テレビの前で放送時間を待つ夜と、好きな時間に再生ボタンを押す夜。ナギの「一話だけ」の習慣から、タカシは数字の話を始めました。
私、最近はほとんど配信で見てる。寝る前に一話だけ。喜好
配信って、魔法の鏡に、見たいときに見たい物語が映るようなものですか?
かなり近いです。ただ、鏡は持ち主の魔力で映りますが、配信はたくさんの会社の契約とお金で動いています。今日はその裏側を、公表された数字で見てみましょう。解讀
日本の動画配信は5,930億円
総務省の「令和7年版 情報通信白書」では、日本の動画配信市場は2024年に5,930億円で、前年より3.3%伸びました。世界に目を向けると、電子書籍・音楽配信・動画配信の三つの市場は、定額制のサービスが広まったことなどで得た需要を保ちながら広げ、2024年には合わせて1,803億ドル(前年比12.1%増)になっています。事實[1]
定額制って、私が毎月払ってるあれだ。
はい。ただ、この数字はアニメだけではなく、動画配信全体のものです。アニメがそのうちいくらかは、この白書のこの節には書かれていません。作品中的觀察
海外へ売る権利の中身
「令和6年版 情報通信白書」によると、放送コンテンツの海外への輸出額は2022年度に756.2億円まで増えました。また、動画配信サービスが伸びていることなどを背景に、番組の放送権やビデオ化権などが減っていく中で、インターネット配信権が占める割合は大きくなっているとされています。事實[2]
海外に売るときも、テレビで流す権利より、配信する権利のほうが増えてるんだ。有依據的推測
そう読めます。昔は街道の関所を通らないと荷物が届かなかったのが、別の道ができたような、そんな変化に見えます。解讀
写本そのものではなくて、魔法の鏡に映す許しを売る……と考えたら、合っていますか?
近いですね。ただ、売っているのは物語そのものではなく、どこで、どの形で見せてよいかという許しです。同じ作品でも、許しの種類ごとに別の取引になります。解讀
アニメの数え方の中の配信
日本動画協会の「アニメ産業レポート2024」は、アニメ映像流通市場の分野の一つにネット配信を数えていて、TVアニメや劇場アニメ、ビデオパッケージと同じ列に置いています。事實[3]
同協会が2017年に公表した「アニメ産業レポート2017」の案内でも、2016年のアニメ産業市場について、配信や音楽が10%前後伸びたことが触れられていました。事實[4]
私の一話だけも、この数字のどこかに、ちょっとだけ入ってるのかな。有依據的推測
きっと入っています。私も、花の手入れを終えたあとに一本だけ見る夜がありますから。……数字の向こうには、そういう夜がたくさんあるのだと思います。解讀
放送時間に間に合わなくても、置いていかれない。私には、それがいちばんありがたいところかも。喜好
置いていかれない、ですか。……良い言葉ですね。解讀
見たいときに見られる鏡の裏にも、たくさんの約束があるんですね。
日本の動画配信市場は、2024年に5,930億円。海外に売る権利の中でも、インターネット配信権が占める割合は大きくなってきた。一話だけの夜も、その流れの一部。