『冬のソナタ』を最後まで観た人向けの、二周目の話よ。展開に触れるところは、押さないと開かない箱に畳んであるわ。聞き役はシズカ。子どものころからの付き合いだけど、好きなドラマの話はいつもかみ合わないの。今日もたぶん、かみ合わないわね。
春川の音楽室
全20話の韓国ドラマで、KBS2が2002年1月14日から3月19日にかけて放送した。ユン・ソクホが監督を務め、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウが主演している。事实[1]
第1話で、高校生のユジンと距離を縮めていくのは転校生のジュンサン。「初めて」という曲を二人で聴いたりしながらね。劇中には、音楽室で主役の二人がシューマンの「トロイメライ」を弾く場面もあるわ。事实[2]
私は振付師だから、曲がかかると体の向きを見るの。一周目は、二人の距離ばかり見てた。二周目は、誰がピアノを弾いて、誰が聴いているか。その役割を覚えておいて。あとで、同じ曲が別の形で戻ってくるから。解读
具体的に言うなら、第1話の音楽室は、ピアノの位置と二人の立ち位置を覚えておくといいわ。ピアノの横に立つ人と、座る人。この配置が、あとの回で入れ替わっていくの。私はこういう配置の変化を見るのが、いちばん好きなの。解读
ミサさん、もう泣きそうな顔。まだ第1話よ。
北の星の名前
ポラリス(北極星)をユジンに教えたのはジュンサン。第2話、山小屋の合宿で迷子になった彼女を見つけて、手をつないだときのこと。その10年後、ユジンが働いているのは「ポラリス」という設計事務所よ。事实[3]
迷ったときに見上げる星の名前を、職場の名前にしている。台詞では何も言わないのに、看板が全部しゃべってるのよ。二周目は、ポラリスという言葉が画面に出るたびに数えてみて。私は途中で数えるのをやめて泣いたけど。解读
中段为止中盤の贈り物点击展开
ポラリス型のネックレスをミニョンがユジンに贈るのは、第10話。雪の積もった公園での出来事よ。
高校生の夜に教わった星が、今度は首元に下がる。雪の積もった公園という場所も、星の贈り物によく似合っているわ。二周目は、ネックレスを手にしたユジンの顔を見て。
二周目は、ネックレスを渡される場面で、ユジンがどちらの足に重心を置いているかも見てみて。受け取るか、一歩引くか。体の向きだけで、気持ちの揺れは伝わるものよ。解读[3]
同じドレスの夜
第5話、ミニョンの会社でパーティーがあり、ユジンも招かれる。チェリンは手を回して、ユジンに、チェリン自身と同じドレスを着させる。その夜、ユジンは酔って、ジュンサンだと思い込んだ相手に抱きついてしまう。それは、眼鏡を外したミニョンだった。事实[4]
悪女はなぜあんなに美しく撮られるのか。私がずっと考えているテーマよ。同じドレスを着せるなんて、意地悪の中でもいちばん洗練されたやり方。チェリンは負けたくなくて必死なの。二周目は、ドレスの場面のチェリンの立ち姿を見て。背中がいちばん緊張してるわ。喜好
ついでに言うと、ドレスの場面は肩の線を見て。背筋を伸ばしているのに、指先だけが落ち着かないの。感情は、先に指先に出るものよ。解读
チェリンが画面に入るとき、衣装の色と照明の当たり方も見てほしいの。意地悪をする人ほど、明るい色で撮られている気がするのは、私だけかしら。悪役の美学は、まず衣装から始まるわ。喜好
……ミサさん。人の服を使って恥をかかせるのは、筋が通らないと思うの。私はチェリンさんの味方はできないわ。喜好
でしょうね。だから面白いのよ。眼鏡のほうも見ておいて。外したとたん、別の人に見えてしまう。小道具一つで顔が入れ替わるの。解读
