テンの6選の四本目は『ロビン・フッド』にゃ。テンのけもの好きは、ここから始まったにゃ。いっしょに観たスイが、となりで聞いてくれるにゃ。物語の展開には触れないにゃ。
あの夜のこと
あの夜のことは、私もよく覚えてる。映画が終わったとたん、テンが部屋じゅうを三周くらい走ったの。カーテンにも一回登った。
四周にゃ。カーテンは二回にゃ。スイは数えるのがやさしすぎるにゃ。
スイの部屋で暮らし始めてしばらくしたころ、スイが「動物の映画、観る?」と再生してくれたにゃ。最初の場面で、キツネが服を着て、二本の足で歩いてたにゃ。テンは、そこで固まったにゃ。動物が服を着て歩く世界がある。知らなかったにゃ。知ってしまったにゃ。喜好
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの公式サイトでは、ロビン・フッドが信頼する相棒のリトル・ジョンや陽気な仲間たちとともに、愉快で大胆な行いを次々にやってのけ、欲深いプリンス・ジョンを出し抜いて、シャーウッドの森の人びとに幸せを届ける物語として紹介されているにゃ。アメリカでの公開日は1973年11月8日にゃ。事實[1]
テンが走り回った理由
あの夜、なんで部屋じゅうを走り回ったのか、テンにもよく分からないにゃ。たぶん、胸の中がいっぱいになって、体から出さないと破裂しそうだったにゃ。動物が服を着て、帽子をかぶって、歌って、だれかを助ける。テンが知ってた動物の物語は、人のそばにいる動物の話ばかりだったにゃ。この映画は、動物たちが主役で、動物たちだけで世界を回してたにゃ。喜好
それから、テンのけもの好きは止まらなくなったにゃ。服を着た動物が出てくる絵本、ぬいぐるみ、着ぐるみ。スイが買ってきたクマのぬいぐるみには、三日間ずっと顔をうずめてたにゃ。スイには「ちょっと離れて」と言われたにゃ。離れなかったにゃ。もふもふは世界を救うにゃ……!喜好
好きな理由1:しっぽのある芝居
ロビンはキツネにゃ。だから、うれしいときも、ずるいことを思いついたときも、しっぽがしゃべるにゃ。耳の向き、鼻先の動き、ふさふさのしっぽの振り方。人間の役者さんにはできない芝居が、ぜんぶ毛並みに乗ってるにゃ。毛並みの描き方にうるさいテンも、このしっぽには降参したにゃ。解讀
私はね、耳の動きで気持ちが分かるのがいいなと思った。言葉より先に、耳が答えてる。解讀
スイはいいところを見てるにゃ。耳は、うそをつかないにゃ。
好きな理由2:動物ごとの役のつけ方
どの動物に、どの役をさせるか。そこを考えながら観ると、もっと楽しいにゃ。すばしこくて知恵のまわる主人公がキツネ。それぞれの動物の姿や動きが、そのまま人柄になってるにゃ。テンの研究テーマは、物語の中の動物はなぜ人の言葉を話すのか、にゃ。この映画を観ると、動物の姿を借りると、人柄がひと目で伝わるからかもしれない、と思うにゃ。解讀
もうひとつ、悪役の側にも動物らしさがちゃんとあるところが好きにゃ。いばっている者は、いばっている動物の姿で、ずるい者は、ずるそうな動きで描かれてるにゃ。こわいのに、どこか笑える。だから小さな子でも、こわがりすぎずに最後まで観られるにゃ。テンは、悪役の毛並みにもちゃんと見とれたにゃ。毛並みに罪はないにゃ。解讀
好きな理由3:歌と森の空気
公式サイトによると、この映画は歌「Love」で、アカデミー賞の歌曲賞にノミネートされたにゃ。事實[1]
テンは、歌が流れる場面の、森のやわらかい光が好きにゃ。走って、笑って、追いかけっこして、そのあいだに、ふっと静かな時間が来る。冒険の映画なのに、のんびりした昼寝みたいな時間があるにゃ。テンは昼寝の名人なので、そういう時間の大切さにはうるさいにゃ。喜好
はじめての人へ
古い映画だけど、むずかしいところはほとんどないにゃ。家族みんなで観られるにゃ。おすすめは、一回目は音を楽しんで、二回目は音を小さくして、動物たちの動きだけを観ることにゃ。しっぽと耳だけで、どれだけ気持ちが伝わるかが分かるにゃ。猫と暮らしている人は、たぶん自分の猫のしっぽが、急に気になりだすにゃ。
スイの相手はテンが見きわめる
この映画には、恋の場面もあるにゃ。テンは、スイにも早く、いい人と出会ってほしいと本気で思ってるにゃ。スイの相手は、テンが見きわめるにゃ。基準は、しっぽがあるかどうか……じゃないにゃ。耳の動きでうそが分かるくらい、まっすぐな人にゃ。喜好
その基準だと、だれも通らない気がする。……でも、見ていてくれてありがとう。
ほかの5本とのつながり
『夏目友人帳』までは、人のそばにいる生きものの話だったにゃ。この映画から、テンの6選は、動物たちだけの世界に入っていくにゃ。次の『ズートピア』でも、キツネが大事な役で出てくるにゃ。テンはキツネに弱いにゃ。たぶん、この夜からにゃ。喜好
しっぽと耳は、言葉より先に気持ちを話すにゃ。