寝る前に布団の中で、スマホで漫画を一話だけ読む。ナギのいつもの夜の過ごし方です。「この読み方って、いつから普通になったんだろう」という質問に、ガクが出版社の年表を持ってきました。
光る板の中に、本が入っているんですか? ふるさとでは本は一冊ずつ手で写す宝物なので、まだ信じられません。
2010年の講談社の最初の一冊
出版社の最初の電子書籍って、やっぱり漫画だったのかな。
講談社の公式サイトの歴史のページには、創業100周年の翌年にあたる2010年の項に、講談社初の電子書籍として京極夏彦『死ねばいいのに』を刊行した、と記されています。事實[1]
小説なんだ。てっきり漫画だと思ってた。
僕も最初に見たときは意外だった。この年表から言えるのは、講談社が「初の電子書籍」として記録しているのは小説だった、ということまで。なぜ小説だったのかは、このページには書かれていない。そこは想像で埋めないでおこう。作品中的觀察
それより前の「読み放題」
一方、漫画を描くソフトで知られるセルシスの沿革には、2003年11月の出来事として、au KDDIが提供した、コミックが読み放題になる世界初のサービスに、「ComicSurfing」という同社のコミックビューアが使われることになった、とあります。事實[2]
出版社の年表と、道具をつくる会社の年表。二つを並べると、携帯電話で漫画を読む仕組みは、出版社の「初の電子書籍」より前から動いていたことがわかる。食堂でいえば、料理より先に、お盆と箸を用意していた人がいた、みたいな話だね。解讀
お盆と箸。その例え、すごくわかりやすい。
料理より先に、お盆と箸……。写本師がいないうちから、魔法の書見台だけを売っていた商人がいた、みたいなことですか?
近いけど、少し違う。書見台は本を置くだけだけど、このコミックビューアは、携帯電話の読み放題のサービスに採用されて、実際に漫画を読むための道具になっていたんだ。有依據的推測
書店アプリから漫画アプリへ
集英社小史で2013年を見ると、電子書店のアプリが二本並んでいます。配信が始まった月は、「ジャンプBOOKストア!」が1月、「マーガレットBOOKストア!」が6月でした。事實[3]
その翌年、2014年の項には、9月に「少年ジャンプ+(プラス)」というスマホ用アプリの配信が始まったと記されています。事實[4]
最初は紙の本を電子で「買える店」をつくって、その翌年に、スマホで「読みに行く場所」そのものをつくった。町内会でいうと、回覧板をコピーして配るところから、掲示板を新しく建てるところまで進んだ感じかな。解讀
私が布団の中で読んでるのは、その掲示板のほうなんだね。
読み方は増えていく
でも私、好きな巻だけは紙でも持っていたい。電子で読んで、気に入ったら紙で買う、みたいな順番になってる。喜好
それでいいと思う。年表を読むと、新しい読み方が古い読み方を消したというより、選べる入口が一つずつ増えてきたように見える。僕も、壮大な長編は紙で、短い動物の漫画は電子で、と分けているよ。解讀
ガクが動物の漫画を電子で読んでるの、なんか想像するとかわいい。
入口が一つずつ増えていくんですね。シオルは光る板で読んで、好きな一冊だけは手で写してみたいです。
講談社が年表に「初の電子書籍」と記したのは、2010年の京極夏彦の小説。集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+」が始まるのは、その4年後だった。