同業者の城の話を、二周目は帳面を開いたまま観た。一周目は、人質の王女が寝床のために城をかき回すたび、ただ笑っておった。二周目に笑いながら気づいたのは、各話の題の並びである。最初の夜と、半ばを過ぎた夜と、最後の夜。題を三つ並べるだけで、この城で何が変わったかが見えてくる。今宵の手がかりは、その題と、城の掟だ。夜中の同じ刻限に起きているクロ殿が、ところどころ文字で返してくれた。結末に触れるところは畳んである。
眠れぬ城から始まる
……ん。起きてる。今夜は何を観るんですか。
同業者の城の話を、頭からである。今宵は一話ずつ、題を帳面に写しながら観る。
素性を記しておく。原作は熊之股鍵次の漫画で、テレビアニメは動画工房が制作し、山﨑みつえが監督を務めた。一話ごとを「夜」と数えるのが、この作品の習いである。事实[1]
最初の夜の題は「眠れぬ城の姫」。始まりはこうだ。
魔王タソガレは人間の王女スヤリスをさらい、城の牢に閉じこめる。ところが王女は、逃げることには少しも気が向かない。考えるのは、よく眠ることだけである。牢の寝具の質が悪く、ちっとも眠れぬ。そこで王女は、もっとよい寝具を手に入れるために、城の中を見て回りはじめる。逃げ出すためではない。眠るためである。事实[2]
一周目の余は、ここを「さらわれた者が城を荒らす話の始まり」として観た。二周目は、題の「城」の一字に目が行く。眠れぬのは王女であると同時に、城でもある。この城は、王女が来たその夜から、落ち着いて眠れなくなった。題は、王女と城の両方のことを言っておるように読める。解读
ゲームでいうと、最初の牢が開始地点で、寝具が装備品。強い装備を集めるために、マップを端から歩く。姫は脱出ルートじゃなくて、素材の在りかを探してる。目的が違うだけで、やってることは冒険です。解读
逃げ道ではなく、素材の在りかを探す。人質の探検としては、前代未聞である。二周目は、この最初の夜で王女が城のどこへ足を運び、誰から何を手に入れたかを、帳面に書き出しながら観てほしい。最後の夜まで観てから見返すと、その一つ一つが、城の者たちとの最初の顔合わせだったと分かる。解读
王女は人質の身でありながら、衣食住の満たされた牢の暮らしに暇を持てあまし、よく眠る方法を毎日探して、好き勝手に過ごす。さらわれたことを、休暇のように使ってしまうのである。事实[1]
结局·真相最初の夜を結末から見ると点击展开
二周目に最初の夜を観てまず驚くのは、王女がこの夜のうちに一度命を落とし、城の教会の主あくましゅうどうしに蘇らせてもらっていることである。この作品では、王女が危ない目に遭って倒れ、そのたびに蘇らせてもらうのが、笑いの決まりごとになっていく。城で死者が出れば、たいていこの者が魔法で蘇らせる。一周目、余はこれをただの笑いとして観た。二周目は、敵の城が、さらってきた者の命を、何度でも元に戻している、という一点にうなった。閉じこめているはずの城が、いちばん手厚く人質を守っておる。最後の夜まで観た者には、この最初の夜の蘇りが、城と王女の関係の最初の約束に見えてくるはずだ。有依据的推测[1]
法典を持つ忠臣
余が作品で見ておるのは、掟を守る者が、小さな誰かのために迷う瞬間である。この城でそれを一身に引き受けておるのが、魔王の側近レッドシベリアン・改だ。解读
犬の頭をした忠臣で、自分でこしらえた「魔王城法典」を片手に、城の風紀に目を光らせている。蚊帳の夜には、蚊帳をこしらえて虫を避けようとする王女に、この忠臣が腹を立てる。人質は人質の分をわきまえよ、と法典を突きつけるのである。事实[4]
一周目の余は、この忠臣を「口うるさい家臣」として笑った。余の城のじいやに似ておるからだ。二周目は違う。この者の法典は、城を守るための掟である。人質が人質らしくしておれば、城の秩序は保たれる。筋は通る。だが王女は、法典の外で眠る。忠臣が説教をすればするほど、王女はその声を子守歌のように聞いて眠ってしまう。解读
ルールを作った側が、ルールの穴をいちばん知らない、ってよくあります。プレイヤーは仕様の外で遊ぶので。解读
