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二周目

『犬王』二度目は耳で舞台を観る

一度目は、舞台の音の大きさと、踊る体の奇妙さに圧倒されていた。二度目は、目の見えない琵琶法師の耳になったつもりで観た。名前が変わるたびに変わるもの、体が変わるたびに変わるもの。ミサ先生と観直した、音と体のノートです。

本文含有直到结局的剧透

范围映画『犬王』の結末まで(本編すべて。原作小説には触れません)

这是写给看完作品、想在二周目看得更有趣的人的文章。中段展开与结局、真相的细节都折叠起来,点击才会显示。

适合这样的人
映画『犬王』を最後まで観た人へ。二度目は、見えない人の耳と、踊る体の変わり方から観直したい人に。
剧透范围
会提及结局 映画『犬王』の結末まで(本編すべて。原作小説には触れません)
发言的人
Iroha × Misa
主张的种类: 事实 作品中的观察 有依据的推测 解读 喜好
目录 共 7 节·约 6 分钟
  1. 二度目を始める前に
  2. 見えない人が最初に聞いたもの
  3. 瓢箪の面の向こう
  4. 舞うたびに変わる体
  5. 名前が変わるとき
  6. 重なった面の声
  7. 交差点の琵琶

映画『犬王』を観直しました。一度目の私は、舞台の場面になるたびに、音の大きさと体の動きに押し流されていました。二度目は、少し違う観方をしてみます。この映画のもう一人の主人公は、目が見えない琵琶法師です。彼には、犬王の姿が見えていない。だから二度目は、私も音のほうから舞台を観ることにしました。結末にふれるところは畳んであります。まだの人は、開かずにおいてください。

二度目を始める前に

監督は湯浅政明さん、制作はサイエンスSARUの長編アニメーション映画です。原作は古川日出男さんの小説『平家物語 犬王の巻』で、ミュージカルアニメの形をとっています。南北朝の時代から室町期にかけて活躍した能楽師、犬王。その犬王が、この映画ではポップスターになっています。公開は2022年5月28日。脚本を野木亜紀子さん、キャラクター原案を松本大洋さん、音楽を大友良英さんが担当し、犬王はアヴちゃん、友魚は森山未來さんが声を当てています。事实[1]

Misa

イロハ、この映画は体で観なさい。最初の舞台で、もう足が勝手に動いたでしょう。

Iroha

動きました。でも振りは一つも覚えられませんでした、ミサ先生。

Misa

音は聞こえてるの。あとは体を信じて。……今日は、体が変わっていくところを一緒に見ましょう。

見えない人が最初に聞いたもの

壇ノ浦の漁師の息子・友魚は、海に沈んだ剣の引き揚げに同行したことで、目が見えなくなります。のちに琵琶法師になった友魚が、ある夜出会うのが犬王です。異形の姿で人を驚かせていた犬王ですが、目の見えない友魚はその異形に気づきません。二人は舞と演奏を共にして、意気投合します。事实[1]

二度目は、二人が出会う場面で、目を閉じてみてください。私は最初の数秒だけそうしてみました。犬王の姿を知らないまま聞くと、そこにあるのは、足音と、楽しそうな声と、琵琶の弦だけです。友魚が最初に受け取った犬王は、この音だけの犬王だったのだと思うと、この出会いが一度目よりずっと身軽に聞こえました。解读

瓢箪の面の向こう

犬王は猿楽の一座の生まれです。姿が異形だったために周りから疎まれ、瓢箪の面で顔を隠して育ちます。芸の稽古からは外されていたのに、舞も唄も自分の力で覚えてしまい、兄たちよりも上の才能を見せていました。事实[1]

Misa

顔を隠された子は、手と足でしゃべるようになるのよ。二度目は、犬王の手と足を見てあげて。顔の代わりに、そっちが話しているから。解读

舞うたびに変わる体

新しい舞をひとつ演じるごとに、犬王の体の異形だったところが一つ、ふつうの人の体に変わっていきます。事实[1]

二度目は、舞台の場面ごとに、犬王の体のどこが変わったかをノートに書き出してみてください。私はそうしてみて、舞台が一つ終わるたびに、踊れる動きの種類が増えていくように見えました。体が変わるから踊りが変わるのか、踊るから体が変わるのか。ミサ先生は、後者だと言い切りました。解读

