図書室の展示コーナーをつくるとき、「受賞作」という札を立てようとして、手が止まりました。国際アンデルセン賞は、どの本が受賞したんだろう。調べてみたら、そもそも質問の立て方がちがっていました。
子どもの本で世界初の国際賞
国際アンデルセン賞を創設したのはIBBYで、1953年のことです。JBBY(日本国際児童図書評議会)によれば、子どもの本を対象にした国際的な賞としては、これが世界で初めてでした。準備に3年をかけ、第1回が授与されたのは1956年。それ以来、隔年で選ばれています。事實[1]
最初の3回は「本」だった
おもしろいのはここからです。同じ説明によると、最初の3回、賞を受けたのは本でした。事實[1]
1962年の第4回で、それが変わります。子どもの本に長く貢献してきた作家に、その全業績をたたえて贈る賞になったのです。1966年の第6回には、作家賞に加えて画家賞も設けられました。事實[6]
一冊じゃなくて、その人がずっと書いてきたもの全部に、ってことか。なんだか、長く続けてきた人へのお疲れさまみたいで、いいね。解讀
はい。だから私の札は「受賞作」じゃなくて「受賞作家の本」にしないといけなかったんです。一冊の出来ではなく、書き続けた道のり全体を見る賞なんですね。解讀
授与式で受賞者が受け取るのは、アンデルセンのプロフィルを刻んだメダルと、賞状です。この賞は「Little Nobel(小さなノーベル賞)」とも呼ばれています。その背景には、子どもの本が未来を切り拓き、平和を生み出すという理念があります。事實[5]
日本からの5人
これまでに受賞した日本人は5人。赤羽末吉さん(1980)、安野光雅さん(1984)、まど・みちおさん(1994)、上橋菜穂子さん(2014)、角野栄子さん(2018)です。事實[2]
2018年の作家賞に選ばれたのは、角野栄子さんでした。「魔女の宅急便」の作者です。発表は2018年3月26日、イタリアのボローニャブックフェアの会場で開かれたIBBYの記者会見です。授与式の舞台は、ギリシャのアテネで開かれるIBBY世界大会だと発表されました。事實[3]
ほうきで空を飛ぶ話を書いた人に、世界から賞が届いたんだね。なんか、手紙が届くみたい。解讀
推薦は一度で終わらない
JBBYは国内で選考会を開き、日本の作家と画家のなかから、全業績を通してふさわしい人を選んでIBBYに推薦しています。推薦の一覧を見ると、角野栄子さんは2016年にも作家賞に推薦されていて、2018年に受賞しました。事實[4]
一度推薦されて、次の回にもう一度。「全業績」って、二年のあいだにも増えていくものなんですね。私、一回で決まらないと、もう終わりだと思ってしまうほうなので……ちょっと励まされました。解讀
続けてる途中も、ちゃんと道のりに入ってるってことだね。解讀
国際アンデルセン賞は、最初の3回だけ「本」に贈られ、1962年からは作家の「全業績」に贈られている。