない追跡をしたのが、ただの球根のためだったからにゃ。取り締まりのさなか、花屋の強盗事件に出くわしたジュディは、犯人のデュークを追いかけて捕まえたのににゃ。事実[3]
結末・正体結末押すと開きます
序盤でデュークが盗んだ球根は、じつは連続行方不明事件の一部だったにゃ。故郷に戻ったジュディは、大人になって謝りに来たギデオンから知らされるにゃ。お父さんが畑の虫よけに植えている青い花には動物を凶暴にする毒があって、その花は「夜の遠吠え」と呼ばれている、って。黒幕は副市長のベルウェザーだったにゃ。「小さな動物の誇り」だとジュディをほめたたえて、捜査のきっかけまで作った人。ジュディとニックはニンジンのペンで彼女の自白を録音して、事件を解決するにゃ。ラストでは、ジュディのとなりに相棒のニックがいるにゃ。警察学校を出て、キツネとして初めての警察官になったんだにゃ。
「ただの球根」と叱られた追跡が、事件の入口だった。ギデオンは、ジュディに傷をつけた子が、答えを渡す大人になって戻ってくる。そして、ニックの弱みを録ったペンが、最後は黒幕の言葉を録る。二周目は、序盤の小さなものが一つずつ帰ってくる映画にゃ。ベルウェザーがまともな部屋ももらえず、忙しくこき使われている様子も、二周目は笑えなくて、少し胸が痛むにゃ。解釈[4]
ナマケモノの窓口
ジュディたちが免許センターを訪ねたのは昼なのに、帰るころには夜になってたにゃ。そこで働くナマケモノのフラッシュが、話すのも動くのも、何から何までゆっくりだからにゃ。事実[4]
結末・正体結末押すと開きます
エンディングでは、フラッシュが市街地を猛スピードで飛ばして、スピード違反でつかまるにゃ。ジュディによれば、時速180km以上も出てたらしいにゃ。
一周目は大笑いして終わったにゃ。二周目は、「見た目で決めつけない」という映画が、最後にいちばん分かりやすい形でもう一回それを言ってるんだと気づいて、もう一回笑ったにゃ。解釈[4]
見た目や呼び名で決めつけられることは、だれにでも起こりうるのかもしれません。……ですが、この映画は、それでも隣に並べると言ってくれているのですね。そう、まとめてもよろしいでしょうか。解釈
よろしいにゃ。今日は早くまとまったにゃ。
二周目は、ジュディのポケットから何が出てくるかを、最初の場面から数えてみるにゃ。