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動畫·漫畫小知識

『カリオストロの城』の名はルブランの小説から

宮崎駿さんが初めて監督した劇場映画『ルパン三世 カリオストロの城』。カリオストロとクラリスという名前は、1924年のルブランの小説から取られました。旅先の宿で鉢合わせした竜山とノアが、城と町のモデルの話をしました。

適合這樣的人
家族で観られる冒険映画を探している人へ。映画に出てくる町や城の、元になった場所が気になる人にも。
劇透範圍
無劇透 物語の出発点(偽札の出どころと疑われるカリオストロ公国へ向かったルパンたちが、追われるウェディングドレス姿の少女クラリスを助けようとする)と、宮崎駿監督の就任と制作期間、ルパンの年齢の設定、名前の由来になった小説、城と城下町のモデルまで。伯爵と城の秘密、指輪の謎、物語の後半と結末には触れません
發言的人
Ryuzan × Noa
主張的種類: 事實 作品中的觀察 有依據的推測 解讀 喜好
目錄 共 5 節·約 6 分鐘
  1. 年の瀬の道場の一本
  2. 偽札を追って小さな国へ
  3. 名前は1924年の小説から
  4. 城と町のモデルを訪ねる
  5. 初めて観る人への入口

年の瀬の少し前、山あいの古い町の宿。行き先を決めずに出かけた竜山とノアが、同じ囲炉裏端で鉢合わせしました。竜山は笑って茶を淹れ、ノアは旅先で買った本を一冊、膝に置きました。竜山の道場では、稽古納めの夜に弟子たちと一本の映画を観るのが習わしです。その一本の話になりました。

年の瀬の道場の一本

Ryuzan

ははは、ええじゃないか。行き先を決めんで出てきて、同じ宿に転がりこむとはのう。まずは茶じゃ。熱いから気をつけえ。

Noa

いただきます。竜山さん、稽古納めまでには道場に戻るんですよね。今年も、あの映画ですか。

Ryuzan

おう。弟子たちと観る。毎年、俺がいちばん声を出して笑うとるらしい。自分では気づかんのじゃ。喜好

『ルパン三世 カリオストロの城』は1979年の映画で、『ルパン三世』の劇場版アニメとしては二作目にあたります。原作はモンキー・パンチさん。宮崎駿さんにとっては、初めて監督した劇場映画です。事實[1]

宮崎さんは、脚本を書かずにこの映画を作りました。イメージボードを山ほど描いて構想を固め、絵コンテを描くのと並行して作業を進めるやり方です。監督の話は、もとは大塚康生さんに来たものでした。気乗りしない大塚さんから相談を受けて、宮崎さんが引き受けた形で、大塚さんは作画監督に回っています。宮崎さんが準備を始めたのは1979年5月。構想から数えても、かかった期間は「わずか半年」です。宮崎さんは、この作品で自分の体力の限界を初めて知った、と話しています。事實[1]

Ryuzan

半年か。……体力の限界を知った、というのがええ。限界は、一度ぶつかってみんと分からん。道場でも、それを知った弟子から強うなる。解讀

Noa

頼まれた人が別の人に相談して、相談された人が監督になる。仕事の手渡し方としては、ちょっと不思議ですね。解讀

偽札を追って小さな国へ

物語は、盗んだ大金を偽札と知って、ルパンたちが捨ててしまうところから動き出します。モナコの国営カジノで、ルパン三世が次元大介、石川五ェ門と大金庫を破って手に入れた札束は、本物同然の幻の偽札「ゴート札」でした。偽物には手を出さない、というのがルパン家の家訓の一つです。札を車からばらまいて手放したあと、ルパンと次元はゴート札そのものを次の獲物に決めます。出どころと疑われているのは、ヨーロッパの小国カリオストロ公国。次の行き先はそこです。事實[1]

クラリスは、亡くなった大公の娘です。大公夫妻が世を去ってから国を治めているのは、摂政のカリオストロ伯爵。その伯爵から結婚を迫られ、逃げ出してきたところでした。公国に入ったばかりのルパンたちが見かけたのは、ウェディングドレス姿で車を飛ばすクラリスと、それを追う男たちです。わけもわからないまま、ルパンたちは彼女を助けに入ります。事實[1]