湖とピアノの手がかり
一周目は、ミニョンがただの「よく似た人」に見えていた。二周目は、彼がふと手を止める場面をひとつずつ拾ってほしいの。作品中的观察
具体的には、第10話の公園と、第14話の包みの場面あたりで、ミニョンがふと立ち止まる瞬間をひとつずつ拾ってみて。立ち止まる位置、顔の向き、手の動き。台詞より、そういう体の動きに、彼の迷いが出ているのよ。作品中的观察
结局·真相ミニョンの過去点击展开
弾いた経験は一度もないはずなのに、ミニョンがピアノをすらすら弾けてしまう場面がある。母のミヒは第10話で、7歳のとき近くの湖で溺れたことがあると、うっかり口にする。ミニョンがジュンサンだとミヒが認めるのは、第12話。
知ってから観ると、ピアノの前に座るミニョンの肩が、音楽室のジュンサンと同じ角度に見えてくる。体は覚えているのよ。二周目は、ミニョンが鍵盤に触れる最初の場面で止めてみて。
二周目は、ピアノの前に座る前と後で、ミニョンの視線がどこへ向かうかを見比べて。鍵盤を見ているのか、遠くを見ているのか。体の向きと目線が、台詞より先に語っているわ。解读[5]
テープとCD
中段为止第3話と第14話の届け物点击展开
第3話。葬儀を終えて家に戻ったユジンのところに、ジュンサンが送ったカセットテープが届いていて、テープからはジュンサンの声と「初めて」の曲が聞こえてくる。第14話、会社でユジンが受け取った包みを開けると、「初めて」のCDと、ミニョンが書いた手紙が入っている。
同じ曲が、テープで一度、CDでもう一度届く。音楽は、言えなかったことを運ぶ乗り物ね。二周目は、届け物の包みを開ける手元を見て。解读[6]
理想の家の話
第4話、スキー場の視察で、ユジンとミニョンは理想の家について言葉を交わす。事实[7]
一周目は、仕事の合間の世間話に聞こえた。二周目は、この会話が最終話までの設計図に聞こえるわ。建築の仕事をしている二人が、まだ建っていない家の話をする。恋の話を、家の話で言い換えているのね。解读
结局·真相最終話の家点击展开
第19話で、ユジンはジュンサンと別れる。そのとき渡したのは、自分が設計した「不可能な家」の模型だった。最終話、3年がたって帰国したユジンは、あの家が本当に建っていると知り、そこを訪れる。一時帰国中のジュンサンもそこにいた。彼は失明している。二人は夕日の中で深く抱きあう。
模型を渡す、図面を描き上げる、家が建つ。三段で恋が形になっていくの。二周目は、第4話の会話を聞いたあとに、最終話の夕日の部屋を思い出して。
二周目の最終話では、夕日の中の二人の立ち位置も見てほしいの。どちらが先に歩み寄るか。離れていた時間の長さが、最後の数歩に全部入っているのよ。解读[7]
撮りながら届いた最終回
结局·真相結末をめぐる制作の話点击展开
最初の予定では、最終回でチュンサンは病に倒れ、亡くなることになっていた。「チュンサンを死なせないで」。そんな声がテレビ局へメッセージとして殺到し、結末が変わったという。チュンサンが涙を流す最後の場面の撮影が終わったのは、最終回が放送される日の夕方4時。
観ている人の声が、物語の行き先を変えた。私は母と並んでテレビの前にいた一人として、この話がいちばん好き。二周目は、最終話の涙の場面を、撮り終えた時刻を思い浮かべながら観てみて。喜好[8]
最後は、筋が通ったと思うわ。……まずは、あったかいお茶にしましょう。目元、冷やしたほうがいいわよ。
スプーンなら冷やしてあるわ。……母に電話してから、もう一話だけ観るの。
二周目は、第2話の星空の場面で「ポラリス」という名前を覚えてから先へ進んで。この恋は、最初から北の星を目印にしているわ。