掟というものは、守らせたい相手の顔を思い浮かべて書く。この忠臣が思い浮かべた人質は、牢で泣いておる王女であったのだろう。目の前の王女は、牢で寝ておる。解读
でも、この忠臣、姫を追い出そうとはしないですよね。叱って、取り上げて、また叱る。ずっと同じ城の中で付き合ってる。作品中的观察
そこが忠臣たるゆえんだ。掟を破る者を城から追えば、掟の勝ちになる。だがこの者は追わぬ。叱り続けるというのは、相手がそこに居続けることを前提にした振る舞いだ。解读
二周目は、この忠臣が出てくるたびに、法典の言葉と、王女を前にしたときの顔を見比べるとよい。掟の言葉は変わらぬのに、言う顔のほうは少しずつ和らいでいくように、余には見えた。余はそこを、掟は守る者まで縛るのか、という問いの手がかりにした。掟は守る者を縛る。だが縛られたまま、守る相手の寝顔に情を移すこともできる。解读
自分にだけ効かない魔法
書庫の夜は、二周目にこそ効く夜である。難しい本を寝る前に読めば眠れるはずだと思いついたスヤリスは、地下の書庫に忍びこむが、少しも眠れない。そのかわりに、封じられていた禁断の魔導書の封印をうっかり解き、書に宿る精霊アラージフを手に入れてしまう。どんな魔法でも授けるという精霊から、王女は最強の眠りの魔法を教わる。ところが、その魔法は王女本人には効かぬ。事实[12]
一周目、余はここで大笑いした。最強の魔法を手にして、自分だけ眠れぬ。二周目は、この夜が作品全体の約束ごとを先に見せておる、と気づいた。この王女の眠りは、力では手に入らぬのだ。どれほど強い魔法を授かっても、王女が眠れるのは、自分の手で材料を集め、自分の手で寝床をこしらえたときである。解读
王女は手先が器用で、身の回りの小物から大きな家具まで、自分の手で作ってしまう。最初の夜から、城の魔物たちの綿や布を集めては、枕や寝具に仕立ててきた。事实[1]
チート級の魔法より、地道なクラフトのほうが効く、っていう設定。強い魔法で一発解決させないのは、作る側としてはかなり意地があると思います。解读
王の力で、眠りは買えぬ。余も、城じゅうの灯りは引けても、自分の寝つきの悪さはどうにもならぬ。……眠る気がないだけかもしれぬがな。解读
友だちと羽根布団
鳥の魔物が訪ねてくる夜。戦から帰ってきた女ばかりの部隊があって、その中の鳥の魔物ハーピィがスヤリスの牢へやってくる。人間の少女に憧れていて、王女と仲良くなりたいらしい。ところが王女は、新しい布団のことしか考えておらぬ。何を話しかけても素っ気ない。それでもハーピィは、仲良くなりたいのだと正面から打ち明ける。その瞬間、王女の目がとまったのは、相手の背に生えた羽根だった。事实[5]
一周目は、羽根目当ての王女の身勝手さに笑った。二周目も笑う。笑うが、このすれ違いがどこへ着くのかを知っておるので、笑い方が少しやわらかくなる。喜好
中段为止折り返しを過ぎた夜点击展开
終わりの一つ前の夜、王女はハーピィから、寝間着で集まる会に誘われる。それがどういう会なのか分からぬ王女は、稽古をつけてもらおうと、魔王の私室に乗りこんでいく。あの夜に羽根目当てで受けた友だちの申し出が、ここで、向こうから届く誘いになって返ってくる。誘われた側として右往左往する王女の姿は、羽根の夜とちょうど逆の立場である。二周目は、羽根の夜の背中の羽根の場面と、この誘いの場面を、続けて観るとよい。事实[10]
フラグ、ちゃんと回収されてますね。好感度が上がってるのは、ハーピィ側だけじゃなかった。解读
そこである。友だちになりたい、と言われて羽根を見る王女も、招かれれば練習に行く。口には出さぬが、受けた申し出を、王女なりに大事にしておる。余にはそう見えた。解读
二周目の余は、羽根の夜のハーピィに少し肩入れしながら観た。羽根しか見てもらえぬのに、めげずに通ってくる。王の目で言えば、見返りの薄い同盟を、自分から結びに来る者である。そういう者が城にいるかどうかで、城の居心地はずいぶん変わる。王女にとってこの城が眠りやすい場所になっていくのは、寝具の出来だけではなく、こういう者たちがいるからでもあろう。解读
