『愛の不時着』を最後まで観た人向けの、二周目の話よ。展開に触れるところは、押さないと開かない箱に畳んであるわ。聞き役はルカーノ。私の舞台衣装を作っている人で、セリの服の話になると止まらないの。
今日もBellissimo、ミサ。二周目の話なら任せて。僕は一周目から服しか見てなかったからね。
はいはい。で、次の衣装の締め切りは?
クレジットのあとの数分
全16話の作品で、韓国のtvNでの放送は2019年12月14日に始まり、2020年2月16日に終わった。脚本を書いたのはパク・ジウンで、演出にはイ・ジョンヒョ、キム・ヒウォン、キム・ナヨンが名を連ねる。どの回も、クレジットのあとに短いミニエピソードが付いている。事實[1]
配信で観ていると、ここで次の話へ飛ばしてしまう人が多いと思うの。私も一周目はそうだった。二周目は、クレジットが流れても止めないで。このドラマの大事な手がかりは、だいたいそこに置いてあるわ。解讀
具体的には、第2話、第4話、第7話、第11話のクレジットのあとを、本編と続けて観る並べ方がおすすめよ。本編の最後の余韻のまま観ると、数分の映像が余白の補足ではなく、ひとつの場面として効いてくるの。解讀
スイスの橋の上
第2話、第4話、第11話のクレジットのあとには、スイスにまつわる短い場面が出てくるわ。何が映るかは畳んである。先に自分の目で確かめたい人は、開けずに、止めないで観て。作品中的觀察
中段為止クレジットのあとのスイス點擊展開
7年前のスイスが映るのは、第2話のミニエピソード。第4話のミニエピソードでは、壊れたカメラを手にしたジョンヒョクが、ジーグリスヴィルの橋で横顔を撮った女性のことを思い浮かべる。第11話のミニエピソードも7年前のスイスで、ある店で「激甘」のお菓子を選んでいるセリの姿を、ダンが目にしている。
本編では北と南で初めて出会ったように見える二人が、本当はもっと前に同じ景色の中にいた。それを本編ではなく、クレジットのあとの数分で少しずつ見せる。恋愛ドラマで言えば、運命を台詞で言わせずに、編集で言わせているの。解讀[2]
結局·真相壊れたカメラの行き先點擊展開
最終話。スイス旅行で使っていたカメラをダンが直し、ジョンヒョクの手元に戻す。中に残っていたのはセリの横顔で、撮った場所はジーグリスヴィルの橋だった。
第4話で思い浮かべていた横顔の答えが、最終話でやっと画面に出る。二周目は、第4話のミニエピソードを観たら、そのまま最終話のこの場面へ飛んでみて。同じ橋の時間がつながるわ。
二周目は、橋の上で写された横顔の、光の当たり方にも注目して。セリの顔にどんな明るさがあるか。私には、撮られることを意識していない顔に見えたわ。解讀[3]
湖で聴いた一曲
ジョンヒョクはもともとピアノに才能のある人で、スイスへの留学もピアニストになるためだった。第7話のミニエピソードでは、数年前にスイスで耳にした曲を知らないか、とセリが聞いている。事實[4]
中段為止第9話で分かること點擊展開
第9話で、二人は驚くことになる。スイスで聴いたあの曲は、ジョンヒョクが兄に向けて作ったもの。イゼルトヴァルトの湖で弾いていたのも、彼本人だったの。
一周目は、偶然の答え合わせに見えた。二周目は、第7話でセリが曲の話をする顔を見て。まだ相手を知らないのに、その曲の持ち主に恋をしている顔に見えるのよ。
二周目は、第9話の驚いた二人の距離感も見てほしいの。私には、二人の肩の角度が驚きから安心へ変わっていくように見えたわ。解讀[4]
スポーツウェアの社長
北に不時着したとき、セリはパラグライダーの飛行テストの途中で、着ていたのは自社のスポーツウェアだった。その会社が「セリズ・チョイス」。アパレルブランドも化粧品も手がけていて、セリが自分で立ち上げ、社長を務めている。事實[5]
そこなんだよ。自分の会社の服を着て、自分で空を飛んで試す。デザイナーとして、あの最初の場面だけで彼女を信用したね。服が仕事の名刺になってる。喜好
