日曜の昼、家の居間。少年野球の練習から帰ってきたホマレが、父ゲンのDVDの棚から古いケースを一枚抜き出しました。背に書いてある題は『巨人の星』。ゲンはケースを見ただけで、もう鼻をすすっています。少年野球のショートを守るホマレには、まだ知らない昔の野球アニメです。
棚のいちばん古い一本
父ちゃん、まだ再生してないよ。なんでもう泣いてるの?
『巨人の星』は、梶原一騎さんが作、川崎のぼるさんが絵を担当した漫画で、『週刊少年マガジン』に1966年から1971年まで連載されました。テレビアニメは1968年3月に始まり、1971年9月まで、全182話が放送されています。事实[2]
俺がチビのころ、再放送でしょっちゅうやっててな。親父と並んで観た。親子の話なんだ、これは。喜好
そんなにいっぱいあるの? おれ、夏休みでも終わんない。
三塁を守っていた父
主人公は星飛雄馬。父の星一徹は、かつて巨人軍で三塁を守っていた選手でした。一徹は息子を小さいころから野球のためにきびしく育て、やがて飛雄馬は、父がいたのと同じ巨人軍のユニフォームを着て、花形満たちライバルと向き合っていきます。事实[1]
三塁って、ショートのとなりだ。おれのとなり。作品中的观察
そうだな。お前がゴロに飛びつくとき、いちばん近くにいるやつだ。
きびしく育てるって、どんなふうに?
走らされて、投げさせられて、ずいぶん無茶な特訓だったと思う。昔の漫画の、昔の練習だ。喜好
それ、今はやらないやつだよね。うちの監督、走ったら水飲めって言うもん。喜好
おう、やらねぇ。俺もまねしろとは言わん。観てほしいのは、そこじゃねぇんだ。解读
野球の代わりに来た球技
2012年12月、インドのテレビ局カラーズで、『巨人の星』をもとにしたアニメ『スーラジ ザ・ライジングスター』の放送が始まりました。作り直すときに、競技は野球からクリケットに置きかえられています。事实[1]
えっ、野球じゃないの? なんで?
向こうじゃ、野球より、そっちを毎日やってる子のほうが多いんだろうな。たぶんだぞ。有依据的推测
クリケットって、どういうの?
分からん! ……タブレット持ってこい。いっしょに調べるぞ。
クリケットは、バットとボールを使って、11人ずつの2チームで戦う球技です。グラウンドの真ん中に細長い場所があり、その両はしに、3本の杭の上に小さな横木をのせた「ウィケット」という的が立っています。事实[5]
投げる人はボウラーと呼ばれ、助走をつけて、肘をほとんど曲げずに腕をのばしたまま投げます。事实[5]
腕をのばして投げてみた
肘、曲げないの? ……やってみる。うわ、投げにくい! ボール、下に行っちゃう。喜好
はっはっは! 母ちゃんの花びんには向けるなよ。
ボールは、地面に一度はずませてから打つ人に届かせる投げ方がよく使われます。事实[5]
ワンバウンド? 野球だったら、それ、ボールって言われるやつだよ。作品中的观察
跳ねてから来る球を打つのか。波の上で揺れてる浮きをすくうみてぇなもんだな。解读
父ちゃん、なんでも海にする。
打つ人のほうは、ボールが後ろのウィケットに当たらないようにバットで守りながら、打って走って点を取ります。事实[5]
打つ人は、的を守る人なんだ。野球のキャッチャーがいないみたい。解读
じゃあ、インドの飛雄馬は、腕をのばして投げる練習をするの? それ、ほんと?
そっちは俺も観てねぇんだ。どんな練習かは、観てみないと分からん。
答えを二つ書く
ノートに書く。「日本は野球。インドはクリケット」。父ちゃんと子どもの話なのは、どっちも同じ?
それを確かめるには、両方観るしかねぇな。まずは日本のほうからだ。
父ちゃんが飛雄馬で、おれが一徹?
逆だ、逆。……いや、うちはどっちが投げてもいい。お前が投げたら、俺が捕る。喜好
そこが同じなら、俺はどっちでも泣く自信がある。喜好
知ってる。もう泣いてるもん。……再生、押すね。
同じ親子の話でも、国が変われば球が変わる。腕をのばして投げるクリケットを知ると、肘を使って投げる野球のほうが、ちょっと特別に見えてくる。