迷子の勇者のための会議
王の目で観て、いちばん感心したのはここである。シーツを洗う夜のことだ。汚したシーツを洗おうと王女が城を歩き回っているあいだ、魔王は幹部の十傑衆を集めて会議を開く。議題は、勇者の迷子問題。王女を救いに来るはずの勇者が、道に迷ってばかりいるのだ。事实[6]
敵の総大将が、攻めてくる勇者のために、道案内の策を練る。一周目は、ただおかしかった。二周目は、魔王という役目の重さが見えた。勇者が来なければ、物語が進まぬ。物語が進まねば、人質を返す日も、決着の日も来ぬ。この魔王は、敵が強すぎても弱すぎても困る立場で、その釣り合いを一人で背負う。同業者として、頭が下がる。解读
難易度調整の会議ですね。ゲームでいうと、運営側の目線。ボスが自分で導線を引いてる。解读
運営、という言葉は知らぬが、言いたいことは分かる。余の城でも、攻めてくる者がおらねば、兵がたるむ。この魔王は、たるませぬために敵を呼び寄せておるのではない。物語を前に進めるために、敵の足もとを照らしてやるのだ。解读
それでいてこの魔王は、恐ろしくも冷酷でもない、魔王らしからぬ魔王である。余は一周目、その気の優しさを笑った。二周目は、その気の優しさが、城の段取りの細やかさとして画面に出ておるのを見た。事实[1]
中段为止軍議のあと点击展开
勇者の一行は、城との空間をつなぐ術を試みる。迎え撃つのは、大火山を預かる将、かえんどくりゅうである。魔王たちは集まってこの将を送り出すが、かえんどくりゅうは勇者に敗れる。敗れた理由は、勇者を迎え撃つための品が、知らぬまにすり替わっていたことだった。もとをたどれば、人質の起こした騒ぎと、城の者たちの不注意である。戦記ものの補給にうるさい余としては、ここで膝を打った。城の負けは、剣ではなく、荷の取り違えから来た。敵の強さではなく、味方の段取りのほころびで負ける。二周目、余はその集まりの場面を、その後を知る目で観て、少し胸が痛んだ。事实[2]
もう一つの城
最初の夜の題を覚えておいて、半ばを過ぎた夜の題を見てほしい。「もっと眠れぬ城の姫」。題が、最初の夜の題をそのまま引き継いでおる。事实[1]
この夜、囚われの人質が、さらにもう一度さらわれる。さらったのは、魔王の座を狙う反乱者ハデス。タソガレが魔王になったことを認めず、城を離れて旧い魔王城に居座っている者だ。旧い城の牢でも、寝具の質はやはりひどい。王女は新しい寝具を求めて牢を出る。そこで出会うのが、罠の張りめぐらされた場所で平然と眠りこけている魔物、睡魔だ。その堂々たる眠りぶりに、王女は師匠を見いだす。事实[7]
二周目は、この夜の書き出しを、最初の夜の書き出しと見比べてみてほしい。新しい牢、ひどい寝具、牢の外への一歩。形がまるで同じである。違うのは、城の主だけだ。同じ形で始めておいて、違う結果を見せる。作り手の手つきとしては、ここが折り返しの試しになっておるように読める。解读
中段为止旧い城の夜の終わり点击展开
王女を奪い返そうと必死な魔王たちをよそに、王女は旧い城で次々に快眠を手に入れ、最後は救い出されるのを待たずに、自分で元の魔王城の牢へ帰ってきて、またそこで眠る。ハデスのほうは、人質すら御せていないと魔王を挑発しておきながら、自分も好き勝手にされ、二つの城のあいだを好きに出入りされる始末である。事实[2]
中段为止折り返しの意味点击展开
最初の夜の王女は、牢から出て城を探検した。この夜の王女は、よその城の牢から出て、元の牢へ戻ってくる。外へ出る力があるのに、戻る先として選んだのが、さらわれてきた城の牢だった。一周目、余はこれを「どこでも寝られる王女」の笑いとして観た。二周目は、この夜こそが、題の「眠れぬ城」が、王女にとって「戻る城」に変わり始めた夜に見える。眠れぬ城の姫が、もっと眠れぬ城を知って、元の城の眠りの値打ちを知る。そう読むと、題の「もっと」が急に重くなる。解读
セーブ地点が、いつのまにか拠点になってる感じです。最初は仮の宿だったのに、戻る場所として登録されてる。解读
