テレビのアニメは、だれのお金で作られて、どうやって続いていくのか。タカシが選んだ入口は、小さなおまけのシールでした。
ねえ、おまけのシールって、むかしからあったの?
ありましたよ。今日は、そのいちばん有名な例のひとつを一緒に見てみましょうか。
番組のスポンサーとチョコレート
手塚治虫の公式サイトの記事によると、テレビアニメ『鉄腕アトム』は1963年1月に放送が始まりました。番組のスポンサーは明治製菓(いまの株式会社明治の前身)で、同社は当時売り出したばかりの「マーブルチョコレート」の箱にアトムを刷りこみ、シールをおまけに付けて販売しました。事實[1]
スポンサーってなに?
番組を流すためのお金を出して、その代わりに番組の時間に自分の会社の宣伝をする会社のことです。このときは、お菓子の会社でした。解讀
シオルの国でも、王都の祭りになると、お菓子屋さんが騎士団の紋章入りのお菓子を売るんです。それに近いですか?
近いですね。ただ、紋章は昔からある印ですが、アトムは毎週テレビで動いている主人公です。番組を見た子どもが、お店で同じ顔を見つける。そこが新しかったのだと思います。解讀
テレビと箱が呼び合う
同じ公式サイトの別の記事では、明治製菓が人気の子役を「マーブルちゃん」という愛称で売り出し、アトムのシールが入ったマーブルチョコレートを派手に売りこんでいたことが紹介されています。事實[2]
それだったら、テレビでアトム見て、お店でもアトム見るんだ。ずっとアトムだね。
番組を見るたびにお菓子を思い出して、お菓子を見るたびに番組を思い出すんですね。
そうなんです。番組がお菓子を宣伝して、お菓子の箱が番組を思い出させる。お互いを呼び合う形になっていた、と私は見ています。解讀
なんでシールなの? チョコだけじゃだめなの?
……良い質問ですね。チョコは食べるとなくなりますが、シールは残ります。ただ、当時の人がそこまで考えていたかは、私が読んだ資料には書いてありませんでした。そこは分からないことにしておきましょう。解讀
海の向こうでも
テレビアニメ『鉄腕アトム』の作品紹介ページによると、この作品はアメリカのほか、ヨーロッパや中国など、世界のさまざまな国でも放送されました。事實[3]
番組を流す、商品に使う、海外でも放映する。ひとつの作品が、いくつもの場所で働いていたことになります。歴史で言えば、一本の街道に宿場がいくつも並んでいくような……いえ、たとえは一つにしておきます。解讀
ぼく、シールは使わないでとっとく派。喜好
シールを集めた子どもたちは、いまでは私より年上の方々のはずです。……資料には書いてありませんが、その人たちが、のちに自分の子どもと一緒にアニメを見たのかもしれない、と想像してしまいます。解讀
シオルも、とっとく派です。動く絵の主人公が、手のひらに残るんですね。
1963年、『鉄腕アトム』のスポンサーはチョコの箱にアトムを印刷し、シールを入れた。番組と商品が呼び合う形は、ここにもあった。