ソウマ。今回は『中二病でも恋がしたい!』TVアニメ第1期、全12話の二周目の話。最後まで観た人向けで、中盤と結末は畳んである。聞き手は妹のアカリ。母さんが仕事の日曜の昼、居間で焼きそばを食べながら、二人で頭から観直した。アカリは初見。俺は、何周目かは言わない。
二周目を始める前に
テレビで流れた全12話の第1期は、2012年10月3日から12月19日にかけて放送された。原作は虎虎、監督は石原立也。シリーズ構成と脚本を花田十輝が担当し、アニメーション制作は京都アニメーション。事实[1]
主人公の富樫勇太は、中学のころ「ダークフレイムマスター」というキャラクターになりきって、その妄想を闇ノートに書きとめていた。中二病だった記憶は封印すると決め、高校は知り合いのいないところへ進む。事实[2]
闇ノート。……兄貴の押し入れの、ガムテープの箱って、あれ?
……箱は箱。中身は関係ない。
三重に巻いてあるの、知ってるよ。
この作品を初めて観たのは、中学の終わりだった。観終えた夜、ノートを箱にしまって、ガムテープを三重に巻いた。だから二周目のこの作品は、俺にとって、封をした理由の答え合わせでもある。喜好
第1話の夕食の場面
第1話。入学式の前の晩、上の階からロープを伝って少女が降りてくる。ベランダでそれに出くわしたのが勇太だ。話の終わり近く、六花が富樫家の夕食に招かれる。中二病の道具を勇太が捨てるつもりだと知って、六花は落胆する。けれど最後、勇太は捨てるのをやめる。それを見て、六花は笑顔になる。事实[3]
一周目は、照れくさいオチだと思って流した。二周目は、ここが全12話の約束に見える。捨てなかった物は、捨てなかった分だけ、あとで持ち主に話しかけてくる。解读
勇太が捨てなかったのは、六花がしょんぼりしてたからでしょ。兄貴は、捨てはしなかったけど封はしたんだ。解读
……封は、捨てるより弱い。今になると分かる。喜好
オープニングの包帯
話数によって、オープニングの映像には違いがある。第1話と第2話の六花は、包帯を右腕に巻いたまま、菱山駅にあるペデストリアンデッキを歩いている。第1話ではさらに、冒頭の水平線の描き方や、4人が渡る踏切に重なる車の位置も違っているという。事实[4]
俺はふだん、オープニングを飛ばす。でもこの作品だけは、二周目に毎話観て、包帯がどちらの腕にあるかを確かめた。放送が始まってからも、作り手は物語の外側の映像に手を入れ続けていた。その手つきごと観るのが、二周目の楽しみ方だと思う。喜好
私はオープニング、毎回観る派。……で、どっちだったの。
自分の目で確かめて。
十字架と書いて何と読むか
第5話の題名は「束縛の…十字架」で、十字架に「ハード・スタディ」とルビが振られている。六花は赤点を取ると同好会が解散になるので、この回は勇太が勉強を教える。本腰が入るのは、雑談の中で彼女が孤独だと知ってからだ。事实[5]
この作品の話数の題名は、第5話のように中二病の言葉で書かれ、ルビの側に本当の中身が置かれている。十字架と書いて、勉強と読ませる。大げさな言葉の下に、普通の気持ちを置く。題名そのものが、この作品の読み方の説明書になってる。解读
勉強が十字架なのは、すごく分かる。
境界線の地図
六花が探している「不可視境界線」は、アニメで足された言葉だ。その集積地は、六花が幼いころに家族で住んでいた家だという。一周目の俺は、設定話の一つとして聞き流していた。解读[11]
中段为止中盤の展開点击展开
六花は、不可視境界線の向こうにいまも父がいて、自分を見守っているのだと言う。小鳥遊家の実家を訪ねたとき、姉の十花は、姉妹の父の墓へ勇太を連れていく。父が亡くなったのは3年前。六花にとって、その死は突然のことだった。父の闘病の様子を知らされていなかったからだ。いまも受け入れられずにいるという。六花が勇太を案内した集積地の家は、すでに更地になっていた。
二周目に第1話の六花の設定話を聞き直すと、道に迷った子どもの書いた地図に聞こえる。でたらめに聞こえた言葉が、全部一つの場所を指していた。解读[7]
あの家族、六花にいちばん大事なことを、先に言ってないよね。言わないで、やめろってことだけ言う。それはずるい。解读
……そうだな。設定は、説明してもらえなかった子が、自分で書いた説明書なのかもしれない。解读
中二病じゃない先輩
中二病でもなく、元中二病でもない部員は、同好会でくみん先輩しかいない。一学年上の先輩だ。くみんも、後輩の凸守も、姉の十花も、アニメ版で生まれた人物だという。事实[6]
一周目、くみん先輩は昼寝ばかりしている人に見えた。二周目は、彼女が起きている場面だけを数えてほしい。少ないけれど、どれも誰かの話をちゃんと聞いている。作品中的观察
结局·真相終盤点击展开
勇太は、中二病から卒業するよう六花に促す。六花は勇太のそばを去る。胸に秘めていた思いも「邪王真眼」も、くみんに託して。やがて手紙が届く。差出人は、中二病だった頃の勇太自身。それを見た勇太の中で、本当の気持ちが奮い立つ。勇太が六花のもとへ行こうとしたとき、それを止めたのはくみんだった。くみんは言う。六花が憧れていたのは、ありのままの勇太だったのだと。妄想の世界を広げたのは、「ダークフレイムマスター」としての勇太だった。勇太は、六花の心にわだかまっていた父との別れを叶えてやる。そして二人は、ありのままの自分のまま生きていくことを選ぶ。
いちばん中二病から遠い人が、いちばん大事な言葉を預かっていた。アニメで足された先輩が、最後に二人をつなぐ役を引き受けている。事实[8]
上の階の少女
结局·真相邪王真眼の由来点击展开
邪王真眼は、六花が自分に設定したキャラクターだった。中学2年のころ、ダークフレイムマスターだった勇太に憧れて作ったものだ。
第1話で上の階から降りてきた少女は、最初から、勇太の過去を見上げていた人だった。勇太が封印しようとした闇ノートの頁が、知らないところで一人の子を支えていた。中学の終わりの俺は、ここをうまく受け止められなかった。自分の恥が誰かの支えになるなんて、考えたこともなかったから。解读[9]
じゃあ、なんで封したの。
支えになるより先に、恥ずかしさで息ができなかったから。……封印は、解かれるためにある。今のは忘れて。喜好
忘れない。あの終わり方、勇太は誰かに背中を押されるのを待ってなかったじゃん。兄貴も、開けたくなったら開ければいい。休みの日にでも。解读
……別に。まあ、なんとかなる。
第1期の最後の回の題名は「終天の契約」。ルビは「エターナル・エンゲージ」。事实[10]
结局·真相題名の読み解き点击展开
第1話で六花が勝手に結んだ契約が、最後の題名でもう一度結び直される。勝手に始まった約束を、最後は二人で選び直す。始まりの言葉を、終わりで言い換える。二周目に第1話の契約の場面を観ると、あの強引さが、長い遠回りの一歩目に見えてくる。解读
二周目は第1話の終わり、富樫家の夕食の場面から。捨てるはずだった物が捨てられなかったその瞬間を、見逃さないでほしい。