強い女は、まず自分で試すのよ。二周目は、北の村でセリが何を着せられて、何を自分で選び直すかを見て。服の主導権が戻ってくるたびに、セリの背筋が伸びるの。解讀
北の村での暮らしが長くなるほど、セリの歩き方が変わっていくのも楽しみにして。最初はヒールの音がしそうな歩き方なのに、だんだん地面を踏む歩き方になるの。衣装より先に、足元が変わっていくのよ。解讀
セリの服の色も大事だよ。場面が変わるたびに、彼女が何色の服を着ているか。僕は色で気持ちを読むんだ。喜好
そこは見ているのね。ついでに、立ち姿の重心も見て。強がっている時は肩が上がって、気を許した時は肩が落ちるの。解讀
守る側が入れ替わる
二周目は、第6話と第7話を続けて観てほしいの。ここは、この物語の守る側と守られる側の、ひとつ目の山場になるわ。中身は畳んである。作品中的觀察
中段為止第6話と第7話の出来事點擊展開
第6話。空港へ向かうセリたちの車が狙撃され、バイクで二重に警護していたジョンヒョクが、セリの盾になって撃たれ、倒れる。第7話でセリが車を向けたのは、空港ではなく病院だった。助かったのはセリの輸血のおかげだと、ジョンヒョクは医師たちの口から聞かされる。
守られるお嬢さんの話だと思って観始めた人ほど、ここで裏切られる。セリは飛行機より、目の前の人を選んだの。私はこの選び方に弱い。
第6話と第7話は続けて観て、セリが車の向きを変える場面の体の向きと、視線の動かし方を見てほしいの。迷う顔より先に、体が病院の方を向いているわ。解讀[6]
結局·真相第13話の銃声點擊展開
第13話では立場が逆になる。チョルガンの撃った弾からジョンヒョクを守るのはセリで、倒れるのは彼女のほう。
第6話と第13話で、かばう側とかばわれる側が入れ替わる。二周目は、二つの回を続けて観て、倒れる直前の体の向きを比べてみて。振付で言えば、同じ振りを左右反転して踊っているの。
倒れる直前の足の運びも比べてみて。かばう側の最初の一歩は、考える前に出ているの。振付では、いちばん難しい動きよ。解讀[7]
テレビの中の女優
キム・ジュモクは第5中隊の一人で、韓流ドラマが大好き。いちばんのお気に入りはチェ・ジウで、そのチェ・ジウが第13話に本人役で登場する。第4話では、ジョンヒョクが韓国ドラマのやり方を借りてセリにキスし、恋人同士の夜釣りに見せかけて警備艇長をごまかす。事實[8]
北の人たちが韓国ドラマを観ていて、その真似で窮地を切り抜ける。ドラマの中で、ドラマが二人を助けているのよ。母と『冬のソナタ』を観ていた私には、第13話のジュモクの顔が他人事じゃなかった。喜好
第13話のジュモクの顔は、ぜひ表情をじっくり見て。画面の向こうの憧れの人を前にしたときの、目の動きや肩の力の抜け方が、とてもいいの。見ている側の気持ちが、そのまま顔に出ているわ。喜好
待たない人が待つ夜
「誰かを待つことなどない」。セリはそれまで、そう言い切っていた。第5話のミニエピソードでは、そのセリが、平壌から朝になって帰ってきたジョンヒョクを、お酒を飲みながら待ちわびている。事實[9]
結局·真相最終話のその後點擊展開
最終話。毎年スイスへ向かうセリが信じているのは、翌年の誕生日に送られてきた言葉。毎日の支えにしているのは、ジョンヒョクの残したメールよ。
誰も待たないと言っていた人が、毎年同じ場所へ待ちに行く。第5話の小さな場面が、最終話の大きな約束の練習だったのね。二周目は、第5話のクレジットのあとを、必ず観て。
毎年スイスへ向かう場面は、荷物の少なさと歩き方も見て。待つことに慣れた人の歩幅は、第5話の夜とはまるで違うわ。解讀[10]
……毎年スイスか。旅の服、何着いるだろうね。考えるだけで楽しいな!
あなたは締め切りを守ってから夢を見なさい。……でも、悪くない計算ね。
二周目は、第4話のクレジットが流れても止めないで。橋の上の横顔から、この恋は始まっているわ。