週末、兄のソウマが家に戻ってきて、居間に置きっぱなしの稽古バッグをまたいで座りました。テレビには、アカリが最近観返している『HUNTER×HUNTER』の一話目。ソウマは画面より先に、サブタイトルの文字に目を止めました。
父親に会うための一歩目
兄ちゃん、これ観たことある?
……昔、テレビで少しな。全部は観てない。
原作は冨樫義博さんの漫画で、『週刊少年ジャンプ』1998年14号で連載がスタートしました。主人公はくじら島で暮らす少年、ゴン=フリークス。死んだと思われていた父親が実は生きていて、腕ききのハンターとして名を上げていると、ゴンは知ります。その職業に憧れたゴンは、里親のミトから条件を出され、それを果たしたうえで、ハンター試験の会場を目指して故郷をあとにします。事實[2]
私、ここが好き。会いたい人がいるから、まず自分がその仕事に就きに行くの。待ってないで、自分から行く。喜好
普通は手紙を書くとか、誰かに探してもらうとか、そっちだろ。
それは向こうの都合でしょ。試験なら、自分の足で受けに行ける。解讀
サブタイトルは韻を踏む
冨樫さんの漫画がテレビアニメになったのは、この2011年版で2作目です。制作はマッドハウス、監督は神志那弘志さん。日本テレビでの放送は2011年10月2日に始まって2014年9月24日まで続き、話数は全148話にのぼります。スタッフもキャストも、第1作から入れ替わっています。事實[1]
「タビダチ×ト×ナカマタチ」(第1話)、「シケン×ノ×シケン」(第2話)。こんなふうに、各話のサブタイトルは、いくつかの例外を別にすると「○○×○×○○」の形をとり、カタカナの部分で韻を踏んでいます。事實[1]
タビダチと、ナカマタチ。……悪くない。旅立ちに仲間がついてくるって、題だけで一話の筋になってる。解讀
シケン×ノ×シケンは、同じ音を二回並べただけなのに、二回目のほうが重く聞こえる。試される者は、自らも試すのだ。……いや、この口調は封印中だった。解讀
了解。兄ちゃん、こういうの絶対好きだと思った。私は題を見てから観るようにしてる。次はどんな韻かなって、ちょっと当てに行くの。外れると悔しい。喜好
題名の「ハンター」は、収集癖のある冨樫さんが、集めることの面白さを題材にして構想したところから来ている、と紹介されています。事實[2]
集める話、か。お前は何を集める。
道場の皆勤。……あと大盛りの店。
でも意外。ハンターって狩る人だと思ってたのに、もとは集める楽しさなんだ。会いたい人を探しに行くのも、ちょっと集めるのに似てるかも。解讀
四人で同じ合格を目指す
試験会場へ向かう途中で、ゴンは、自分と同じくハンターをめざすクラピカやレオリオと一緒に動くようになり、試験が始まってまもなく知り合った同い年の少年キルアとも仲よくなります。4人は少しずつお互いを信じられるようになり、力を合わせて合格を狙います。事實[2]
性格の全然ちがう四人が、協力しながら同じ合格を目指すのがいい。道場の昇級審査は一人で受けるものだから、ちょっとうらやましい。喜好
協力、か。お前、人に頼るのは苦手なくせに。
頼るのと、任せるのはちがうの。自分の得意なことを出して、相手の得意なことを信じる。そういうのは好き。四人がそれぞれのやり方で同じ場所に向かっていくのも、見てて楽しい。喜好
題名の真ん中のバツも、そう見える。かけ算にも見えるし、向かい合って立つ二人にも見える。……協力して挑む話の題としては、悪くない。解讀
伸び悩んでいたころに
これを観たの、稽古で伸び悩んでた時期なんだ。何回やっても同じところで止まる感じで。ゴンがまっすぐ一歩目を踏み出すのを見てたら、基本に戻るのも悪くないって思えた。次の日、素振りからちゃんとやり直した。喜好
……あの週末、朝から玄関で竹刀袋をかついでたのは、それか。
見てたの?
……別に。
伸び悩むってのは、止まってるんじゃない。見えないところで根を張ってる時間だ。……今の、忘れて。解讀
それはちょっと良かった。覚えとく。
それと、ゴンと友だちの関係。性格は全然ちがうのに、同じ場所を目指して一緒に歩いていく。筋を通す友だちって、ああいうのだと思いたい。喜好
初めての人への入口
放送の初期には、タイトルの下やオープニングの背景に、作中で使われる「ハンター文字」が出てきました。アイキャッチのコーナー名は「ハンター語講座」で、これは第26話まで続きます。事實[1]
入口は、最初の試験の話を最後まで観ること。出てくる人を一人ずつ覚えておくと、そこからが楽しい。あと、アイキャッチの文字も見て。喜好
読めない文字を、読めるようになってから先へ進め、ってことか。……観るほうも試験だな。解讀
兄ちゃんは、サブタイトルを全部書き出して、韻の表でも作れば?
……148話分か。まあ、なんとかなる。一話目から順に、声に出して読むところから始める。
そう。でも一話ずつでいいよ。長いから、休む日は休んで、また続きから。喜好
2011年版『HUNTER×HUNTER』のサブタイトルは韻を踏む。第1話は「タビダチ×ト×ナカマタチ」。題を見てから観ると、一話ごとの楽しみが一つ増えます。