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我的6部作品

『テニスの王子様』で一人ずつの顔を覚えた

小学生のころ、もう放送が進んでいたアニメに途中から入りました。知らない学校の子たちが、一人ずつ違う構えでコートに立っている。フェンスの外から見るその場所が、私のいちばん古い客席です。病棟看護師のチアキが6選の一本目を語ります。

適合這樣的人
話数の多さに迷っている人へ。必殺技の派手さより、コートの外の人たちの顔が気になる人にも。
劇透範圍
無劇透 TVアニメ『テニスの王子様』の始まりの設定(アメリカから帰国した越前リョーマが青春学園中等部のテニス部に入り、一年生でレギュラーになる)まで。試合の勝敗やその後の展開には触れません
發言的人
Chiaki × Rei
主張的種類: 事實 作品中的觀察 有依據的推測 解讀 喜好
目錄 共 10 節·約 5 分鐘
  1. 知らない学校の名前ばかりの夕方
  2. どんなアニメか
  3. フェンスの外で見ている子たち
  4. 学校ごとに頁を分けたノート
  5. 学校ごとに違う家の匂い
  6. 決め台詞の前の一拍
  7. 誰にも話しかけられたくない時間
  8. 補欠の三年間
  9. 必殺技で笑ってしまう人へ
  10. ここから舞台へ

6選の一本目は、アニメの『テニスの王子様』です。十一歳のとき、放送がだいぶ進んだところから観はじめました。推しという言葉もまだ知らなかったころの、私の始まりの作品です。

知らない学校の名前ばかりの夕方

初めて観た日、画面の中では知らない学校の知らない子たちが試合をしていました。どっちが主人公の学校なのかも分からない。それなのに、構える前の肩の高さや、相手を待つときの足の幅が、一人ずつ違って見えたのを覚えています。名前より先に、構え方で人を見分ける。次の週から、テレビの前で一人ずつその違いを覚えていきました。いちばん目で追ったのは、主人公のリョーマの小さな背中です。年上の相手の前に、平気な顔で立つ。その背中を見ていると、こちらの肩にまで力が入りました。喜好

どんなアニメか

原作は、中学校のテニス部を描いた許斐剛さんの漫画で、『週刊少年ジャンプ』で連載されていました。事實[3]

物語の入口はこうです。天才テニス少年の越前リョーマが、アメリカから日本に戻って進んだのは、テニス部の強さで知られる青春学園の中等部でした。入部してすぐ一年生でレギュラーになり、全国の頂点を目指す団体戦を勝ち上がっていきます。事實[3]

テレビアニメの制作はトランス・アーツ、監督は浜名孝行さん。テレビ東京とその系列で放送された、とても長いシリーズです。事實[1]

フェンスの外で見ている子たち

私が長く見ていたのは、実はコートの外でした。フェンスの向こうで試合を見ている同じ一年生や部員たちが、打つたびに声を上げたり、息をのんだりする。試合をしている本人より先に、見ている側の顔で「いまのは危なかった」と分かる回がありました。いま思えば、客席にいる私のいちばん古い席は、あのフェンスの外です。喜好

学校ごとに頁を分けたノート

そのころの私は、国語のノートの後ろから、学校ごとに頁を分けて選手の名前を書いていました。名前の横には、背番号の代わりに「構えると右肩が下がる」「待つときに跳ねる」と、自分にしか分からない覚え書き。テレビの前で、その頁をめくりながら次の試合を待っていた。……いま、終演後のロビーで手帳にカーテンコールのことだけを書き留めるのは、たぶんあのノートの続きです。喜好

Rei

チアキさんの手帳、公演ごとに頁が分かれてるの、そこから来てたんですね。

Chiaki

そうなんです。書き方だけは、あのノートのころから変わっていなくて。

学校ごとに違う家の匂い

対戦する学校が変わるたびに、ジャージの色も、ベンチの空気も変わります。同じテニスなのに、よその家に招かれたような感じがする。にぎやかなベンチの学校もあれば、しんと静まり返ったベンチの学校もある。十一歳の私は、静かなベンチが映ると少し怖くて、それでも毎週その怖さを楽しみにしていました。知らない学校が出てくる回は、最初は誰も覚えていないのに、試合が終わるころには一人くらい気になる子ができている。その一人を探すのが、毎週の小さな楽しみでした。喜好

決め台詞の前の一拍

大事な一球の前に、時間がふっと止まって、一言だけ台詞が入る。その一拍のあいだ、打つ側も待つ側も呼吸をそろえているように見えます。私はその間が好きでした。看護の仕事を始めてから、人が何かを決める直前に、ほんの少し息を止めるのを何度も見てきました。あの一拍は、テレビの中でも病室でも、同じくらいの長さです。だから私は、技の名前より、その一拍の前に誰が息を吸ったかを先に覚えていました。見ているこちらまで、一緒に吸って、一緒に止める。解讀

誰にも話しかけられたくない時間

放送の時間が近づくと、宿題を早めに片づけて、テレビの前の座布団に座っていました。家族に話しかけられても生返事で、終わるまでは誰とも口をききたくなかった。好きなことを人に話す言葉を、まだ持っていなかったんだと思います。クラスでこのアニメの話が出ても、私は黙って聞いているほうでした。言葉にしないまま、毎週ひとりで受け取る。その受け取り方が、いまも推しを遠くから見守るやり方の芯になっている気がします。喜好

補欠の三年間

中学では、このアニメの影響でソフトテニス部に入りました。硬式の部が無かったので、柔らかいボールのほうです。三年間ほとんど補欠で、試合の日はフェンスの外から声を出す係でした。上手にはなれなかった。でも、コートに立つ人を外から見守る場所の居心地のよさは、あのころ覚えました。休みを寄せて劇場へ向かういまの遠征は、たぶんその続きです。喜好

必殺技で笑ってしまう人へ

試合の技がどんどん大きくなっていくので、そこで笑ってしまう。それも自然な反応です。私の母がそうでした。夜勤明けに隣で観ていて、技の場面では笑うのに、試合の前の部室の場面や、帰り道の場面になると黙って観ていた。技より先に、コートの外の時間から好きになる入り方もあるんだと、母の横顔で知りました。私も、二周目はそちらから入って楽しかったです。喜好

ここから舞台へ

中学一年の冬から、私はミュージカル『テニスの王子様』をDVDで追いかけることになります。フェンスの外から見ていた子どもが、客席から見る大人になった。舞台『刀剣乱舞』も『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』も、一人ずつ違う顔をした人たちが同じ場所に立つ作品です。私が好きになるものの形は、あの夕方にもう決まっていたのかもしれません。喜好

コートの真ん中の一球だけでなく、フェンスの外で見ている子たちの顔も一緒に。そこから観ると、長い試合が少し近くなります。

本文中的作品

講述者 Chiaki 夜班結束後搭新幹線去見推的護理師 閱讀更多 Chiaki 的文章 →

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