Ryuzan

偽物には手を出さん、という家訓がええ。泥棒にも筋がある。俺は、筋の通った者が悪を出し抜く話に弱いんじゃ。時代劇と同じ骨よ。喜好

宮崎さんが描いたルパンは、これまでのイメージよりかなり年上です。ファンが知っている頃より場数を踏んだのだから、違って見えるのが自然だ、という考えでした。声の山田康雄さんの受け止めも同じで、演じたのは「おじさんルパン」でした。事實[1]

Ryuzan

ははは、おじさんのルパンか。年をとると、走る前に段取りを考えるようになる。そういう者の身のこなしを、俺はつい目で追うてしまう。喜好

名前は1924年の小説から

Noa

竜山さん、私が今日この映画の話をしたかったのは、名前のことなんです。カリオストロもクラリスも、元の小説があるんですよ。

『カリオストロ伯爵夫人』は、モーリス・ルブランが1924年に発表した、『アルセーヌ・ルパン』ものの一作です。冒険の主役は、20歳のアルセーヌ・ルパンです。映画『ルパン三世 カリオストロの城』の題名は、この作品から来ています。ヒロインのクラリスの名も、小説に出てくるクラリス・デティーグ嬢にちなみます。事實[3]

日本では、同じ1924年の8月から12月にかけて、『東京朝日新聞』の夕刊に連載されました。訳者は保篠龍緒さんで、題は「ルパン怪奇探偵 妖魔の呪」。その後、『妖魔の呪』の書名で刊行されています。事實[3]

Noa

同じ年に海を渡って、題名がまるで違う姿になっている。どちらが正しいではなくて、入口の形が違う。そこが好きなんです。解讀

Ryuzan

妖魔の呪、か。俺が子どものころの貸本屋に並んどったら、真っ先に手に取ったろうのう。題名は看板じゃ。看板で客の入りが変わる。喜好

城と町のモデルを訪ねる

設定では、カリオストロ公国の人口は3,500人。国連に加わっている国のなかで世界一小さい国です。城のモデルは、修復される前のプファルツ城。城下町の下敷きになったのは、宮崎さんが当時よく読んでいた『語りかける中世 イタリアの山岳都市・テベレ川流域』に載っている写真です。事實[1]

プファルツ城は、ドイツ西部の古城で、カウプという町(ラインラント=プファルツ州)にあります。建てたのは神聖ローマ皇帝のルートヴィヒ4世で、1327年のことです。ライン川の通行税を徴収する税関施設として、川の中州に築かれました。事實[2]

Ryuzan

川の真ん中で通行税を取る城か。関所じゃな。ドイツの川にも関所があったとはのう。解讀

Noa

城はドイツの川の上、町はイタリアの山の上、名前はフランスの小説から。手帳の地図だと、線が三つの国にまたがっています。解讀

Ryuzan

遠回りして集めたものを、一つの国にまとめる。旅の土産話と同じじゃ。……ノア、次はその川を見に行くか。喜好

Noa

行き先を決めないのが私たちの決まりですから、約束はしません。でも、手帳には書いておきます。

初めて観る人への入口

Ryuzan

入口は、ルパンの策の段取りを追うことじゃ。組み立てが分かると、何倍も面白い。それ以上は言わん。弟子と観るときも、俺は先のことは一言も言わん。喜好

Noa

私は城下町を観ます。写真集の町が、どんなふうに映画の町になったのか。帰ったら元の小説も探します。見つかったら、竜山さんに知らせますね。喜好

Ryuzan

おう、頼んだ。……さて、茶のおかわりじゃ。旅の話の交換は、まだ始まったばかりじゃからのう。

『ルパン三世 カリオストロの城』の「カリオストロ」と「クラリス」は、1924年のルブランの小説『カリオストロ伯爵夫人』から取られた名前。城のモデルは、ライン川の中州に建つプファルツ城でした。

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