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動畫·漫畫小知識

『クロース』は手描きの絵に光をあてた

サンタクロースの由来を新しく描いたスペインの映画『クロース』は、手描きの2Dに、立体のような光と質感をのせようとした作品です。写実の絵を描くエマが、同じ大学の学食で、いつもは解説をせがむ相手のソウマに光の話をします。

適合這樣的人
手描きのアニメーションが好きな人へ。クリスマスの映画を、子ども向けだと思って避けてきた人にも。
劇透範圍
無劇透 物語の出発点(北極圏に近い凍てついた町の郵便配達員ジェスパーが、おもちゃ職人のクロースと出会い、一緒におもちゃを配達することになる)と、絵づくり・企画の経緯まで。町がどう変わるか、二人の関係の行方、結末には触れません
發言的人
Emma × Souma
主張的種類: 事實 作品中的觀察 有依據的推測 解讀 喜好
目錄 共 4 節·約 5 分鐘
  1. サンタクロースの由来話
  2. シールを貼ったような絵から離れる
  3. 町の名前とサーミの人びと
  4. 初めての人への入口

昼休みの学食。トレーを置くなり、エマはスマートフォンの画面をソウマに向けました。いつもはアニメの解説をせがむ側のエマが、今日は自分から話したい一本を持ってきたようです。ソウマは、うどんが伸びる心配をしながら聞くことにしました。

サンタクロースの由来話

Emma

ソウマ、今日は私が話す番。『クロース』っていう映画、知ってる?

Souma

……題名だけ。サンタの話だろ。

Netflixの配給で、2019年11月15日に公開されたアニメ映画が『クロース』(原題 Klaus)です。2019年にスペインで作られ、監督はセルジオ・パブロスさん。サンタクロースがどうやって生まれたのかを、まったく別の筋書きの伝説として描いています。言語は英語とサーミ語です。事實[1]

おもちゃ作りのクロースは、人を寄せつけない変わり者。そのクロースと、郵便配達員のジェスパーが出会います。ちょっとしたはずみで、二人は組んで町でおもちゃを配って回ることに。舞台は北極圏に近い小さな町で、暗く、凍えるような場所です。事實[1]

Souma

由来話か。……組織でも人でも、始まりの話には弱い。誰が最初の一人だったか、ってやつ。喜好

Emma

やっぱり。ソウマならそこに食いつくと思った。じゃあ、これも教えてあげる。

サンタクロースを選んだのは、由来話はいくつもあるのに、これが正式だと認められたものは一つもない、とパブロスさんが考えたからだそうです。そこに落ち着くまでには、ほかの人物でも生い立ちの語り直しを試していて、実在のナポレオン・ボナパルトや、架空の存在のドラキュラも候補にのぼりました。事實[2]

Souma

……ナポレオン候補だったのかよ。そっちも観たかった。……って、誰にも言うなよ。喜好

Emma

言わない。メモはした。

シールを貼ったような絵から離れる

1990年代から、西洋の映画スタジオの作品は、ほとんどがコンピューターのアニメーションになりました。その流れがなかったら、手描きはどんなふうに育っていたのか。パブロスさんが確かめたかったのは、そこだったといいます。ディズニーで『ノートルダムの鐘』『ヘラクレス』『ターザン』などに関わった人で、スペインのマドリードに自分のスタジオを立ち上げたあと、新しい手描きの長編を作ると決めました。事實[2]

目指したのは、「絵の具で描いた背景の上に、シールを貼ったようなキャラクター」という決まりきった見え方から抜け出すことでした。そのために、手描きの技術がもっていた限界のいくつかを越えようとして、光と質感を有機的で立体感のあるものにすることに力を注ぎます。それでも、手で描いた感じは手放していません。道具には、フランスのアングレームにある会社の専用ツールが使われました。事實[2]

Emma

ここ、私がいちばん話したかったところ。手描きの絵って、人物だけ平らな色で塗って、背景の上に置くことが多いでしょ。それをシールって言っちゃうの、ちょっと痛快じゃない?喜好

Souma

……言葉の選び方は、嫌いじゃない。自分の育った道具に、自分で名前をつけて越えようとしてる。解讀

Emma

私は写実の絵を描くとき、最初に光の向きを決めるの。光がどこから来るか決まると、顔の丸さも、服のしわも、勝手に決まっていく。だから、手描きの人物に光をのせるって聞いたとき、描く側の人間として、手が勝手に鉛筆を探した。喜好

Souma

光の向きで、全部決まるのか。

Emma

全部じゃないけど、半分くらい。残りの半分は、根気。私が苦手なほう。喜好

Emma

光の描き方を真似したくて画材をそろえたのは、『白蛇:縁起』を観たあとだった。今度は、手描きの絵にのせる光。同じ光でも、描く道具が違うと、どこで苦労するかが違うはずなの。そこを想像しながら観るのが楽しい。喜好

Souma

……道具が違えば、同じ言葉でも書き方が変わる。それは分かる。解讀

町の名前とサーミの人びと

サーミの人びとが映画に出てくるのは、パブロスさんのノルウェーへの旅がきっかけです。その旅は、映画の向きを決めるうえで大きく効いたといいます。ちなみに、舞台の町スメーレンスブルグの名前は、実在の地名の綴りをわざと違えたもの。もとになったスメーレンブルグは北極圏のスヴァールバル諸島にあり、かつてオランダとノルウェーの捕鯨基地でした。事實[2]

Souma

実在の地名を一文字ずらす。……地図を持ってるのに、地図に載らない町を作るやり方だ。解讀

Emma

私はね、知らない言葉が聞こえる映画が好き。引っ越しが多かったから、言葉が分からない場所で、それでも誰かと通じる瞬間を探すくせがあるの。この映画は、英語とサーミ語。どんなふうに聞こえるのか、楽しみにして観た。喜好

初めての人への入口

Souma

で、何分。

Emma

98分。

Souma

……途中で止めるかもしれない。

Emma

止めていいよ。そのかわり、止めた場面で、光がどこから来てるかだけ見て。答え合わせは次の学食で。喜好

Emma

入口は、サンタの話だと思って構えないこと。郵便配達の人と、おもちゃを作る人が出会う話として観ると、すっと入れると思う。喜好

Souma

……一話だけ、じゃなくて一本か。まあ、なんとかなる。止めたら、その場面の光の来る方角くらいは、ちゃんとメモしておく。

Emma

約束ね。うどん、伸びてるよ。

『クロース』は、手描きの2Dに立体のような光と質感をのせようとした映画。止めた場面で、光がどこから来ているかを見てみてください。

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