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五本目は『中二病でも恋がしたい!』。この作品が俺に何をしたかは、別の記事で少し話した。ここでは、作品そのものの話をする。二人がどうなるかは書かない。書くのは、笑いと静けさの切り替え方と、中二病の言葉がなぜこんなにきれいに聞こえるのか。
やり直したい側の主人公
主人公の富樫勇太は、中学のころの自分を封印して、高校では普通に過ごしたいと思ってる。そこへ、いまも中二病の真っ最中の少女が現れる。第1話を観れば分かるのは、ここまで。作品中的观察
京都アニメーションの作品ページでは、この作品は2012年の作品の欄に並び、原作は虎虎さん(KAエスマ文庫/京都アニメーション)、監督は石原立也さん、シリーズ構成は花田十輝さん、アニメーション制作は京都アニメーションとあります。事实[1]
同じページのキャスト欄には、富樫勇太の声は福山潤さんとあります。事实[1]
そして『コードギアス 復活のルルーシュ』の公式サイトのキャスト欄では、ルルーシュの声も福山潤さん。事实[2]
俺の中学時代の憧れと、その憧れを封印する側の主人公が、同じ声で喋ってる。気づいたとき、しばらく天井を見てた。喜好
好きな理由1:笑いの直後に、音が引く
この作品は、笑わせる場面がほんとうに賑やか。必殺技の名前を叫んで、空想の戦いが画面いっぱいに描かれる。でも、その直後に、急に音が引く場面が来る。夜のベランダ、帰り道、誰もいない部室。台詞が少なくなって、表情だけが残る。作品中的观察
笑いで心を開かせておいて、開いたところに静かな場面を置く。構成としては、かなり計算された順番だと思う。賑やかさは、静けさのための前奏なんだ。高校のころ聴いてたバラードも、だいたいサビの前に一回、楽器が全部止まった。解读
好きな理由2:中二病の言葉が、ちゃんと美しい
この作品は、中二病の言葉を馬鹿にしない。大げさな名前、漢字だらけの技、意味ありげな言い回し。笑いの種にはするけど、言葉そのものの響きは、ちゃんと美しく聞こえるように扱ってる。声の芝居も、ふざけてるようで、真剣に詠んでる。解读
俺はここで救われた。中二病の言葉は、恥ずかしいけど、嘘じゃなかった。見えないものを見たかった気持ちを、自分なりの言葉で必死に名前をつけてた。その必死さまで捨てなくていい、とこの作品は言ってる気がする。解读
中二病の言葉って、別の言葉に訳したらどうなるんだろうね。響きの大げささは残せても、漢字の重ね方の面白さは、そのままじゃ渡らない気がする。有依据的推测
……あの日のあなたなら、「Where am I」すら言えなかった俺の言葉を、ちゃんと聞き取ってましたけどね。
あれは言葉じゃなくて、顔で分かったの。でも、いまのソウマくんの言葉は、訳すのがいちばんむずかしそう。
好きな理由3:やり直しは、消すことじゃない
勇太は過去を消したい。でも、消したいと思うほど、過去は向こうから歩いてくる。この作品が描くのは、過去を消すことじゃなくて、過去と同じ部屋で暮らす方法なんだと思う。物語の行方は書かないけど、その問いの立て方だけで、俺には十分だった。解读
部屋の高さで距離を描く
もう一つ、構成の話をするなら、この作品は「高さ」の使い方がうまい。上の階と下の階、窓とベランダ、屋上と教室。二人の心の距離が、そのまま建物の高さの差として画面に置かれてる。言葉で「近づいた」と言わせなくても、立っている場所の高さで分かる。解读
脚本を書く側からすると、これは本当にありがたい手法だ。気持ちを全部台詞にすると、説明くさくなる。でも場所を動かせば、言葉を減らせる。恋の歌が、景色の描写だけで切なくなるのと同じだ。夜の街とか、終電とか、窓の明かりとか。この作品を観てから、俺は台本の場所の欄に、前よりずっと時間をかけるようになった。解读
もちろん、全部の場面がうまく効くわけじゃない。俺には、少し照れくさすぎて目をそらした場面もある。でも、目をそらした場面ほど、あとで思い出す。思い出して、また観る。その繰り返しで、この作品は俺の中に住みついた。喜好
恋愛ものが照れくさい人へ
恋愛の話だけど、最初の数話はほぼ部活とギャグだ。照れくさいなら、第1話を「昔の自分を見る話」として観てほしい。恋はあとから、静かな場面に少しずつ混ざってくる。気づいたときには、もう逃げ場がない。
一話ずつ区切って観られる。笑える回で止めてもいいし、静かな回で止めて、その夜は余韻だけ持って寝てもいい。俺は一話観るたびに、ノートに一行だけ台詞を書き写してた。封印したほうじゃない、新しいノートに。
ほかの5本とのつながり
『陰の実力者になりたくて!』は、中二病を最後まで続ける人の話で、『中二病でも恋がしたい!』は、中二病をやめようとする人と、やめない人の話。どっちも、あのころの自分を責めない。『山月記』はその逆で、言葉へのこだわりが人を檻に入れる話だ。三本並べると、俺の黒歴史の取扱説明書ができあがる。喜好
やり直しは、昔の自分を消すことじゃない。同じ部屋で、少し離れて暮らすことだ。