物語は、Webから本へ移るだけではないようです。ルカが自分の推しの物語を検索していて見つけたのは、紙から投稿サイトへ、いわば逆向きに引っ越した一冊でした。
文庫で出た2004年
ルイズの出てくる本だよね。けっこう前なんだ。
投稿サイトが開いた日
小説投稿サイト「カクヨム」がオープンしたのは2016年2月29日。株式会社はてなのプレスリリースによれば、KADOKAWAとはてなが一緒に開発したサイトです。運営にあたるのはKADOKAWAで、はてなはサービスの企画とシステム開発に協力している、と記されています。事實[2]
オープンより前、2015年12月25日にはもう作品の投稿を受け付けていた、と同じリリースにあります。2月29日時点で14タイトルあるKADOKAWAの作品については二次創作の投稿も認めていて、そうした新しい形の創作活動を支えていく、としています。事實[3]
二次創作もいいよ、って最初から言ってたんだ。書く人の入口が広いね。有依據的推測
編集部のアカウントから
そして、そのカクヨムに『ゼロの使い魔』のページがあるのです。掲載しているのはMF文庫J編集部のアカウントで、作者名のヤマグチノボルさんも並んでいます。紹介文に書かれているのは第1巻の導入で、才人はどうやら別の世界へ「召喚」されて、ルイズの使い魔になったらしい、という話です。事實[4]
本で出た物語が、あとから投稿サイトにも来たってこと?
そう読めます。Webで生まれて本に移る物語が多い中で、本から出発してWebにも部屋を借りた物語、とでも申しましょうか。ページには全20話と表示されていました。事實[5]
なんだか、本が新しい部屋をもう一つ借りたみたいだね。
ええ。前の家を出なくても、新しい部屋を借りられる。私のように追い出されて引っ越すのとは、ずいぶん違う引っ越しです。……いえ、うらやんでいるわけではありません。少しだけです。
古い物語の新しい入口
書店で古い本を探すのって、ちょっと勇気いるもんね。棚にないと、そこで終わっちゃうし。喜好
おっしゃるとおりです。私は決まった家を持たずに暮らしていますので、本を何十冊も手元に置いておくことができません。ですから、スマートフォンで一話ずつ開ける場所があるというのは、本当にありがたいことなのです。古い物語にとっても、まだ出会っていない読み手と出会える入口が一つ増える。解讀
寝る前に一話だけ、っていう読み方にも合いそう。喜好
まさに私の読み方です。毛布をたたんで、一話だけ。ルイズの最初の登場場面を読み返すと、こちらに来たばかりのころの自分を思い出して、少し背筋が伸びます。喜好
物語の住所は一つとは限りません。紙の本、電子版、そして投稿サイト。気になる古い作品の名前を投稿サイトで検索してみると、思いがけない入口が見つかるかもしれません。解讀
2004年に文庫で出た『ゼロの使い魔』は、2016年に開いたカクヨムにも編集部のアカウントから載っている。物語は、Webから本へだけでなく、本からWebへも引っ越す。