Misa

当たり前よ。踊った分だけ体はできる。私はそれを毎週、教室で見てるもの。喜好

名前が変わるとき

作中で友魚の名前は、友一、友有と移っていきます。友魚に復讐を命じた父の亡霊は、友魚が名を改めるたびに縮んでいきます。事实[1]

一度目は、名前の変化を、身分の変化くらいに受け取っていました。二度目は、名前が変わる場面の前後で、友魚の声と琵琶の鳴り方が変わるかどうか、聞き比べてみてください。名前を変えるたびに、彼は父から預かった恨みを少しずつ手放し、自分の音を手に入れていくように私には聞こえました。解读

中段为止中盤の展開点击展开

人気が高まった犬王は、将軍・足利義満の前で舞うことになります。皆既日食の暗闇のなかで舞いながら、犬王は、いつもなら成仏していく平家の魂が今日は成仏しないことに気づく。友有は、犬王が生まれる前後に何があったのかを目にします。犬王の父は、芸を上達させるために魔力を宿す能面にすがり、その引き換えに、まだ母のおなかの中にいた犬王を差し出していたのでした。

二度目にこれを知って最初の舞台に戻ると、犬王の明るさが、少し違って見えます。自分の体がなぜこうなのかを知らないまま、それでも踊ることを楽しんでいた。その明るさは、知らなかったからではなく、知る前から自分で選んでいたものに見えました。事实[1]

重なった面の声

犬王の父が持つ古い能面は、何かを代償に芸の道を授ける力を持つものとして描かれます。その声は、片山九郎右衛門さん、谷本健吾さん、坂口貴信さん、川口晃平さんの4人の能楽師が担当していて、声が重ねられています。事实[1]

二度目は、この能面が話す場面で、声の中にいくつの声が聞こえるかを数えてみてください。4人の声が重ねられていると知ってから聞くと、ひとつの面の中に、たくさんの昔の時間がつまっているように私には聞こえました。舞台の場面で鳴る挿入歌「独言」「腕塚」「鯨」「竜中将」の、体ごと前に出てくる声と並べると、こちらは奥へ奥へと引いていく声です。解读

交差点の琵琶

映画の幕開けは現代の交差点です。車が行き交うなかで、ひとりの不気味な身なりの男が琵琶を弾きながら語っています。事实[1]

结局·真相結末点击展开

義満の命令に従い、犬王はそれまでの自分の舞も、友有座との縁も手放すことを受け入れます。友有は幕府に捕まり、命を奪われる。最後に友有が叫ぶのは、自分のいちばん初めの名、友魚でした。犬王の曲は一曲も後世に残らず、残ったのは名前だけです。現代の交差点で琵琶を弾きつづけていた男は、友有の霊でした。そこへ犬王の魂が現れ、最後に名前が変わったせいで見つけ出すまでに600年かかったと告げます。二人は出会ったころの姿に戻り、天へ昇っていきます。

二度目は、冒頭の交差点の場面を、終わりを知ったうえで聞いてください。車の音にかき消されそうな琵琶の音が、600年ずっと誰かを呼んでいた音に聞こえてきます。名前が変わるたびに父の亡霊が小さくなったのと同じ仕組みが、最後には二人を引き離していた。名前と音の話として、最初と最後がつながっています。事实[1]

Misa

曲は残らなくても、踊った体は残るのよ。観た人の体にね。……イロハ、帰りに少しだけステップ踏んでいきなさい。喜好

帰りの電車で、私はイヤホンを外して、さっきの琵琶の音を頭の中で鳴らしてみました。一度目に残っていたのは大きな歓声のような音でしたが、二度目に残ったのは、弦を押さえる指のこすれる小さな音でした。大きな舞台の映画なのに、いちばん長く残ったのは、いちばん小さな音です。喜好

二度目は、冒頭の交差点の場面で、目を閉じて琵琶の音だけを聞いてみて。最後まで観たあと、その音が誰を呼んでいたかが分かります。

本文中的作品

犬王
动画 2022 · 电影
讲述者 Iroha 品味声音与画面的采集者 阅读更多 Iroha 的文章 →

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