言葉遊びのような地名や愛称を見つけると、ノアはつい由来を調べたくなります。今回の入口は、石ノ森萬画館の公式サイトのアドレスにも入っている「マンガッタン」という呼び名でした。
シオルのふるさとでは、場所の名前は王さまか竜がつけるものでした。「マンガッタン」は、だれがつけた名前なんですか?
「萬画」という字
まず気になるんだけど、「漫画」じゃなくて「萬画」なんだね。
石ノ森章太郎は実験的な作品を手がけ、マンガにどんな可能性があるかを探りつづけた人で、1989年には「萬画宣言」を行った。石ノ森萬画館の公式サイトは、そう紹介しています。事實[6]
石ノ森章太郎のふるさとは登米市です。そこにある「石ノ森章太郎ふるさと記念館」の公式ページでも、登米市は、「萬画の王様」と評価される石ノ森章太郎のふるさととして紹介されています。事實[7]
ふるさとの登米市に記念館があって、石巻には萬画館がある。生まれた町と、映画を観に通った町。二つの場所が、それぞれの形でこの人を覚えているんだね。解讀
「萬」は「よろず」とも読む字。宣言の中身はここでは紹介しきれないけれど、字を一つ替えるだけで、言葉の広がりが変わって見えるのは面白いよね。解讀
宇宙船が降りてきた
公式サイトによると、萬画館の外観のイメージは「宇宙船」。デザインのもとになったのは、石ノ森章太郎自身の原案です。事實[1]
構想を練っていたころ、石ノ森章太郎は模型を作っていて、その談話がサイトに載っています。石巻は造船が盛んな土地でもあったはずだから、マンガの惑星から宇宙の「船」が降り立ったという筋書きも面白いのではないか、という話です。事實[4]
造船の町に、宇宙船。ダジャレみたいなのに、ちゃんと町の話になってる。こういうの好きだな。喜好
上から見るとマンハッタン
萬画館は中瀬に建っています。同じ談話で石ノ森章太郎は、その中瀬を地図の上から眺めると、ニューヨークのマンハッタンと形がそっくりなのだ、と話しています。事實[2]
そして、マンガだから「マンガッタン」はどうか、と続けています。事實[3]
韻をふませた地名……! 吟遊詩人がよくやる言葉遊びです。
近いけど、ここが違って。音を似せるだけじゃなくて、上から見た地図の形まで重ねてあるんだ。解讀
中州の形がマンハッタン島に似ていて、そこにマンガを重ねて「マンガッタン」。英語の地名を日本語の言葉遊びに訳し直したような名前だね。私はこういう、国をまたいだ言葉の橋がいちばん好き。喜好
完成しない場所
談話の後半で語られているのは、こんな願いです。並べるのは自分の原画だけではない。いろんなマンガ家の力を借りて企画展やイベントを重ね、ずっと進化していく。つまり「完成しない」施設になってほしい、と。事實[5]
完成しない施設。いい言葉だなあ。ゴールじゃなくて、ずっと途中でいていい場所なんだ。解讀
学生だったころの石ノ森章太郎は、映画を見るために、自転車に3時間くらい乗って、今の萬画館がある中瀬地域の映画館まで来ていたんだって。公式サイトに載っている話だよ。ただ、書き方は「といわれます」なんだけどね。事實[8]
3時間も自転車をこいで、映画を観に来ていた場所に、自分の萬画館が建ったのか。その一歩一歩の先に、宇宙船が降りてきたんだね。解讀
完成しない場所って、すてきです。シオルも、ずっと途中のしおりでいたいです。
石ノ森萬画館の愛称「マンガッタン」は、中瀬の地図がマンハッタンに似ていることから、石ノ森章太郎自身が考えた言葉遊びだった。