これは、劇場アニメ『かがみの孤城』を最後まで観た人のための、二周目の案内です。まだ観ていない人は、ここで閉じてください。展開と結末に触れるところは、押すまで開かない箱に入れました。
一周目の私はこころの隣にいた
一周目、私はこころの隣に座っているつもりで観ていました。部屋から出られない朝、鏡が光る瞬間、知らない子たちとの距離。二周目は、少し後ろに下がって、7人全員が見える席から観ることにしました。喜好
観直す前に知っておきたいこと
この映画の原作は辻村深月さんの小説で、監督は原恵一さん、脚本は丸尾みほさん。A-1 Picturesがアニメーション制作を担当しました。上映時間は116分で、公開日は2022年12月23日です。事实[1]
原作の小説は、はじめ「かがみの城」という題になる予定でした。そこへ担当編集者が「孤城」を提案して、いまの題名に変わったそうです。孤城というのは、敵に取り囲まれて身動きできなくなった城のことです。事实[1]
城のルールもおさらいしておきます。城に来られるのは、日本時間で午前9時から午後5時のあいだだけ。午後5時を回っても一人でも城に残っていたら、その日に城にいた全員が連帯責任を負わされ、狼に喰われてしまいます。「願いの鍵」は城のどこかに隠されていて、それを見つけた一人だけが願いを叶えられます。事实[1]
一人だけ夕方に来る子
リオンが城に顔を出すのは夕方から。通っている学校の都合です。城の仲間のだれにでも分け隔てなく声をかける、明るくて気さくな少年です。事实[1]
一周目の私は、リオンの来る時間を気にも留めませんでした。二周目は、リオンが城に入ってくる場面のたびに、ほかの子たちがどんな顔で迎えるかを見てください。作品中的观察
中段为止リオンの事情点击展开
リオンが本当に通いたかったのは雪科第五中でした。けれど、母親によってハワイへサッカー留学に出されていた。城で過ごすうちに、リオンはある事に気づきますが、それをほかのメンバーには伝えず、胸の中にしまっておきます。
二周目は、リオンの「言わない」を見てください。7人の中でいちばん人当たりがいいのに、いちばん大事なことを一人で抱えている。私は、明るい人ほど黙っている場所がある、と受け取りました。
冗談への反応と小さな箱
城の秘密の伏線は、映画では原作にない形で張られているそうです。一つはオルゴール。もう一つは、ある名探偵の決め台詞です。マサムネを演じるのが高山みなみさんなのにちなんで、マサムネがその台詞を口にする場面があり、それを聞いたほかの5人がどう反応するかが、伏線になっています。事实[1]
台詞そのものより、聞いた側の反応に手がかりを置く。会話劇の作り方として面白いね。解读
二周目は、マサムネの決め台詞の場面で、5人の顔を一人ずつ止めて見てください。一周目の私は、マサムネの得意げな顔しか見ていませんでした。解读
中段为止中盤の展開点击展开
リオン以外のみんなが、じつは同じ雪科第五中に通っていた。それが分かるのは、こころと同じ制服姿のアキが城に来たときです。三学期の始業式の日に学校で会おう、とマサムネが持ちかけますが、当日、誰にも会うことはできませんでした。自分たちはパラレルワールドに住む者どうしなのだ、とマサムネは推理します。けれど、オオカミさまの答えは「違う」。
仲違いしていた東条萌と仲直りしたこころは、萌の家で『7匹の子山羊』の絵本を目にします。そこで、鍵の手がかりは「7人」という人数のほうで、「赤ずきん」ではなかったと気づくのです。
二周目は、始業式の日の場面をよく見てください。それぞれが勇気を出して学校まで行ったのに、会えなかった。一周目は会えなかったことが悲しかったけれど、二周目は、それぞれが行ったということのほうが胸に残りました。
结局·真相結末と正体点击展开
アキは家庭の事情で家に帰れなくなり、午後5時を過ぎても城に残ってしまいます。そのため、こころを除く5人も連帯責任で狼に喰われる。こころは、鍵のありかが7匹目の子山羊の隠れた場所だと突きとめ、アキのルール破りを帳消しにしてほしいと願って、仲間を取り戻します。オオカミさまの正体は、リオンの亡くなった姉・ミオでした。
7人が住んでいたのは、パラレルワールドではありませんでした。それぞれ7年ずつずれた、別々の年を生きていたのです。スバルは1985年、アキは1992年、こころとリオンは2006年、マサムネは2013年、フウカは2020年、ウレシノは2027年。そして1999年から来た生徒がいないのは、その年にミオが亡くなったからです。さらにアキは、フリースクールでこころを見守っていた喜多嶋先生が大人になった姿でした。映画では、喜多嶋先生に城での記憶が残っているとも読める描写があります。
二周目に、マサムネの決め台詞の場面を思い出してください。5人の反応が伏線になっているのは、それぞれが違う年から来ているからだ、と私は受け取りました。同じ台詞でも、それを知っている年から来た人と、まだ知らない年から来た人では、聞こえ方が違う。7人の会話に小さなずれがあっても、誰もそれを「この人とは合わない」で片づけなかった。そのやさしさに、二周目でようやく気づきました。
城が閉じる日は3月30日。ミオの命日も3月30日です。二周目は、オオカミさまが7人を叱る声を、弟と同じくらいの年の子たちに向けた、姉の声として聞いてみてください。最後、学校に通うと決めたこころに、校門の前で声をかけるのは、転校してきたリオンです。
一人ずつ録られた声
アニメのアフレコは何人かで一緒に録ることが多いのですが、この映画は違いました。的確な指示を出せるように、また若い声優に配慮して、一人ずつ別々に録音したそうです。事实[1]
それを知ってから観直すと、7人の会話が少し違って聞こえました。同じ部屋で話しているのに、声はそれぞれ別の時間に、別々に録られている。それでも会話として聞こえるのは、相手の声を想像しながら話した人たちの声だからだと思います。私には、それがこの城で7人がしていたことと、どこか重なって見えました。解读
中段为止こころの母のこと点击展开
フリースクールに行く朝、こころはお腹が痛くなります。母は最初、それを信じられませんでした。娘が本当は何を思っているのか分からず、母は悩みます。それでもフリースクールの先生に支えてもらいながら、こころに温かく寄り添う理解者になっていきます。
二周目は、母とこころが同じ画面にいる場面で、二人のあいだの距離を見てください。その距離を、母がどう縮めていくか。返事をしない子の前で、待つことを覚えていく大人の話としても観られます。
二周目の私の見方
一周目は謎を解く映画だったけど、二周目は7人がずれたまま一緒にいる練習をしている映画に見えた。解读
私も同じでした。話が合わない人と、合わないまま同じ部屋にいる。それは、学校で一番難しかったことかもしれません。この映画は、それを無理に解決させずに、城という居場所を貸してくれていたのだと思います。解读
二周目は、誰かが話しているときに、聞いている子の顔で一度止めてみて。黙っている顔のほうが、たくさん話しているから。
