俺だ。TVアニメ『DEATH NOTE』を最後まで観た人向けに、二周目の話をする。まだの人は、ここで閉じて第1話へ。中盤と結末に触れるところは、押さないと開かない箱に入れてある。箱の外では、序盤より先には触れない。相手は、仕組みから物語を読むレン。俺は言葉から読む。同じ場面に、違う印がつく。二周目は、勝ち負けより手順を見る。
二周目を始める前に
全37話のTVアニメで、放送期間は2006年10月から2007年6月まで。監督を荒木哲郎、シリーズ構成を井上敏樹が務め、マッドハウスがアニメーション制作を担当した。事實[1]
アニメは放送時期に合わせて、舞台を原作より3年後に移している。事實[12]
年をずらしたってことは、観ている人の「いま」に物語を置き直したんだね。僕はそういう調整に弱い。解讀
……別に、俺は弱くないです。ただ、ノートを拾う高校生が自分と同じ時代を生きてると思うと、一周目より少し寒くなります。喜好
最初と最後の題名
第1話の題名は「新生」。事實[3]
サブタイトルは、漢字二文字の題が目立つ。一周目の俺は、題名を読み飛ばしていた。二周目は、再生する前に一話ずつ題名をノートに書き写してほしい。二文字しかないから、選ばれた一語の重さがそのまま残る。脚本の構成を分解するとき、俺はまず題名の列を眺める。作品中的觀察
結局·真相結末(最終話の題名)點擊展開
最終話、第37話の題名は「新世界」。主人公が掲げていた言葉そのものだ。
第1話で生まれ直した男が、最終話でその言葉にたどり着く。ただ、最後まで観た人は、その題の下で何が起きたかを知っている。題名は約束を果たしたように見せて、中身で裏切る。二周目の第1話の「新生」は、俺には誕生じゃなく、取り返しのつかない一歩目に読めた。解讀[3]
CMの前後に出るルール
原作では、単行本の各話の終わりに「デスノートのルール」が載っている。アニメではそれが、CMの前後にアイキャッチとして出てくる。事實[2]
一周目は、トイレに立つ合図くらいにしか思っていなかった。二周目は止めて読んでほしい。ルールの文面は、物語の外から観ている側にだけ渡される資料だ。登場人物が知らないことを、俺たちは先に知らされている。解讀
僕はあれ、仕様書の抜き書きに見える。どの条文がどの回の前に置かれたかを並べると、作り手が「ここで何を思い出してほしいか」の地図になるんじゃないかな。解讀
俺は文面の言い回しのほうを見ます。「〜しなければならない」と「〜できる」で、同じ一行でも温度が違う。解讀
中段為止中盤の展開(第一部の後半)點擊展開
作中には、嘘のルールが一つある。主人公が疑いをそらすために、死神に書かせたものだ。中身は、名前を書いた者は13日のうちに次の名前を書き続けなければ死ぬ、という一行。
二周目で怖いのはここだ。俺たちはルールの文面を「物語の外の資料」として信じて読んできた。でも、その文面の中にも、登場人物が書いた嘘が混ざりうる。読む側の信頼まで、頭脳戦の盤面に乗せられていた。解讀[8]
退屈していた死神
リュークは死神の生活に飽きて、わざと人間界にノートを落とした。物語はそこから始まった、とされている。事實[6]
一周目の俺は、主人公の正義に目を奪われていた。二周目は、主人公のすぐ後ろにいる死神の側から観てほしい。この物語でいちばん最初に動機を持ったのは、正義でも悪でもなく、退屈だった。解讀
ノートを人間界に持ち込んだ死神には、守らなければならない掟がある。最初の持ち主が死ぬことになるなら、その名前を自分のノートに書かなければならない、というものだ。事實[7]
結局·真相結末(最終話)點擊展開
最終話を観た人は、この掟がどう働いたかを覚えていると思う。
二周目の第1話、リュークが最初に姿を見せる場面を観直すと、終わり方はあの瞬間に契約書として交わされていたように見える。主人公はノートのルールを誰よりも検証した人間なのに、自分に憑いた死神の側の約束だけは、最後まで自分の盤面に置けなかった。俺は、そこがいちばん皮肉で、いちばん美しいと思う。解讀
仮面を外していた数話
主人公が目指すのは、犯罪者がいない新世界。そこに神として君臨するのは自分だ、と決めている。事實[11]
中段為止中盤の展開(第一部の後半)點擊展開
主人公の策は、自分と海砂がノートの所有権を捨て、記憶をなくすこと。これで絶対に自白しない状態ができる。あとは予定どおり、ノートに再び触れて記憶を取り戻す。事實[9]
中段為止中盤の展開(続き)點擊展開
二周目は、記憶を手放していたあいだの顔を見てほしい。声の芝居も、目の動きも、別人のように素直だ。俺はあの数話を、仮面を外した主人公の唯一の記録として観る。仮面をかぶる理由より、仮面の下に何が残っていたかのほうが、二周目には刺さる。解讀
仕組みで言えば、記憶を消すのは作戦の一部だよね。でもソウマの言う「記録」っていう読み方は、僕にはなかった。作戦の部品のはずの数話が、人物の証拠になっている。解讀
……中学の俺は、あの数話を飛ばして観てました。強くない主人公は見たくなかったので。喜好
沈黙と再生
第25話の題名は「沈黙」、第26話は「再生」。第26話で第一部が終わり、第27話から第二部に入る。事實[3]
結局·真相第一部の結末點擊展開
第一部の終わり、Lは主人公との攻防の末に敗れて命を落とす。
題名の順番だけを見ると、「沈黙」のあとに「再生」が来る。二周目の俺には、これが一人の沈黙と、もう一人の物語の再生に見えた。勝った側の物語が再生されるのに、画面からは何かがごっそり抜けている。第26話は、その空白の大きさを測る回だと思って観てほしい。解讀[10]
後半の速さを数える
アニメの筋は原作にほぼ忠実だ。ただし後半の第28話からは、場面も台詞も原作から変えたり削ったりした箇所が多い。最終回にいたっては、原作の最終巻の半分以上を、たった一話に収めている。事實[4]
演出面では、ノートを使う場面や登場人物が考える場面に、派手な動きが加えられている。事實[5]
二周目は、一話あたりに進む出来事の数を数えてみるといいと思う。第二部に入ってからの密度は、構造として別の作品みたいだ。解讀
俺は、その速さを考える場面の派手さが支えてると読みます。頭の中の一手を、身ぶりで見せる。だから詰め込んでも置いていかれない。……短い動画で育った俺の目には、むしろちょうどいい。解讀
二周目は、第1話の最初のCMの前後で一時停止を。画面に出たルールの一行を、声に出して読んでから続きを再生する。