小さなライブハウスの前のベンチ。終演後、衣装の袋を抱えたカノンと、その衣装づくりを手伝ったレイが腰を下ろすと、ベンチの端では白い猫のテンが丸くなっていました。今日は落ち着いて、三つの主題歌の話をします。
まだ静かに話している
私の十八番は、僕らは今のなかで。初めてライブを観た日に覚えた曲です。低い声のまま、キーを下げずに練習してます。……下げたほうがいいのは分かってます!喜好
「僕らは今のなかで」はμ'sの曲で、テレビアニメ『ラブライブ!』第1期のオープニングテーマ。作詞は畑亜貴さん、作曲・編曲は森慎太郎さんです。事實[1]
私が選ぶならCatch You Catch Me。コスプレ仲間とカラオケに行くと、これが定番。喜好
『カードキャプターさくら』のオープニング主題歌。作詞と作曲が広瀬香美さんで、編曲は本間昭光さんと広瀬さんの二人。歌ってるグミっていうのは、日向めぐみさんがデビューしたときの名義なの。事實[3]
にゃ。
テンちゃんのは、ようこそジャパリパークへ、ですよね。前にここで流したら、前足でずっと拍子をとってたので。
アニメ『けものフレンズ』のオープニングテーマが「ようこそジャパリパークへ」。歌っているのが、どうぶつビスケッツ×PPPです。作詞と作曲、編曲を手がけたのは大石昌良さん。事實[7]
イントロで早口になる
待って。Catch You Catch Meって、事前にデモがなかったの。広瀬さんが弾き語りしたのを、日向さんがその場で覚えて歌って、それで仮歌を録ったんだよ。事實[4]
その場で!? 私、振り付け覚えるのにひと月かかるのに!
それで、ここ。その場の弾き語りから始まった曲だと思って聴くと、あの跳ねるみたいなイントロがもう反則。最初の数音で、さくらが走り出す絵が頭に浮かぶ。喜好
僕らは今のなかでは、イントロで九人がそろう感じがするんです! まだ誰も歌ってないのに、もう全員いる!喜好
にゃっ。
テンちゃんも、ジャパリパークのイントロでしっぽが立つんですよね。今、ちょっと立ちました。
OP映像の話で止まらなくなる
Catch You Catch Me、歌詞のテーマは片想いの恋心。それとね、OP映像のある部分が途中で変わってるの。放送が始まったころは木之本藤隆だったのが、のちに李小狼に。事實[5]
えっ、OPの絵が途中で変わるんですか!?
片想いの歌に乗せる顔が、話が進むにつれて入れ替わる。それ、歌詞は同じなのに、誰の片想いとして聴くかが変わるってこと。待って、これ一晩しゃべれる。解讀
あと衣装。さくらは毎回ちがう服で戦うでしょ。私、あれを見て衣装をつくる人がいるって知って、端切れで人形の服を縫い始めたの。喜好
それで今日の私の衣装も縫えるんですね……! よかろう、褒めてつかわす……じゃなくて、本当にありがとうございます!
……今の、長かった?
にゃあ。
ライブの話で立ち上がる
ライブといえば! 僕らは今のなかでが初めて披露されたのは、まだ第1期の放送中で、場所は秋葉原のシークレットイベント。しかもテレビアニメサイズで! 声優さん九人全員が、OP映像の各キャラクターと同じ衣装姿だったんですよ!事實[2]
2013年3月10日、ベルサール秋葉原
待って、OPの衣装を九人分そろえて舞台に立つの? それは作る側の熱量の話でもある。解讀
Catch You Catch Meもね、日向さんが長いあいだ公の場で歌う機会がなかったんだけど、約16年ぶりに生で歌ったのが台湾のイベント。国内では同じ年の冬に、日向さんのワンマンライブで、生バンドと一緒に。事實[6]
台湾は2014年6月、国内は同じ年の12月
16年ぶり!? その会場にいた人たち、絶対イントロで叫んでますよ! 私なら叫びます! 立ちます!喜好
ジャパリパークって、ミュージックステーションでも歌われたんですよね! どうぶつビスケッツ×PPPも出演して! テンちゃん、知ってました?事實[8]
にゃっ! にゃっ!
初めて聴いた日に戻ってしまう
初めてひとりで大きな街に出た日、偶然通りがかった小さなライブで、舞台の女の子と客席が同じ顔で笑ってたんです。帰ってすぐスクールアイドルのアニメを全部観て、この曲で、あ、これが私の道だって……!喜好
私は再放送。テレビの前で正座して、OPが終わるまでまばたきしなかった。次の日、針の持ち方を覚えた。喜好
じゃあ今、ここで歌っていいですか! リハーサルってことで!
……にゃ。
待って。テンが、カノンのツインテールに顔をうずめてる。動けないね、それ。
最後は黙って拍子をとる
カノンが歌うのをあきらめて、スマートフォンのイヤホンを片方ずつレイと分けました。流したのは、ようこそジャパリパークへ。二人は何も言わずに聴き、テンはツインテールに埋もれたまま、前足でカノンの肩をとん、とん、と叩いて拍子をとっていました。曲が終わるまで、誰も一言もしゃべりませんでした。
主題歌の熱は、歌う人と聴く人で上がり方がちがう。最後に全員がそろうのは、たいてい黙って聴いているときです。