目錄
好きなゲームの一作目は『レイトン教授と不思議な町』。物語と謎解きが一緒になった作品です。町の秘密やナゾの答えには、もちろん触れません。
ノートの端が図でいっぱいになる
このゲームを遊んでいるあいだ、私の机の上にはいつも裏紙が置いてありました。線を引いて、数字を書いて、消して、また引く。画面の上でもメモは書けるのに、私はどうしても紙に書きたくなってしまうんです。気がつくと、学校のノートの端まで図でいっぱいになっていて、先生に「それは何の図?」と聞かれたことがあります。うまく説明できなかったので、「仮説です」と答えました。喜好
どんなゲームか
任天堂の紹介ページを見ると、メーカーはレベルファイブで、ジャンルは「ナゾトキ・ファンタジーアドベンチャー」、発売は2007年2月15日です。主人公のレイトン教授は考古学者で、大のナゾ好き。事實[1]
その教授のところへ、ある日不思議な依頼が届きます。教授が向かうのは、依頼してきた人が住む「不思議な町」。物語はそこから始まります。事實[3]
好きな理由1:ナゾをつくった人の名前
同じページによると、物語を先へ進める鍵になるナゾの数々を作ったのは、「頭の体操」シリーズで知られる多湖輝さんです。パズルの種類も、計算や選択だけではありません。マッチ棒を動かすものや、天秤を使うものもある、と書かれています。事實[2]
私はこれを知ったとき、ゲームの見え方が少し変わりました。一つひとつのナゾの向こうに、それを考えた人がいる。「ここで間違えるだろうな」「でも、こう見方を変えたら気づくはず」と、出題した人が待っている気がしたんです。謎解きは、答えを探す遊びであると同時に、出題した人との静かな会話なのかもしれません。解讀
好きな理由2:町の秘密は、少しずつ
町の人に話しかけると、ナゾを出されたり、町のことを少し教えてもらえたりします。ナゾを解くことと、町を知ることが、同じ道の上にあるんです。作品中的觀察
私は、知らない場所に行くと「この町の人は何を当たり前だと思って暮らしているんだろう」と考えます。このゲームは、その問いを遊びにしてくれました。町の人の言葉の端に、気になる言い方がある。それをノートに書いておくと、ずっと後で「あ」と思う瞬間が来る。ねえ、ここ、すごく好きなの。答えを教えてもらうんじゃなくて、自分で拾い集めたかけらが、あとでつながるの。待って、ほんとはもっと言いたくて、あの町の地図の描き方も、建物の並び方も……。……ううん、それはまた別の日に。喜好
好きな理由3:分からない時間を楽しんでいい
私は、分からないことがあると落ち着かないほうです。テストでも、一問分からないと、そこで止まってしまう。でもこのゲームは、ナゾが解けない時間を「失敗」ではなく「考えている時間」として置いてくれる気がしました。すぐに答えが出なくても、いったん別の場所に行って、戻ってきたら急に分かる、ということもある。解讀
分かる。てか、ヒント使うの、負けじゃないからね。あれは出す側が「ここで休んでいいよ」って置いてるやつ。解讀
……私、ヒントを使ったら、そのナゾは解いたことにならないと思ってました。
いや、それは違う。ヒント見て分かったなら、分かったでいいよ。考えた時間は消えないし。解讀
ミコさんにそう言われてから、私は少しだけヒントを使えるようになりました。少しだけ、です。喜好
解けたときより、その少し前
ナゾが解ける瞬間は、もちろんうれしいです。でも、私がいちばん好きなのは、その少し前です。あと一本線を引けば分かりそうな気がする。でもまだ分からない。頭の中で、ばらばらだったものが少しずつ寄ってくる、あの時間。喜好
この感じは、本を読んでいて伏線に気づきかけるときや、図書室で探している本の棚の番号まであと少し、というときにも似ています。答えにたどり着く前の、まだ分からないけれど、分かりそうな時間。私は「まだ分からない」を、前より少し好きになりました。全部を調べ終えて何も残らないより、考える余地が残っているほうが、世界は楽しいと思うから。解讀
苦手そうな人への入口
公式の紹介によると、ナゾトキはタッチペンで遊べて、直感的に、テンポよく楽しめるようになっています。事實[4]
ゲームに慣れていない人でも、操作で困ることはあまりないと思います。それより心配なのは、「頭のいい人向け」と思ってしまうことかもしれません。そんなことはありません。分からないナゾは飛ばしてもいいし、紙に書いて考えてもいい。一日一つだけ解く、と決めて遊ぶのもおすすめです。逆に、物語をどんどん先に進めたい人には、ナゾで止まるのがもどかしく感じる場面があるかもしれません。
好きな6作品と並べて
『ハリー・ポッターと賢者の石』で学ぶことが冒険になると知り、『とんがり帽子のアトリエ』で手を動かすことを覚え、『本好きの下剋上』で知識が道具になるのを見て、『魔女の宅急便』で知らない町の暮らしを想像し、『ナルニア国物語』で扉を開けてみる一歩をもらいました。このゲームは、その全部をつなぐ「考える時間」そのものをくれた作品です。私の好きな作品は、答えの一覧ではなく、まだ考えている途中の地図です。喜好
ナゾが解けない時間は失敗ではなく、出題した人と話している時間。ヒントを使っても、考えた時間は消えません。