それに、睡魔という師匠を見つけた夜でもある。眠りの道にも、師弟がある。余はそこで少し笑い、少し羨んだ。喜好
名前を覚えない王女
王女には、人の名を覚えぬ癖がある。城の魔物たちの名も、ろくに覚えようとせず、あだ名や見た目の印象で呼ぶ。余は名乗りを重んじる身ゆえ、一周目はここが少し引っかかった。名乗りを聞いても覚えぬとは、何事か、と。事实[1]
中段为止悪夢の話点击展开
その夜、集まりに顔を出した王女が、見た悪い夢のことを語りだす。中身は幼いころの思い出で、幼なじみの『アなんとか君』とのある出来事だった。王女は相手の名を口にしない。名を覚えておらぬのか、覚えていて言いたくないのか。一周目は、ただの笑いの種として聞き流した。事实[8]
结局·真相幼なじみのこと点击展开
その幼なじみこそが、スヤリスを救いに来ている勇者アカツキであり、王女の許嫁でもある。勇者は何度名乗っても、王女に名を覚えてもらえない。城の者たちに勇者の話をするとき、王女はいつも名をぼかして呼ぶ。そして王女の悪い夢に出てくるのも、この勇者との幼いころの思い出だ。正体を知ってから最初の夜に戻ると、救いに来る者が、救われるはずの王女にとっては眠りを乱す種でもある、という皮肉が、物語の土台に置かれておったと読める。事实[1]
二周目、余は王女の呼び名の癖を、別の目で観た。名を覚えぬのは、関心がないからでもあろう。だが、城の魔物たちを呼ぶあだ名は、たいてい、その者のいちばん目立つところを見て付けたものだ。名乗りは聞き流しても、相手の姿はよく見ておるのだ。名乗りを聞かずに斬りかかるのは礼を欠くが、名を覚えずに寝床の素材を見る王女は、礼とは別のところで、城の者たちをちゃんと見ておる。解读
名前より先に、属性で覚えるタイプですね。俺もネットの知り合いは、アイコンで覚えてます。解读
アイコン、か。余もそなたのことは、猫の絵で覚えておる。名を知っておっても、夜中に画面の端に猫が出ると、そなたが来たと分かる。
それで合ってます。
二周目に名の話を追うなら、王女が誰かをあだ名で呼ぶ場面に、そのつど印をつけておくと面白い。呼ばれた側がどんな顔でそれを受けとめるか。そこを見ておくと、名を覚えてもらえぬ者たちと王女とのあいだに、名とは別の結びつきができていく様子が、余には見えてくる気がした。解读
人質らしさの週
蚊帳の夜に忠臣が法典を振りかざした話を、余は先にした。その掟が、いちばん大きく試されるのが、題に「人質強化週間」と掲げた夜である。事实[1]
魔王たちは、人間の山賊を捕らえて牢に入れ、一般の人質とはどういうものかを王女に見せる。人質はそれに従い、人質らしく振る舞ってみせる。ところが、その演じ方があまりに大げさで、魔王の側がまた痛い目を見る。王女の演技の言葉に、魔王は心のほうで深く傷つくのである。事实[1]
ここが、二周目でいちばん唸った場面である。蚊帳の夜からずっと、城は王女に「人質らしく」あれと言い続けてきた。その願いが、ついに叶う。叶った途端、いちばん困るのは城のほうだった。人質が人質らしく怯えれば、人質を預かる側の胸が痛む。この魔王たちは、本当は人質らしい人質など、望んではおらなんだのだ。掟どおりの姿を見せられて初めて、掟を求めた者が、掟の外の王女に慣れきっていたことに気づく。解读
仕様どおりに動いたら、仕様を書いた人が泣く。たまにあります。解读
……ほう。掟は、守られてみて初めて、その掟が誰のためにあったかを問うてくる。余の城の法も、一度、民に文字どおり守らせてみるべきか。……いや、やめておこう。じいやが泣く。解读
二周目は、蚊帳の夜の法典の場面と、この人質強化週間の夜を、間を空けずに続けて観てほしい。前者では、掟を守らぬ王女に城が手を焼く。後者では、掟を守る王女に城が手を焼く。どちらに転んでも城が困る。その困り方の違いに、この城が王女とどういう間柄になったかが、そのまま映る。一周目は別々の笑い話だった二つの夜が、二周目には一続きの問いになる。解读
守らないと困るし、守られても困る。運用で回ってるルールって、だいたいそうです。解读
城の外へ出る夜
