日曜の昼。母が仕事の日で、大学の近くで一人暮らしをしている兄のソウマが、家に戻ってきていました。二人で大盛りの焼きそばを作って、テレビの前に座ります。アカリが選んだのは、バスケットボールのテレビアニメの一話目でした。
赤い髪の初心者
兄ちゃん、これ観たことある?
……題名だけは。バスケの話だろ。
井上雄彦さんが描いた『SLAM DUNK』は、『週刊少年ジャンプ』に1990年から1996年まで連載された漫画で、全276話です。軸になっているのは、不良少年・桜木花道が挑み、成長していく姿。舞台はバスケの世界です。事实[1]
湘北高校に入ったばかりの赤い髪の花道は、赤木晴子にひと目で恋をして、誘われるままバスケ部に入ります。バスケは、まるで初めてです。事实[1]
私、ここが好き。理由はかっこよくないけど、とにかく入っちゃうところ。上手くなってから入るんじゃなくて、入ってから始める。喜好
動機が不純だな。
不純でもいいじゃん。一歩目は一歩目だよ。喜好
……どんな門も、くぐる理由は人に話せるほど立派じゃない。解读
作者も剣道部だった
中学までは剣道部だった井上雄彦さん。高校でバスケ部に入ったのは、本人の話では、友だちに誘われたのがきっかけでした。兄と同じ剣道部にいるのが照れくさかった、という事情もあったそうです。事实[2]
剣道部に兄ちゃんがいたら照れくさい、だって。
俺は剣道やってないから、関係ないな。
わかんないよ。兄ちゃんが道場の隅でずっと見てたら、私も別の部に行くかも。喜好
……行かないだろ。お前は見られてるほうが燃える。解读
それはそう。でも、剣道から別のものに移った人が、移った先のことを描いたって、なんかうれしい。私も学校を移ったから。前の場所で覚えたことは、ちゃんと持っていける気がする。喜好
シティーハンターの仕事場で
井上さんには、『シティーハンター』を描いていた北条司さんのもとで、アシスタントとして漫画の基本を学んだ時期があります。漫画家をめざした最初から、描く題材はバスケと決めていたそうです。事实[2]
ここ。私が一番びっくりしたとこ。シティーハンター、私の推しの漫画なんだよ。お母さんの本棚で見つけたやつ。喜好
知ってる。母さんの本棚の前で、正座して読んでたな。
推しの漫画の仕事場で基本を覚えた人が、バスケを描いたんだよ。道場で言ったら、同じ先生の下で稽古した先輩みたいなもん。解读
系譜ってやつだ。……線は、見えないところでつながってる。今のも忘れて。解读
忘れない。
ルールは今とちがう
作中の試合は、2001年に公式ルールが大きく改められる前の決まりで描かれています。事实[1]
今のルールを知ってる人が観たら、引っかかるところがあるってことか。有依据的推测
あるかもね。でも私は気にならない。剣道も空手も、細かい決まりは変わっていくものだと思う。それでも、礼をして、構えて、一歩出るのは同じでしょ。喜好
それに、ルールが変わったって先に知っておけば、迷わない。説明のないルールは嫌いだけど、説明があれば覚えられる。喜好
お前の筋は、そこか。
筋っていうか、礼儀。先に言ってくれる人の決まりには、ちゃんと従う。喜好
一話目から一歩ずつ
テレビアニメ版の放映は、1993年10月16日にスタートしました。終了は1996年3月23日で、テレビ朝日系列で流れていました。本編は全101話で、ほかにSP版が2話あります。製作は東映動画。語りを務めたのは、木暮公延の声を演じた田中秀幸さんです。事实[1]
最初の何話かは、花道がまったくの初心者だってことを覚えたまま観て。私は、初心者のまま入っていく一歩目のところを、何回も観ちゃう。喜好
初心者のまま入る、か。……俺は、入る前に全部調べてから入るほうだ。喜好
知ってる。兄ちゃんは地図を描いてから公園に行く人。私は走ってから地図を見る人。解读
あと、ナレーション。部員の役の人が兼ねてるって知ってから聞くと、ちょっと面白いよ。喜好
……長いな、百話超えか。
本編は全101話
一話ずつでいいよ。休む日は休んで、また続きから。喜好
……分かった。焼きそば、まだあるか。
大盛りの残り、半分こ。
『SLAM DUNK』の原作者・井上雄彦さんは、中学までは剣道部、高校からバスケットボール部。漫画家になる前は、『シティーハンター』を連載中の北条司さんのもとでアシスタントをしていた。