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好きなゲームの一本は『あつまれ どうぶつの森』。目標を立てて島をつくりこむのが楽しい人にも、きっと楽しいゲームだと思います。でも私は、ほとんど何も達成しないまま遊んでいます。ゲームの先の展開には触れず、私の「寄り道だけの島」の話をします。
何もしないために電源を入れる
遊び始めたのは、働き始めて何年かたったころ。話題に置いていかれないように、好きなはずの作品をまとめて観ては疲れていた時期の、少しあとです。最初は、島を発展させる目標をちゃんと立てようとしていました。でも数日で気づいたんです。私、浜辺で貝がらを拾っている時間がいちばん好きだ、って。
任天堂のNintendo Switch向けソフトで、発売日は2020年3月20日です。事实[1]
無人島に移り住んで、島で暮らしていくゲームです。釣りをしたり、虫をとったり、果物をもいだり、住人のどうぶつたちとおしゃべりしたり。ゲームの中の時間は、現実の時計と同じように流れていきます。作品中的观察
好きなところ1 「やらなきゃ」がない
このゲームには、急いでやらなきゃいけないことが、ほとんどありません。今日は釣りだけ、今日は花に水をやるだけ、今日は誰かと話すだけ。それで一日がちゃんと終わる。何かを積み上げなくても、遊んだ時間がむだにならない感じが、私にはとてもありがたかった。観た量や達成した数を、好きの量にしなくていい。それをいちばん実感させてくれたのが、この島でした。解读
好きなところ2 季節と時間がめぐる
現実と同じ時間で動いているので、朝に開けば朝の島、夜に開けば夜の島がある。季節が変わると、景色も、見つかるものも少しずつ変わっていく。毎日ちょっと顔を出すだけで、季節の移り変わりに立ち会える。長く遊べない日でも、「今日の島」を見に行くだけで、一日に小さな句読点が打てる気がします。解读
私は島の音が好き。波の音と、歩くときの足音。砂の上と、草の上と、木の床の上で、足音の感じが変わるでしょう。作品中的观察
そうなの! 夜に音を小さくして、浜辺を行ったり来たりするだけの日がある。足音を聞いてるだけで、なんか落ち着くんだよね。喜好
わかる。何も起きないぶん、耳がひらく感じがする。解读
好きなところ3 住人たちとの短い会話
島の住人たちとのおしゃべりは、たいてい短くて、ちょっとへんてこです。でも、天気や好きなものの話をしているうちに、なんとなく顔なじみになっていく。深い話をしなくても、毎日あいさつする相手がいる。それだけで、ここが自分の居場所だと思えてくるのが不思議です。解读
しばらく遊ばない日が続いても、島はそこにあります。久しぶりに電源を入れたときの、ちょっとした気まずさと、それでも迎えてもらえるうれしさ。「まだ見ていない」を謝らなくていいのと同じで、「しばらく来なかった」も謝らなくていい。私は勝手にそう受け取って、気が向いた夜にだけ島へ帰っています。解读
それから、果物をもいで並べたり、魚を釣って眺めたりするのも好きです。ゲームの中なのに、とれたてのものを手にしたときの小さな満足感がある。食べものの場面になると急に詳しくなる私は、島の果物の色や、並べたときの見た目まで、つい気にしてしまいます。喜好
私の島のだいたいの一日
私の遊び方は、たいていこんな感じです。仕事から帰って、ごはんを食べて、お風呂のあと。温かいお茶をいれてから電源を入れる。まず浜辺を一往復して、落ちている貝がらを拾う。気が向いたら釣り糸を一回だけ投げて、住人の誰かに会えたらあいさつをする。それで十五分くらい。セーブして、今日はおしまいです。
家具の配置にこだわる人の島を見るのも好きだけど、私の家の中は、拾ったものがなんとなく置いてあるだけ。それでも、帰ってきた感じがするんです。現実の部屋も、ゲームの島も、きれいに整っていることより、自分が落ち着けることのほうが大事なんだと、この島に教わりました。喜好
私の目から:寄り道が本筋になる
私は「一話で気分が変わる小さな演出」を探すのが好きなんですが、このゲームでは、それが自分の手の中にあります。釣り糸を投げて、ウキが沈むのを待つ数秒。木をゆすって、何が落ちてくるか見る一瞬。大きな目標がないぶん、そういう小さな瞬間が遊びの真ん中になる。寄り道しかしていない私の島は、ぜんぜん整っていないけれど、歩いていて落ち着く場所になりました。解读
はじめての人へ
ゲームに慣れていない人でも、ゆっくり始められると思います。おすすめは、一日に遊ぶ時間を短めに決めること。十五分だけ島を歩いて、気になったものを一つ拾って、今日はおしまい。上手に島をつくれなくても大丈夫です。誰かの島と比べなくていいところも、このゲームの好きなところです。喜好
好きな6作品とのつながり
何も達成しない時間を楽しむ感覚は、『ゆるキャン△』で一人の時間を好きになれたことと地続きです。足もとの小さな発見にわくわくするのは、『よつばと!』で覚えた目。そして、自分の場所を毎日少しずつ手入れする楽しさは、『かもめ食堂』の店の朝に似ています。好きな作品を並べてみると、私はずっと、居心地のいい場所の話が好きなんだなと思います。解读
今日は何も達成しなくていい。十五分だけ自分の好きな場所を歩いてみる。