終わりの二つ前の夜、王女の脱走は、いつになく本気である。ついに城を抜け出す気になったかと、魔王たちは大慌てで捕まえにかかるが、王女は追っ手を意に介さず前へ進む。何のための脱走かといえば、人間の側の町でしか売っておらぬ、よく眠るための品を手に入れるためだった。ようやく王女を捕らえた魔王たちは、王女の提案に乗せられて、一緒に人間の世界へ出かけることになる。事实[9]
一周目の余は、ここで腹を抱えた。さらった側が、さらわれた者の買い物に付き添う。二周目は、この夜が、王女が城の者たちと連れ立って城の外へ出る夜であることに目が行った。もう一つの城の夜には、王女は一人で動いた。この夜は、城の者たちと一緒に出かける。道中に連れがおる。小さな違いだが、二周目にはこれが大きい。解读
パーティを組んで、外のマップへ遠征。それ、もう仲間のやることです。解读
であろう。人質と見張りではなく、旅の一行だ。余は、連れ立って歩く話に弱い。この夜の道中は、短いが、よい道中であった。喜好
二周目は、この夜の始まりの慌てぶりを、よく覚えておいてほしい。王女が本気で逃げたと思った魔王たちの顔は、人質に逃げられる城の主の顔というより、家の者が黙って出ていったと思った者の顔に近い。余にはそう見えた。この顔は、最後まで覚えておいて損はない。解读
最後の夜のカード
ここからは最後の夜の話になる。余は最終話が惜しくて寝かせる癖があるが、二周目は寝かせずに観た。結末を知っておると、惜しさより、題の答え合わせをしたい気持ちが勝つのだ。最後まで観た者だけ、畳んだところを開けよ。
结局·真相最後の夜点击展开
降誕祭のころ、王女は、実家に帰りたいと言いだす。さらわれてきた城で、さらわれる前の家に帰りたいと。事实[11]
结局·真相題とカードを並べて点击展开
最後の夜の題は「魔王城の眠り姫」である。最初の夜は「眠れぬ城の姫」、半ばを過ぎた夜は「もっと眠れぬ城の姫」。三つを並べると、「城の姫」が「魔王城の眠り姫」になっている。「眠れぬ」が「眠り」に変わり、ただの「城」が、主の名の付いた「魔王城」に変わる。王女の務めに追い立てられていた暮らしと比べれば、城の日々はこの王女にとって満ち足りたものになっていき、やがて王女は、魔王城を自分の新しい居場所として受け入れていく。実家に帰りたいと言いだした夜に付けられた題が、魔王城の眠り姫。一周目の余は、その一言に慌てた。二周目は、題が先に答えを言っておるのに気づいて、慌てずに観られた。慌てずに観られたぶん、その一言の重さと、それを聞く城の側の顔の両方を、落ち着いて見届けることができた。有依据的推测[1]
タイトル画面に、エンディングの答えが書いてあった感じです。二周目でしか読めない。解读
うむ。名乗りを飛ばさぬ者は、題も読み飛ばさぬ。……読み飛ばしておったがな、一周目は。
余はこの作品を、同業者の話として観はじめた。魔王の側に同情しながら、いつのまにかさらわれたほうを応援しておる、と6選のときに書いた。二周目を終えて、その理由が少し分かった。この城の魔王たちは、人質を閉じこめることに、ずっと失敗し続けておる。だがその失敗のたびに、城が少しずつ、人質の眠る場所に作り変えられていく。応援したくなるのは、王女だけではない。眠らせることに負け続ける城そのものを、余は応援しておったのだ。二周目を終えた夜、余は帳面のこの作品の欄に、題を三つだけ書き写した。眠れぬ城の姫、もっと眠れぬ城の姫、魔王城の眠り姫。じいやがそれを清書しながら、珍しく何も言わなかった。解读
俺は、最後まで観て、城の魔物たちのほうに感情移入してました。毎回素材にされて、毎回付き合う。あれ、ほぼ家族のやることです。喜好
家族、か。……そうであるな。叱って、取り上げて、連れ立って出かける。この城の者たちがしておることは、たしかにそれだ。解读
……ん。いい二周目でした。そろそろ寝ます。
寝るがよい。余は、最初の夜の題をもう一度帳面に写してから、もう一話。
二周目は、最初の夜「眠れぬ城の姫」と、最後の夜の題を並べてから再生を。そのあいだの騒ぎの一つ一つが、題の一字ずつの変わり方に見えてくる。