四本目は『愛の不時着』。住む世界の違う二人が、それでも相手を選ぼうとする話よ。誰と誰がどうなるかは、絶対に書かない。書くのは、ヒロインがどれだけ強くて、その強い人が泣くときに何が起きるか。
休みの日を一日つぶした
観始めたのは、珍しく何の予定もない休みの日。朝に一話だけ、と思ってソファに座って、気づいたら夕方だった。お昼も食べずに観ていたのよ。次の日のレッスンは、いつもより声を張ってごまかしたわ。生徒たちには内緒。喜好
Netflixの作品ページは、2019年の作品としてこう紹介しています。韓国の財閥令嬢が、パラグライダーの最中に思いがけない事故にあって北朝鮮に不時着し、そこで知り合った堅物の将校の家に、身分を隠したまま住むことになる、と。事实[1]
出演者として同じページに並ぶのは、ヒョンビン、ソン・イェジン、ソ・ジヘです。制作にはイ・ジョンヒョとパク・ジウンの名前があります。第1話の紹介は、不時着したユン・セリをリ・ジョンヒョクが見つけるところまでです。事实[1]
好きな理由1:自分の足で立ってきた人
セリは、私の好きなキャラクターの一人。最初に登場したときから、彼女は自分の足で立ってる。仕事の判断が速くて、人に頼らない。わがままにも見えるけど、あれは自分で全部決めて、全部の責任を取ってきた人の顔よ。解读
そういう人が、自分の力ではどうにもならない場所に落ちる。それがこのドラマの入口。強い人が弱い立場に置かれたとき、何を手放して、何だけは手放さないのか。私はそこを観たくて、このドラマから離れられなかったの。解读
好きな理由2:衣装が気持ちを語る
これは私の職業病。このドラマは、衣装の変化がすごく雄弁なのよ。最初のセリは、完璧に仕立てた服を着ている。それが、置かれた場所の暮らしに合わせて少しずつ変わっていく。服が変わると、立ち姿も変わる。肩の力の入り方、歩幅、腕の振り方。解读
面白いのは、服がどんなに変わっても、彼女の首の角度だけは変わらないこと。顎を引いて、まっすぐ前を見る。モデルの世界ではよく言うの、服は着替えられても、姿勢はその人の歴史だって。あの首の角度に、彼女がそれまで一人で立ってきた年月が全部入ってる。解读
好きな理由3:強い人が泣く場面
強い人が泣く場面って、泣き方に特徴があるのよ。すぐには泣かない。まず、泣かないように顔を固める。それでも崩れる。崩れたあと、すぐに立て直そうとする。この三段階が、このドラマではちゃんと撮られてる。私はいつも、二段目で泣かされるの。解读
それ分かる。強い人が泣くの、ずるい。普段泣かない人だと、こっちが動けなくなる。喜好
そうなのよ。あなたもそっち側の人でしょう。泣かないように顔を固めるところ、レッスンでよく見てるわよ。
……見てなくていい。でも、泣く前に固めるのは、強くいたいからだよ。解读
知ってる。だから、強いまま見える振りを考えてるの。
私の見方:選ぶ恋
私が恋のドラマで好きなのは、落ちる恋より、選ぶ恋。住む世界も、生まれも、背負っているものも違う。それでも、目の前の相手を選ぶかどうか。そこには勇気がいるし、何かを手放す覚悟もいる。このドラマは、その覚悟の重さから逃げないの。解读
それと、脇の人たちが本当にいい。村の暮らし、口の悪い隣人たち、不器用な部下たち。重い設定なのに、笑える場面がたくさんある。笑ったあとに泣かされるから、涙がよけいに出るのよ。ずるいわね。喜好
相手役の堅物ぶりも、私は好き。言葉が少なくて、表情もあまり変わらない。でも、手の動きだけは正直なの。何かを差し出すとき、受け取るとき、ほんの少しだけ手がためらう。顔より先に手が気持ちをしゃべってしまう人って、ダンスの世界では「手が語る人」って言うのよ。そういう人と組むと、踊りが一段やさしくなる。解读
苦手そうな人への入口
設定が重そう、政治の話は分からない、と思うなら、まず第1話と第2話。最初は思った以上にコメディよ。ヒロインのわがままと、相手の堅物ぶりのかみ合わなさを笑っているうちに、気づいたら抜けられなくなってる。
一話が長いから、休みの前の日に始めなさい。それと、ティッシュと、冷やしたスプーンは手の届くところに。翌朝の顔のためよ。喜好
ほかの5本とのつながり
『冬のソナタ』で恋の美しさを知って、このドラマで、強い女の泣き方を知った。『プリズン・ブレイク』は危ない場所に自分から入っていく話で、このドラマは危ない場所に落ちてしまう話。入り方は逆でも、そこで誰かを選ぶ話なのは同じ。『ペントハウス』のソジンも、強い女という意味では、セリと背中合わせかもしれないわね。向いている方向が、まるで違うけど。喜好
服は着替えられても、姿勢はその人の歴史。強い人ほど、泣く前に一度だけ顔を固めるのよ。